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住宅生産団体連合会(住団連)の「2016年度戸建注文住宅の顧客実態調査」の結果が公表された。注目したいのは、「採用したもの」「採用の有無にかかわらず特に関心が高いもの」の断トツ1位に挙がった「メンテナンスフリー外壁」だ。【今週の住活トピック】
「2016年度戸建注文住宅の顧客実態調査」結果を報告/(一社)住宅生産団体連合会調査結果で注目される「メンテナンスフリー外壁」
この調査は、三大都市圏と地方都市圏に注文住宅を建てた人を対象に住団連が毎年行っているもので、2016年度版で第17回目となる。
まず、調査結果の概要を紹介しよう。
世帯主年齢の平均は41.0歳。建て替えにより新築した割合は28.9%、更地に新築した割合は57.4%、親の土地(相続含む)に新築した割合は11.7%で、更地に新築が過半数となっている。
建築費(土地の取得費は含まない)の平均は前年度より84万円増加の3454万円で、1m2当たりの平均建築費単価は26.5万円(前年度25.4万円)と一気に上昇した。
さて、筆者がこの調査結果で注目したのは、今回から追加された「特に重視した最新設備・建材・技術」についてだ(画像1参照)。
顧客が採用したものでは、「メンテナンスフリー外壁」が 41.1%で最も高く、次いで「エコキュート」(35.4%)、「HEMS(ヘムス)」(32.0%)の順となった。次に、採用の有無にかかわらず、特に関心が高かったものを見ると、こちらも「メンテナンスフリー外壁」が 20.0%で最も高くなり、次いで「構造システム(免震・制震等)」と「ZEH」(ともに 12.7%)の順となった(不明を除く)。
注文住宅の顧客が重視している「メンテナンスフリー外壁」とは、どういったものなのだろうか?
修繕の時期を延ばすことでメンテナンス費用を抑えられる点が魅力「メンテナンスフリー外壁」について、建築家の原田正史さんに詳しい話を聞いた。
以前から業界では、外壁や屋根で大掛かりな修繕時期を延ばすことができる材料や工法を説明するときに「メンテナンスフリー」という言葉を使っていたが、最近は建材メーカーなどが力を入れて新商品を提供していることから、最新設備として注目されるようになったという。
外壁は、常に外気にさらされるので、汚れの付着や劣化が進みやすい。10年~15年経つと大掛かりな修繕が必要となるケースが多いが、面積が広いうえに足場を組む必要があるなど、修繕費用が高額になる。「メンテナンスフリー外壁」に決まった定義があるわけではないが、まったくメンテナンスが不要なわけではなく、修繕時期を延ばすことがポイントで、長期的なメンテナンス費用を抑えられる点が大きなメリットとなる。
修繕時期を延ばすには、雨や太陽光(紫外線)を避けることが大切で、次のようなことが必要となる。
・耐久性の高い外壁材を使う
・光触媒塗装で汚れを落ちやすくする
・屋根の庇を長くするなど設計上の工夫をする
「耐久性の高い外壁材を使う」は、堅牢なタイルや屋根材などを外壁に使ったり、ALC(軽量気泡コンクリート)やサイディングなどの外壁パネルでも高耐久性塗料を塗ったり、劣化の早い目地に耐久性のあるものを使ったりすることで、外壁の修繕時期を15年や20年に延ばすことができる。
「光触媒塗装」とは、外壁の寿命を延ばすことができる技術で、外壁に付着する紫外線による汚れを光触媒効果によって分解し、親水化された塗膜で雨が汚れを洗い流すことができる塗料を塗装すること。
この調査では「光触媒塗装」を別項目として聞いているので、調査でいう「メンテナンスフリー外壁」は、耐久性の高い外壁材を指していると考えらえる。
「メンテナンスフリー = 何もしなくてよい」と考えがちだが、そういうわけではない。塗料の塗り替えや目地のシーリングの打ち直しが必要になったり、施工の精度が低ければ効果が期待できないということもある。定期的な点検など、メンテナンス計画もきちんと考えておく必要があるだろう。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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