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あの人のお宅拝見[2] 編集者・石川次郎さんのセカンドハウス(後編)

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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あの人のお宅拝見[2] 編集者・石川次郎さんのセカンドハウス(後編)

前編で紹介した、私が尊敬する雑誌編集長・石川次郎さんのセカンドハウスライフ。居心地の良いリビングで、若かりし日の住まい遍歴も伺った。1984年『CASA BRUTAS』創刊につながる“居住空間学”というテーマを、男性雑誌で実現した次郎’s センスに触れることができた。連載【あの人のお宅拝見】
『月刊 HOUSING』元編集長など住宅業界にかかわって四半世紀以上のジャーナリストVivien藤井が、暮らしを楽しむ達人のお住まいを訪問。住生活にまつわるお話を伺いながら、住まいを、そして人生を豊かにするヒントを探ります。アパートからセカンドハウスまで、多彩な住まい歴

河口湖のセカンドハウスに到着すると、次郎さんは手慣れた感じでスマホを操作。スピーカーからジャズが流れ、そこは大人の空間になった。

【画像1】本日の選曲は、Chet Bakerのトランペットとボーカル。Bluetoothも使いこなす驚異の75歳!?(写真撮影/片山貴博)

【画像1】本日の選曲は、Chet Bakerのトランペットとボーカル。Bluetoothも使いこなす驚異の75歳!?(写真撮影/片山貴博)

【画像2】富士山方面に、南向きのリビング。午後の優しい日差しが入ってきた(写真撮影/片山貴博)

【画像2】富士山方面に、南向きのリビング。午後の優しい日差しが入ってきた(写真撮影/片山貴博)

雑誌『POPEYE』『BRUTUS』『Tarzan』『GULLIVER』(マガジンハウス社)を次々に創刊、1970年代から新しい男のライフスタイルを提案し続けてきた次郎さん。なかでも住宅が専門の私としては、『BRUTUS』で取り上げた“居住空間学”というテーマの経緯に興味津々。

「ブルータスの創刊は1980年、僕が39歳のころ。まだ建築やデザインが一般男性誌のテーマになり得る時代ではなかった」
当時の男性は、やっと車からファッションやグルメにも関心が広がり始めた時代。まだ、住まい・インテリアには読者も企業も関心が向いていなかった。

【画像3】「そのころ、NYや海外にいる友人は、身軽に転居しながら面白い暮らし方してたんだよね」。そんな触覚が『Casa BRUTUS』の誕生につながった(写真撮影/片山貴博)

【画像3】「そのころ、NYや海外にいる友人は、身軽に転居しながら面白い暮らし方してたんだよね」。そんな触覚が『Casa BRUTUS』の誕生につながった(写真撮影/片山貴博)

石川次郎さんは、東京・杉並区の生まれ育ち。お父様が建てた実家を空襲で失う経験も。
23歳で結婚独立された時はアパート借家住まいだったが、30代で面白い住生活体験をされていた。

「米軍将校用だった住宅が、神奈川県の中央林間に20軒ほど残っててね。120坪の大きな敷地に平屋。雑木林の中にニューイングランド様式(?)の家が並ぶ、そこだけはアメリカそのものだった」。気のいい大家さんと話がまとまり、面白がった友人たちと移り住んだ。

「編集者やカメラマン、イラストレーターの仲間だから『今夜は深夜0時に○○のサウナ集合!』って、都心から、その日の当番が運転するクルマで家に帰る。なんてことをやってたんだ(笑)」。聞いているだけで、次郎さん30代の息吹を感じるエキサイティングな日常。

「あの家の暮らしで、照明の大切さに気づかされたね」。アメリカンサイズの大きな空間を、スポットごとに演出するライティングの技を身につけられた。

【画像4】リビングの一角にあるヨーロピアン・リゾートなコーナーは、スタンド照明で空間演出(写真撮影/片山貴博)

【画像4】リビングの一角にあるヨーロピアン・リゾートなコーナーは、スタンド照明で空間演出(写真撮影/片山貴博)

40代では、都内に家を建てた次郎さん。
「金もないのに、やたらに要求ばっかり多い施主でね。でも建築家の先生は、そんなボクの注文を面白がってやってくれた」
今もお住まいの自宅、建築後は“奥様の城”。

そして50代で、この“男の隠れ家”セカンドハウスの購入に至った(詳しくは、[前編]を)。

「仕事も遊びも、楽しめば成果が出るもの!」

51歳でマガジンハウス社から独立して事務所を始め、「好きな仕事しかやらないよ」と宣言して24年、今に至る御様子。

「サラリーマン時代っていうのは、教育期間。それも大事。その間にいろんなことを体験すべきだよね、中途半端でもいいの、やってみること」と、根っから好奇心旺盛な次郎さん。

体格も良く、スポーツは若いころから得意。何でもトライしたようで、テニス・スキー・野球・水泳・バスケット・ボクシング・ダイビング・山歩き……ゴルフも当然のように。

【画像5】2階吹抜けホールにあるオープンシェルフ前には、「こんなに必要?」と思う数のゴルフクラブ(写真撮影/片山貴博)

【画像5】2階吹抜けホールにあるオープンシェルフ前には、「こんなに必要?」と思う数のゴルフクラブ(写真撮影/片山貴博)

「60代でハワイ島コナに住宅を購入することをマジで考えた。でも次々と友人が日本に撤退してきちゃって(笑)」。やはり健康で、仕事も遊びも楽しむには、日本を拠点にする暮らしがベストのようだ。

「ここへ来ると自然が近くって、思いがけないことにも遭遇してホッコリする」と、裏庭のテラスに野ウサギがやってきて窓辺でクンクンしている動画を見せてくれた!

