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2016年NHK大河ドラマ『真田丸』の余韻も冷めやらぬうちに、2017年の『おんな城主 直虎』が間もなくスタート! 期待が高まるなかで、実のところ「井伊直虎(なおとら)」という名前にはなじみがないという人がほとんどではないだろうか? 「井伊直虎? 『安政の大獄』と『桜田門外の変』の『井伊直弼』の先祖?」くらいの認識しかなかった筆者だが、これを機に、急きょ、井伊氏ゆかりのスポットをバーチャルに探訪するとともに、このエリアの家賃も紹介。脚本を担当する森下佳子さんに「ドラマの見どころ」も聞いてきた。
直虎が生まれ育った「井伊谷」ってどんなところ?
まずはじめに謝っておきたい。井伊直弼→彦根城という短絡的な発想で、私は『おんな城主 直虎』の舞台を、彦根城のある滋賀県だと思っていた。……が、違ってました。井伊氏は、今の静岡県浜松市がもともとの本拠地。「井伊谷」というのがその地名で、読み方は「いいのや」なのだとか。井伊直虎はこの井伊谷で生まれ育ち、生涯、この地を出ることはなかったのだという。井伊家が彦根へと移るのは、直虎の次代当主、直政(なおまさ)の代のときだ。
井伊谷は、「浜松市北区引佐町井伊谷」という住所が現存するとおり、現在の地名にも残っている。浜松市中心部の北北西に位置していて、「谷」というよりは、むしろ、北側をぐるりと山に囲まれた「盆地」状なのだとか。盆地の南側には浜名湖が広がっていて、盆地を流れてきたいくつかの川が、そろって浜名湖に注ぎ込んでいるという位置関係だと言えば、分かりやすくなるだろうか。
この地に残る井伊家関連のスポットとしては、まず井伊氏初代の井伊共保(ともやす)の出生地とされる井戸が挙げられる。井伊谷の田んぼのど真ん中に突如として現れるこの井戸、明らかに歴史的に意味をもつ旧跡であることがそのたたずまいから伝わってくる。
次に挙げられるとすれば、井伊谷城址だろう。かつて井伊家の居城であった井伊谷城。その城の跡から見下ろす盆地の風景を、直虎はじめ井伊家の人々も眺めていたのだろうと思うと、実に感慨深い。
物語は、こうした緑豊かな土地を舞台に、幕を開けるようだ。
井伊家とは切っても切れない関係の龍潭寺井伊谷に残るスポットで、とりわけ井伊家とゆかりの深いものといえば、龍潭寺(りょうたんじ)だ。龍潭寺は、井伊家の菩提寺であり、井伊家の歴史が綴られた歴史書『井伊家伝記』も、龍潭寺第九代和尚が書き記した後、この寺に伝わっていると言われている。
直虎の大叔父にあたる人物で、井伊家の軍師的な存在であった南渓(なんけい)和尚も、実はこの寺の住職。直虎の良き相談相手として、物語の中でも重要な役割を果たしていく。
そして、直虎自身も、若いころ、この寺で出家して「次郎法師」となり、その後の人生を尼として生きることになったと言われている。そういった意味でも、この寺は、直虎の生涯と密接にかかわりあっていく最重要スポットといえそうだ。
井伊家ゆかりの地に住むとしたら?初代共保公が生まれた井戸や菩提寺である龍潭寺、井伊谷城址など、井伊家が代々この土地で紡ぎあげた歴史の痕跡が今も残る井伊谷。この地で、直虎が生きた気配を感じながら暮らすには、いくらぐらいかかるのだろうか。やや強引な展開かとは思いつつ、ここで「井伊谷周辺エリア」の家賃相場を紹介したい。
浜松市北区にあるアパートマンションの家賃の平均額と物件数は以下のとおり。
賃貸物件が豊富なのは、ワンルーム1K1DKで、合計1815件。家賃は、平均4万円前後といったところだ。もう少し広めになると、2LDKが778件で平均6.1万円。ファミリー向けの3LDKも112件あり、平均7.87万円というのがこのエリアの相場だ。単身者向けのコンパクトな間取りの物件が多いが、ファミリー向けの物件も一定数はあり、家族構成やライフスタイルに応じた住まいのチョイスが可能だ。
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今の世の中との共通点に思いをはせながら恋模様にもドキドキ最後に、『おんな城主 直虎』の脚本を手掛ける森下佳子さんに、見どころを聞いてみた。
――ズバリ、このドラマの見どころを教えてください
見どころは大きく2つあります。すごく真面目な見どころと、“イケメンパラダイス”的な見どころと。まず、真面目なほうは、今の世の中と戦国時代に共通する、ある意味、壊滅的な状況の中で、主人公の直虎が、どうやって自分の使命を成し遂げていくのかという点です。
――今と戦国時代って似ているんですか?
