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木を燃やして発電するのにエコ? 木質バイオマス発電の仕組みってどうなってるの?

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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木を燃やして発電するのにエコ?木質バイオマス発電の仕組みってどうなってるの?

「木」から電気をつくる木質バイオマス発電。現在、全国各地のさまざまな規模の発電所で木を使った発電が行われている。木から電気をつくるとはどういうことなのだろう。また、木を使うことで森林が減るなど環境に影響はないのだろうか。そこで、北海道ガス主催のエネルギーを学ぶバスツアー「木質バイオマス発電 丸わかりツアー」に参加して、小学生といっしょに勉強してきた。
火力発電の仕組みをおさらい。木質バイオマス発電って何?

火力発電所は、巨大な扇風機のようなタービンを蒸気で回すことで、タービンにつながっている発電機を動かして電気をつくっている。タービンを回すための蒸気をつくる燃料としては、天然ガスのほか、石油や石炭などの化石燃料がある。そして、最近注目されているのは、植物や食物の食べ残し、下水汚泥、家畜の糞尿などさまざまな生物資源(バイオマス)だ。生物資源のなかでも、「木」を使うものが木質バイオマス発電と呼ばれている。

【画像1】木質バイオマス発電の仕組み。木のチップを燃やしてタービンを回し、発電する(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】木質バイオマス発電の仕組み。木のチップを燃やしてタービンを回し、発電する(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

木を使って発電することのメリットは何なのだろう。木を使うことは森林破壊につながったりしないのだろうか。そんな疑問を解消すべく、私が参加したのが北海道ガス主催の「木質バイオマス発電 丸わかりツアー」だ。小学生を対象にしたツアーだから、発電の仕組みすら実はよく分かっていなかった私でもきっと大丈夫。2017年9月16日の朝、約20組の小学生親子といっしょに札幌市の中心部から大型バスで出発した。

育つために間伐が必要な山林。廃棄される間伐材を発電の燃料に

ツアーは、クルマで約2時間の、むかわ町にある三井物産が所有する似湾乙(にわんおつ)山林で間伐などを体験したあと、苫小牧バイオマス発電所を見学する。

見学する苫小牧バイオマス発電所は、三井物産、住友林業、イワクラ、北海道ガス4社の共同出資で設立され、2017年4月に営業運転を開始している。発電した電気は、北海道ガス(北ガス)が全量を買い取り、「北ガスの電気」として北海道内の家庭へ供給されている。
「木質バイオマス発電といっても、木質資源だけではなく、石炭など他の燃料を併用する発電所が多いのですが、苫小牧バイオマス発電所はすべて地元北海道産の間伐材を使っています」と、今回のツアーに「発電の先生」として同行した新谷一之さん(苫小牧バイオマス発電株式会社 事業部長)。

その苫小牧バイオマス発電所で燃料として使われている間伐材は似湾乙山林からも運ばれている。「森の先生」鎌田学さん(三井物産フォレスト北海道事業本部 札幌山林事務所所長)によると、
「人が木を植えて育てる人工林は、手入れをしないと元気な森に育ちません。木が茂りすぎて隣の木と枝や根がぶつかったり、地面に光が届かなくなって下草が生えず土の元気がなくなったり、動物が来なくなってしまったり。二酸化炭素をたっぷり吸える森になるよう、木を切って間隔をまばらにする間伐が重要なのです」

また、間伐を行う場所と発電所が近く、運搬に大量のエネルギーを使わずに済んでいることが、この発電所の特徴のひとつだ。

間伐された木は枝を払われ、幹は丸太となって森に積み上げられるが、引き取り手がなければそのまま放置され、土に還っていくのだそう。しかし、バイオマス発電所で使われれば廃棄物は減り、資源として役立つものになる。つまり、木から電気をつくることは森林を減らすのではなく、活用されていなかった森林の資産を有効活用することになる。さらに、新たな雇用を生み出すことで地域や林業の活性化にもつながるのだ。

では、木を使うことで発電にはどんなメリットがあるのだろう。

【画像2】松の一種、キタゴヨウの間伐体験。ほかの木との間隔が狭く、元気のない木を切る(写真撮影/田方みき)

【画像2】松の一種、キタゴヨウの間伐体験。ほかの木との間隔が狭く、元気のない木を切る(写真撮影/田方みき)

【画像3】ほかの木に影響のない方向に引っ張って倒す。倒した木は枝を払い、丸太になって発電所に運ばれる(写真撮影/田方みき)

【画像3】ほかの木に影響のない方向に引っ張って倒す。倒した木は枝を払い、丸太になって発電所に運ばれる(写真撮影/田方みき)

【画像4】間伐された木。材木工場やバイオマス発電所などで利用されなければ廃棄物になってしまう(写真撮影/田方みき)

【画像4】間伐された木。材木工場やバイオマス発電所などで利用されなければ廃棄物になってしまう(写真撮影/田方みき)

木質バイオマス発電は二酸化炭素排出量の低減につながる

利用されないまま捨てられてしまうことも多い間伐材を燃料にした木質バイオマス発電は、再生可能エネルギーを使った発電方法。間伐材の有効活用以外にもメリットがある。

特に大きなメリットは二酸化炭素の低減だ。地球温暖化の原因として問題になっている二酸化炭素の増加。木質バイオマス発電も木を燃やすときには二酸化炭素が発生する。しかし、その二酸化炭素は木が成長するときに大気中から吸収したものなので、大気中の二酸化炭素の量は変化しないという「カーボンニュートラル」という考え方が当てはまる。このため、木を燃料にすることは二酸化炭素の排出を抑え、地球温暖化防止に貢献することになる。

そのほか、間伐材の収集や搬出・搬入、バイオマスエネルギー供給施設や利用施設の新設や運営などを通して、新しい雇用や産業が生まれ、林業の振興、地域活性化につながるという期待も寄せられている。

【画像5】発電所の敷地内に運び込まれた北海道産の間伐材。半年以上かけて乾燥させる(写真撮影/田方みき)

【画像5】発電所の敷地内に運び込まれた北海道産の間伐材。半年以上かけて乾燥させる(写真撮影/田方みき)

【画像6】乾燥した丸太は効率よく燃やすために、細かなチップにする。写真奥の建物で粉砕されたチップが左側に山積みになっている(写真撮影/田方みき)

【画像6】乾燥した丸太は効率よく燃やすために、細かなチップにする。写真奥の建物で粉砕されたチップが左側に山積みになっている(写真撮影/田方みき)

【画像7】1日200tのチップが発電のために使われている(写真撮影/田方みき)

【画像7】1日200tのチップが発電のために使われている(写真撮影/田方みき)

【画像8】北海道苫小牧市にある苫小牧バイオマス発電所。発電規模は5.9MW、年間送電量は約400万kWhで一般家庭約1万世帯分の年間使用電力量に相当する。敷地内に積まれた木材は約10万tで約1年半で使い切る量だ。(画像提供/苫小牧バイオマス発電株式会社)

【画像8】北海道苫小牧市にある苫小牧バイオマス発電所。発電規模は5.9MW、年間送電量は約400万kWhで一般家庭約1万世帯分の年間使用電力量に相当する。敷地内に積まれた木材は約10万tで約1年半で使い切る量だ。(画像提供/苫小牧バイオマス発電株式会社)

現在、全国各地でバイオマス発電所の新設計画が打ち出されている。二酸化炭素の排出を抑えながら、森林の保護にもつながる木質バイオマス発電は、国産エネルギーを使った貴重な発電方法として注目したい。

●取材協力
・苫小牧バイオマス発電株式会社
・北海道ガス 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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