ゆっくり流れる時間こそが、東京を離れて得られる豊かさ

「だいたい一人で、好きに過ごしてるよ。朝は、近くで買えるうまいライ麦パンにコーヒー入れて」

【画像6】ダイニングはリビングから1段高いスキップフロアにあり、キャビネットの裏側は独立キッチン(写真撮影/片山貴博)

【画像6】ダイニングはリビングから1段高いスキップフロアにあり、キャビネットの裏側は独立キッチン(写真撮影/片山貴博)

ダイニングのキャビネットにも、次郎さんのお気に入りコレクションが満載!

【画像7】ベトナムや中国などアジアからヨーロッパまで、海外で見つけた個性的な食器が並ぶ(写真撮影/片山貴博)

【画像7】ベトナムや中国などアジアからヨーロッパまで、海外で見つけた個性的な食器が並ぶ(写真撮影/片山貴博)

インテリア・アートも、次郎さんらしいウィットのあるものが飾られていた。

【画像8】壁には何と!70年以上前の、石版刷りのフランス“宝くじポスター”(写真撮影/片山貴博)

【画像8】壁には何と!70年以上前の、石版刷りのフランス“宝くじポスター”(写真撮影/片山貴博)

【画像9】ノスタルジックな扇風機。こういうコレクションのセンスが抜群(写真撮影/片山貴博)

【画像9】ノスタルジックな扇風機。こういうコレクションのセンスが抜群(写真撮影/片山貴博)

2階はプライベートゾーン。主寝室には、巨匠Magistrettiデザインのラウンジチェア「Louisiana」(DePadova社)が置かれていた。

【画像10】「ブラウン系が好きなんだ」リビングのクッションや、このブランケットも。窓の外は大きなモミの木、雪景色もきれいに違いない(写真撮影/片山貴博)

【画像10】「ブラウン系が好きなんだ」リビングのクッションや、このブランケットも。窓の外は大きなモミの木、雪景色もきれいに違いない(写真撮影/片山貴博)

一方2室あるゲストルームは、英国のB&Bのようにホテルライクなセッティング。

【画像11】家族や友人が来ても心地よく過ごせる個室。気密断熱性が高そうな輸入木製窓、上部開きにもなり通風する仕様(写真撮影/片山貴博)

【画像11】家族や友人が来ても心地よく過ごせる個室。気密断熱性が高そうな輸入木製窓、上部開きにもなり通風する仕様(写真撮影/片山貴博)

裏庭のテラスは雑木林に面していて、森林浴を満喫できる贅沢なアウトドア・リビング。

【画像12】ここなら、BBQも格別に違いない!(写真撮影/片山貴博)

【画像12】ここなら、BBQも格別に違いない!(写真撮影/片山貴博)

【画像13】私のお気に入りスポット!木製ブランコ@テラス。取材日は穏やかな昼下がりだった(写真撮影/片山貴博)

【画像13】私のお気に入りスポット!木製ブランコ@テラス。取材日は穏やかな昼下がりだった(写真撮影/片山貴博)

「僕の周りには、まだまだ元気な70代ばっかり」。世界に散らばる人脈、仕事も遊びもとことん楽しむ次郎さん。
今の若者に「誰でも好きなことは何かあるはず。それを仕事にするべきだ。好きだから一生懸命やるし、当然成果も出るんだよね」と、エールを贈ってくれた。
ハード・ワークの熱い日常から、心と体をクールダウンするセカンドハウス・ライフ。そこには、新しいことに挑戦し続ける75歳のエネルギーの源と、人生の楽しみ方の御手本があった。

石川次郎
エディトリアル・ディレクター。編集プロダクションJI inc.(株式会社ジェイ・アイ)代表取締役。1941年、東京生まれ。早稲田大学卒業後2年間ほど海外旅行専門のトラベル・エージェントに勤務。その後、平凡出版株式会社(現マガジンハウス)に入社、『平凡パンチ』誌で編集者生活をスタート『POPEYE』創刊に携わる。『BRUTUS』『Tarzan』『GULLIVER』などを創刊、編集長を歴任。1993年同社退社、JI inc.設立。ラグジュアリー層向け雑誌『SEVEN SEAS』(アルク社)編集長などを務める。また、六本木ヒルズ内にある「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」や川崎の「LA CITTA DELLA」など商業施設のプロデュースなども手掛ける。1994年~2002年テレビ朝日「トゥナイト2」の司会としても活動。現在もTV番組の企画制作など活動は多岐にわたる。●【連載】暮らしを楽しむあの人のお宅拝見 記事一覧
・あの人のお宅拝見[1] 編集者・石川次郎さんのセカンドハウス(前編)
・あの人のお宅拝見[2] 編集者・石川次郎さんのセカンドハウス(後編)
・あの人のお宅拝見[3] ザ・ペニンシュラ東京を手掛けたデザイナー 橋本夕紀夫さんの30坪の自宅
・あの人のお宅拝見[4] 30代ワーキングママ、憧れのライフスタイルを実現する住まい
・あの人のお宅拝見[5] 藤原和博校長「家は生活の舞台」、著書『建てどき』から築17年の自邸を振り返る 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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