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住宅版「残価設定ローン」の導入が中古住宅市場の活性化を促す!

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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住宅版「残価設定ローン」の導入が中古住宅市場の活性化を促す!

「残価設定ローン」という言葉を聞いたことがあるだろうか。車を購入するときに勧められたことがある人もいるかもしれないが、数年後の車の下取り価格をあらかじめ差し引いて残りの金額を分割して返済するローンのことだ。この仕組みを住宅ローンに活用し、性能の良い住宅を購入しやすくしようという検討が「北海道R住宅ストック流通推進プロジェクト」で進められている。
残価設定ローンで住宅を購入できれば毎月の返済負担は減ることに

車の購入で「残価設定ローン」を利用すると、返済するのは車の代金から将来の下取り価格をマイナスした分。下取り時には車を販売した会社が買取保証額(=残価)を支払い、ローンが完済される仕組みだ。車の代金全額を分割して返済するよりも、当然、毎月返済額は少なくなる。

もしも、この仕組みが住宅購入時のローンに導入されれば、住宅ローンの毎月返済負担は大きく抑えることができる。

住宅の購入に使える残価設定ローンを、例えば10年後の残価(買取保証額)をあらかじめ設定し、住宅価格から残価をマイナスした金額の範囲を分割して返済する仕組みとする。購入者は、通常の住宅ローンで購入した場合よりも当初10年間の返済額を低く抑えることができ、10年経過時には、「残価分を一括支払い、または再ローンを設定して住み続ける」「住宅を販売した会社に買取保証額で買い取ってもらって家を手放す」といった選択が可能だ。

【画像1】残価設定ローンのイメージ(筆者作成)

【画像1】残価設定ローンのイメージ(筆者作成)

良質な中古住宅の流通を促進させようという「北海道R住宅ストック流通推進プロジェクト」の一環として、北海道でシーアイエス計画研究所(本社:札幌市)を中心に、地元金融機関などと恊働し、この「残価設定ローン」の仕組みを住宅へ導入しようという動きがある。

このプロジェクトは国土交通省の「平成28年度長期優良住宅化リフォーム推進事業(提案型)」に採択され、補助金の対象にもなっている注目の取り組みだ。

「残価設定ローンを活用したプロジェクト」実現への取り組み

ローン返済額を少なくできる「残価設定ローン」のメリットを引き出すためには、住宅の価格に占める買取保証額の割合を高く設定できることが重要。買取保証額は高く、ローン返済対象分は少なくすることで、毎月の住宅ローン返済額を低くできるからだ。ケースによっては、周辺の家賃相場よりも低い金額で住むことも可能になる。

【画像2】買取保証額が高いほど、毎月の返済負担が少なくなる(筆者作成)

【画像2】買取保証額が高いほど、毎月の返済負担が少なくなる(筆者作成)

将来の買取保証額を高くするには、住宅性能が高く、さらにその性能を長期間維持できることが重要だ。「北海道R住宅ストック流通推進プロジェクト」では、まず、高い住宅性能を形にするため、リフォームには「北海道R住宅仕様」、新築住宅には「北方型住宅仕様」といった、長期優良住宅と同レベルでの施工を規定している。そして、高い住宅性能を維持するために、定期的な点検(インスペクション)や修繕、住宅の履歴情報の保管などを実施する。

また、万が一、買取保証をした住宅販売会社が倒産した場合でも、確実に買い取りが実行されるよう、プロジェクトに協力している企業グループで買い取りを行うなど、住宅購入者のリスクや不安をカバーすることも検討している。

【画像3】「北海道R住宅ストック流通推進プロジェクト」で規定する住宅性能(資料提供:シーアイエス計画研究所)

【画像3】「北海道R住宅ストック流通推進プロジェクト」で規定する住宅性能(資料提供/シーアイエス計画研究所)

取り組みの実現は、中古住宅市場の活性化にもつながる

この取り組みが北海道で生まれた背景のひとつに、北海道の住宅性能の高さがある。北海道では厳しい気候条件に耐えるため、住宅の断熱性や気密性の向上が早くから取り組まれてきた。そのため、高性能な中古住宅のストックが他のエリアに比べて多いといえる。

「昭和50年代には北海道の住宅の基礎は、鉄筋が入った布基礎が一般的になっています。これは、当時の建築基準法よりも厳しい住宅金融公庫の技術基準を満たすものでした。平成に入ってからは、さらに性能の良い住宅が普及しています。既存住宅の性能を上げる際、もともと性能品質の高い住宅はリフォーム費用を少なく抑えられ、一般的な住宅よりも買取保証額の割合を大きくすることができます」(シーアイエス計画研究所代表取締役社長 服部倫史さん)

【画像4】もともと高性能な住宅はリフォーム費用が少なく抑えられ、買取保証額の判定の基準となる建物価格+土地価格の割合を大きくできる

【画像4】もともと高性能な住宅はリフォーム費用が少なく抑えられ、買取保証額の判定の基準となる建物価格+土地価格の割合を大きくできる

つまり、住宅性能が高い北海道は、残価設定ローンを活用しやすい環境が整っていたのだ。とはいえ、近年は全国的に、住宅の性能向上に関するさまざまな取り組みが行われている。2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」をはじめ、2009年の「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」など、国も優良な住宅の普及に力を入れている。

そのため、今後、全国の中古住宅市場には良質な住宅が増えてくることが見込まれる。その際、性能の高い住宅が適正に評価され、残価設定ローンが利用できるこの仕組みが普及していれば、住宅は購入しやすくなる。売却もしやすくなり住宅市場の活性化につながるだろう。購入する家に永住するのではなく、ライフスタイルの変化に応じて住み替えをしたい人にとっても選択肢が増えることになりそうだ。「北海道R住宅ストック流通推進プロジェクト」の今後に注目したい。

●取材協力
シーアイエス計画研究所

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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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