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40代編集長の婚活記が連載スタートしてから約3年。高校に入学した生徒が卒業した分の年月が経った。いまだに見えない婚活のゴール……。
婚活2年半で、久しぶりに恋人(ジェントルさん・49歳・バツイチ・別居中の子供あり)ができたけれど、彼の病気が発覚し、交際3カ月にして別れの危機が訪れる。直接会って話し、なんとか持ち直した気がしたけれど……。これは40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活ドキュメントである。
1カ月ぶりにジェントルさんとの再会し、翌週の土曜日も会う約束をした。危機的状況は脱した……気がしていた。
でも約束の前日、「体調が悪い」と言われてデートはキャンセル。そのときから、また少し不穏なものを感じていた。
キャンセルの連絡のあと、しばらく彼からのメッセージはなかった。
もしかして……と思いながらも、そんなことはないと自分に言い聞かせ、以前と変わらないようなメッセージを送った。
アサミ「あれから体調はいかがですか? 例の美術展が始まりましたね」
そして、以前に彼と話していた美術展のURLも一緒に送った。どうしても行きたかったわけではないけれど。
体調があまりよくないというジェントルさん。家でゆっくりするのもいいけれど、少し体調が安定しているときなら外出して気晴らしするのはどうか、と思ったのだ。
ジェントル「アサミさん、ありがとうございます。でも、昨日、子供と話をしていて、やはり胸は傷む一方でした」
なんだかイヤな予感がした。
ジェントル「今は自分の健康と仕事が、子供の将来にとってどれだけ大切かを思い知りました」
心にズシンときた。何とも言えない気持ちになった。
ジェントル「申し訳ないのですが、こんな不安定な心境でアサミさんの好意に応えきれません。この先病状が悪化するかはわかりませんが、少なくとも今は恋愛関係にコミットできる自信がありません」

コミットしてなんて言ってニャイし!
「別れる」という言葉がなくたって、これが交際を終わりにしようという意味だということはわかる。頭では理解している。
しかし、コミットって……。そんなプレッシャーに感じちゃいました?
アサミ「美術展、一緒に観に行きませんか? 開催期間はまだありますし、体調がよいときでいいので」
何事もなかったように送ってみた。
でも、しばらく待ってみても返信がない。
アサミ「恋愛関係にコミットとか、いいんです。お子さんの将来にとってジェントルさんの健康と仕事が大事なことも、その通りだと思います」
嫌いになんてなってないって、ジェントルさんが言ったじゃない。
ダメだ。なんか上手く自分の気持ちを伝えられない。じれったくなってきた。
アサミ「私が好きでいちゃ、ダメですか?」
思いっきり直球を投げた。ど真ん中のストレート。
私のことが嫌いじゃないなら、恋愛関係じゃなくてもいいから、私はジェントルさんのことが好きっていう、そういう関係でいいと思った。
ここまで真っ正直に“好き”という気持ちを伝えるなんて……人生で初めてな気がする。
ジェントル「好きでいてくれてありがたいですが、気が咎めます」
あれ、なんか当たりが悪い……。思ったのと違う反応がきてしまった。
ジェントル「イヤとかそんなことではないんです」
イヤじゃないんだったら! 今まで通り仲良くしていればいいじゃないの。
ジェントル「アサミさん、あれから僕はいろいろ考えました」
いろいろ考えた結果が、恋愛関係にコミットできないっていうこと? いやコミットとかそこまで重く捉えずにお付き合いするのでいいのだけれど。
ジェントル「やっぱり僕の中に迷う気持ちがあって、クリアになりません。アサミさんを振り回してしまったことはお詫びします」
何、なに、ナニ!? このメッセージで終わりにしようと思ってる?
アサミ「お詫びなんてしないでください。気持ちがクリアにならないというのもわかります」
彼のメッセージの言葉を、自分なりに受け止めたつもりだった。
アサミ「メッセージでは伝えきれないので、もう一度会って話しませんか?」
メッセージだけじゃ、やっぱり上手く伝わらない。彼の本心もわからない。だって、この間会ったときは、あんなにベタベタしてくれたでしょ?
ジェントルさんから電話がかかってきた。
やだなぁ……。もうイヤな予感しかしないもん。電話じゃなくて会って話したい。けれど、話さないことには進まない。しぶしぶ電話に出た。
アサミ「もしもし」
ジェントル「もしもし、ジェントルです」
なんかもう、声であきらかにテンション低いのがわかる。体調悪いのかもしれないけど……。
あーぁ、また私フラれるの? 最初は彼からアプローチしてきてくれたのに、結局また去っていくの? そういう人じゃないと慎重に見極めて付き合ったつもりなんだけどな。
いや、まだ挽回の余地はある!
ジェントル「本当に申し訳ない。僕はいま、やっぱり恋愛をしているときじゃないんです」
アサミ「はい……。それはわかりました。ただ、私が好きでいちゃ、迷惑ですか?」
メッセージで書いたストレートな言葉を、今度は口に出して言ってみた。
ジェントル「迷惑じゃありません」
アサミ「じゃ、いいじゃないですか」
なるべくやさしいトーンで話す。
ジェントル「そうじゃないんです。これ以上、アサミさんを振り回すわけにはいかないんです」
アサミ「振り回されてるなんて、思ってないです。大丈夫。私はジェントルさんに出会えて幸せです」
つとめて彼を責めないようにした。明るく、前向きに。
ジェントル「いえ、結果的に振り回しています」
そんなことないって言ってるのに……頑固だなぁ。
ジェントル「アサミさんと会うようになった頃は、健康の不安がありませんでした。子供も、パパはパパの人生を幸せにって言ってくれていたりして」
付き合う前に、子供がいてもいいですかって聞かれて、「はい」って答えたじゃない。
ジェントル「でも病気のことがわかって、子供には伝えていませんけど、僕自身にとっていま何が大切かを考えたんです。そうしたら、やっぱり何よりも子供の将来だったんです」
アサミ「はい、それは当然のことだと受け止めてます」
お子さんのことを優先するのは本当に気にしてない。なんでそんなにこだわるんだろう?
ジェントル「病気のことがあってわかったのは、僕はアサミさんを一番にはしてあげられない。いまだけじゃなくて、たぶんずっと。それはアサミさんに申し訳ないことです」
アサミ「お子さんと私はくらべるものではないと思います。お子さんが一番なのは当然です。それで私は全然不満なんて思っていません」
ジェントル「アサミさん、それはいい人すぎます!」
ここまでちょっと興奮していた声を、少し落ち着けるようにひと呼吸おいた彼。
ジェントル「いまはそれでいいと思うかもしれません。でもこの先を考えたら……アサミさんがどうしてもそばにいてほしいと思ったとき、僕はいられないこともあるんです。アサミさんに悲しい思いをさせてしまいます」
言葉が、出てこなかった……。
私をいい人すぎると言って、頑なに拒む彼。病気のときだからこそ一緒にいたいと思う私。会って話したときから一転、電話での会話はまた逆戻りになってしまった━━。
【お互いの主張はまた平行線。これからどうなる? 8月28日(水)17時をお楽しみに!】
【前回はコチラ】
#158 別れの危機、どうやって回避する? 47歳独女の場合【40代編集長の婚活記】
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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