今の世の中って、 “ケモノ化”してきていますよね。イギリスが国民投票でEU離脱を決め、アメリカではトランプが大統領になって……。これまで人間たちが頑張って胸を張ってつくり上げてきた「人類は平等です」「差別はいけません」「皆で手をつなぎ合いましょう」といった美しい金科玉条が、「やっぱりそんなこと無理じゃん」とポイされようとしていて。その代わりに、「自分の家が何よりも大事」「自分の国が何よりも大事」「自分のところさえ良ければいい」という、いささかエゴイスティックな動きが幅を利かせつつあるように感じます。
実は、戦国時代もそういう時代だったんです。最近の学説では、戦国時代初期の日本が小氷河期だったのではないかと言われていて。どうも、とても気温が低くて、稲が不作だったらしい。だからよそから奪わないと食えなかった。大名が指揮を取って国同士が戦うだけではなく、もっと小さな単位、つまり村レベルに至るまで、財産や土地を略奪し合う社会だったのではないかと。結局、昔も今も、人は食えなくなると奪い合う方向に走るわけです。そんな中で、直虎が家督を継いだ井伊家も、当時、ものすごく痛めつけられていたんです。
――直虎、苦労したんですね……
戦や謀略のせいで家督を継ぐ男たちがいなくなってしまった上、領民たちも井伊家自体も借金漬けになっていました。その上、井伊家には武田氏や今川氏のように、金山銀山といった資源もない。今の日本の状況と似てますよね。直虎が井伊家の家督のバトンを渡されたときは、まさにそんな状況だったわけです。そうして、息子(養子)である虎松(後の井伊直政)の後見人として城主となった彼女が、あれやこれやの後にその直政を徳川家に送り込むということをやり遂げる。それも、一度も剣を持たずに、誰一人殺さずにそれをなし遂げたんです。いったい、どんな風にして彼女がそんな離れ業をやってのけたのか、そこに注目してご覧いただけると面白いと思います。
――二つ目の“イケメンパラダイス”的なほうの見どころは?
直虎を取り巻く「ベルばら的な恋愛模様」ですかね(笑)。まず、直虎の婚約者となった幼なじみの亀之丞(後の井伊直親三浦春馬)。しかし、彼と結婚できなくなって出家すると、今度はもう一人の幼なじみであるその直親の敵方の息子である小野政次(高橋一生)と戦っていくことになって。そこに、怪しい盗賊団の頭、龍雲丸(柳楽優弥)が現れ、なおかつ息子の直政(菅田将暉)がキレッキレになって戻ってくる。この4人の男とのベルばら的な絡みがお楽しみいただけると思います。「ベルばら的な絡み」の意味、分かりますか?
――えっと……「ベルばら」だから、「オスカルの周りにアンドレもいればフェルゼンもいる」みたいな?
そう! そこにアランもロベスピエールもいる。そのぐらい、あらゆるタイプを取り揃えています。直親はキラッキラの王子様。政次は基本的にインテリで意地悪に見えるけど実は一番優しいし、龍雲丸はちょっと不良っぽくて、直政はとにかく利かん坊。芝居が下手な人は一人もいないので、皆さん、それぞれのキャラクターを見事に演じ切ってくださると思いますよ。
「井伊家発祥の地は彦根じゃなかった!」からスタートした、バーチャル探訪。龍潭寺の売店では、「井伊直虎グッズ」も扱うというから、興味のある人やお近くの方は、ぜひリアルに井伊家ゆかりのスポットを訪ねて、“大河な気分“をより盛り上げてドラマ視聴に臨んでほしい。
それから、森下さん激推しの“ベルばら4人衆”は、番組公式ホームページの「登場人物」で予習して! 個人的には小野政次役の高橋一生さんの演技に期待度MAX。「インテリで意地悪に見えるけど実は一番優しい」って、ツンデレってことじゃん! 戦国時代のツンデレを早く味わいたい私なのでした。
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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