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元国税局職員さんきゅう倉田です。
税金やお金についての情報を発信していると、お悩み相談が送られてくることがあります。
「お金を貸したけれど返ってきません」「転職しました。確定申告をしたほうが良いのでしょうか?」「ファイナンシャルプランナーに、不動産投資を勧められています。どうしたら良いでしょうか?」
何百件もの相談に目を通すと、みなさんが悩んでいることは、大体一緒であることが分かります。そして、相談をしてくるのは99%が女性です。女性の方が、お金のトラブルに出会いやすいのでしょうか。
税理士法に違反するので、税金に関することは、一般的な事しかお答えできません。答えることはできないけれど、記事としてまとめることはできます。今回は、「103万円の壁」で悩んでいた女性の話について。
25歳のA子さんはアルバイトをしています。今までは、毎年103万円以内で働いていましたが、今年はそれを超えてしまいそうです。
物欲が増し、お祝い事も増えたため、103万円を超えないという選択肢はありません。でも、不安です。
今まで扶養だったのに、急にたくさんお金を稼いだら、行政から連絡が来るかもしれません。相談したくても、区役所に行くべきか、税務署に行くべきか、その他の行政機関に行くべきかわかりません。
また、平日はアルバイトがみっちりあって、行くことができません。電話でも対応してくれるかもしれませんが、上手く話せないかもしれないと思うと、受話器が重たく感じます。
さて、A子さんはどのようにすべきでしょうか。
A子さんを扶養にしている家族は、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しています。前年の秋頃に、A子さんを扶養にする旨を、ここに記載しているはずです。
そうすると、A子さんは自分の収入が増えたことを家族に伝え、家族は勤務先に伝えて手続きをしなければいけません。
12月には年末調整がありますが、それを過ぎていても、伝える必要があります。具体的には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を再度提出し、年末調整をやり直します。
つまり、A子さんは行政からの連絡を待つのではなく、自分から行動する必要があります。
また、A子さんの給与は自治体に連絡され、家族の扶養のデータとの突合が行われます。年末調整のやり直しがなければ、確認の連絡があるかもしれません。
A子さんは、自分は確定申告が必要なのかもしれないと考えているようでした。
会社員、パート・アルバイトのことを「給与所得者」と言いますが、給与所得者が確定申告をする場合は限られています。
年収が2000万円を超えるとか、副業をしているとか、2箇所以上で働いているとか、医療控除があるとか、そういった場合です。
A子さんのように、103万円を超えて働いただけでは、確定申告は必要ありません。
給与所得控除65万円と基礎控除38万円の合計が、103万円です。社会保険料控除などがなければ、103万円を超えた部分に5%の所得税がかかります。
また、100万円を超えた部分には、10%の住民税がかかります。これらは、あくまで超えた部分についてかかるので、103万円×5%といった計算にはなりません。
A子さんを扶養にしていた家族は、扶養控除が減り、勤務先からの扶養手当などが減る可能性があります。
お金のことが分からずに困っている人はたくさんいます。誰かに聞きたくても、何が分からないかも分からないくらい分からない。そうなると聞くことができないし、もしかすると、聞いた相手も分からないかもしれません。
安心していただきたいのは、いきなり、すべてを理解するのは誰にでも難しい。みんな、少しずつ理解して、今に至っています。
お金のことは、税務署や区役所の担当者に聞けば、優しく教えてくれます。よく分かっていない相手の対応も慣れていて、先回りしてアドバイスをしてくれるかもしれません。
あなたが正しく税金を払っているのなら、いつだって頼りにしていい存在です。
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この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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