/
これから迎える老後。毎日の仕事がなくなり自由な毎日が待っているはずですが、前回までの記事で紹介したように、楽しみもあるけれど、やはり不安もあるようで……。今回は、既に定年を迎えた60代、70代の男女に後悔していることや準備していたことをアンケート。最後に、これから定年を迎える人にアドバイスをいただきました。
まず、現在のトータルの金融資産額をチェック。一番多かったのは「500万円未満」で19.0%でした。家や車などのローンの返済が終了していればいいですが、これから年金のみで暮らしていく予定であれば、病気、ケガなどの予想外の出費を想定すると少し不安が残る資産額かもしれません。
しかし全体を集計してみると、500万円以上持っている人が全体の56.4%、なかには1億円以上持っている人が3.3%いるという結果に。前回の記事で紹介したように、老後において金銭面での不安は大きく、定年後に資産がある程度あることは、安定・安心の老後を送る上で重要でしょう。
また、普段の生活における収支に関するコメントは、以下のとおりでした。
・年金では不足なので、貯金を使うしか道がない(69歳・女性)
・収入は1/3くらいとなっても、生活費を1/3にはできない(77歳・男性)
・今は健康なので医療にかかる費用が少なく、なるべく貯蓄にまわすようしているが、今後は少し不安(66歳・女性)
・孫の入園や、甥っ子の結婚など出費が多く、月によっては年金額を10万円近く超えることがある(68歳・男性)
・定年後は質素な生活をし、できるだけ切り詰めている。年金内で生活できるが趣味などには余裕がない(66歳・男性)
・夫婦の年金で贅沢をせずに何とか生活ができている(72歳・男性)
・現状では預貯金ができないので何かあったときに非常に不安になる(69歳・男性)
・再就職をしているので、収支については問題ない(67歳・男性)
・若いころにやった投資マンションの家賃収入が効いている。なんとか貯金ができる程度にはなっている(67歳・男性)
・生活費のほか医療費を始め出費が多く、貯金を切り崩しているので、蓄えが減っていくことが不安(66歳・女性)
収支がトントン、または収入に余裕があるというコメントは少数派で、多くは収入より支出が上まわり、切り詰めた生活をしているというものでした。
約3割が「後悔あり」。定年前にやっておきたかったことは……また、定年を迎える前にやっておきたかったなど、後悔があるか聞いたところ、「後悔がある」と答えたのは33.7%。
その内容として最も目についたのは、「もう少し貯蓄をしておけばよかった」というもの。「定年後に長い人生が待っている。楽しく送るために体力づくりと貯金をしておけばよかったと後悔している。やりたいことはたくさんあるが、体力と資金がないのが残念(66歳・男性)」「現役時代にもう少し計画的にお金を使えばよかった。数百万円は浪費しただろうと後悔している(69歳・男性)」といったコメントがありました。
趣味についてのコメントも多数。「趣味をもっておきたかった。今、探している(62歳・男性)」「生涯できる趣味を見つけておけばよかった(67歳・女性)」など。老後にも楽しめる趣味をもっておくと、趣味を通して友人も増え、楽しみが倍増しそうですよね。
ほかには「定年後を想定して計画しておけばよかった」というもの。例えば「英語をはじめもっと勉強をしておけばよかった(73歳・女性)」や「親との同居について具体的に決めておくべきだった(66歳・女性)」、「資格をもっていればよかった。定年なしで働ける可能性があったと思う(67歳・男性)」などが挙がりました。
また、「結婚、または結婚への目途(67歳・男性)」「定年になったら旅行に行くのではなく、現役時代も休みを取って旅行に行くべきだった(68歳・男性)」「もっと広く(全国的に、年代的に)人脈を構築しておきたかった(60歳・男性)」「個人年金などの積み立て、投資(63歳・男性)」なども。
老後に向けて準備をした人は、全体の3割しかいない結果にでは、定年に向けて準備したことはどうでしょうか。
「準備していた」と答えたのは全体の約3割。約7割は「準備していない」と答えました。準備していた人のなかでは、「ローンを完済した(65歳・女性)」「生活費の確保(62歳・男性)」といった金銭的な準備をしていた人のコメントが目立ちました。
また、「田舎への引越し(61歳・男性)」や「同一建物内の家賃の安い部屋へ転居した。身のまわりを整理し身軽になった(62歳・女性)」など住まいを替えた人や、「車の普通2種・中型免許取得。ホームヘルパー資格取得。パソコン訓練受講(63歳・男性)」など資格を取得した人、「あまりお金を使わなくても楽しめる趣味をもつ(自家菜園)(62歳・男性)」など。
若いうちにやっておきたいことは、ダントツで「貯蓄」!最後に、これから定年を迎える人に向けてアドバイスをもらいました。
・毎日充実する過ごし方を考えておくこと。男性は家事をしっかり身に付けておく(76歳・男性)
・住まいを確保して、貯蓄をしておくこと(68歳・男性)
・友達を多くつくっておくと、いろいろ楽しみが増えると思う(66歳・男性)
・貯蓄は1円でも多くすること。若いときの辛抱はできても、老いてからお金がないのは惨めそのものです(69歳・女性)
・趣味はもっていたほうがいい。それも外に出かけるようなこと。家に1日いると、お互い息がつまる(67歳・男性)
・身体を大事に、病気は現役のうちに治しておきましょう。医療費はバカにならない(63歳・男性)
・自己投資にはけちらないこと。同時に無駄遣いはせずに、できるだけ貯蓄をすること(69歳・女性)
・住居を早く持ち、定年後の住居費はゼロにしておいたほうがいい(69歳・男性)
・年金だけでどの程度の生活ができるか計算しておいたほうがいい(75歳・男性)
・終の棲家(ついのすみか)として、住宅を過ごしやすい環境にするよう建て替えをすましておいたほうがいい(71歳・男性)
・夫婦仲良く暮らせる基盤をつくること(68歳・男性)
・やりたいことを書き出して絞り込みをしておくこと。実現のために必要なことをチェックしておき、準備すること(66歳・女性)
・高望みをしないこと。昨日に変わらない今日があることが大事と考えること(73歳・男性)
アドバイスからは、「貯蓄」「人脈」「住まい」「健康」「計画」というキーワードが浮かびました。特に「貯蓄」に関してはコメントが多く、「1円でも多く」というワードも目立ちました。
男女の平均寿命は、平成26年の厚生労働省の調査で男性が80.5歳、女性は86.8歳で、ともに過去最高を更新しました。60歳で定年を迎えたとすると、そこから20年余りの人生が待っているわけです。年金をあてにできない時代。自ら貯蓄を行い、「やりたいことがお金がなくてできない」という状況をつくらないことは、充実した老後を過ごす上で大切なのかもしれません。
もちろんお金だけでは楽しい老後はあり得ません。あなたにとって、大切なものは何なのか。このアンケートが、それを考えるきっかけになればいいなと思います。
●調査概要この記事のライター
SUUMO
172
『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
ライフスタイルの人気ランキング
新着
カテゴリ
公式アカウント