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年間を通して、家中が快適な温度に保たれる全館空調。三井ホームやセキスイハイム、住友林業などの各社が提供しているが、「興味はあるけれど電気代が心配」「実際に暖かくなるのか疑問」という人もいるのでは? そこで今回は全館空調システム「エアロテック」を提供する三菱地所ホームと「エアロテック」利用者に、その仕組みや使い心地、気になる設備投資や電気代のことをきいてみた。
お風呂も廊下も常に快適! ひとつの室内機で隅々までカバー
冬本番になると、暖房をつけている部屋とそうでない部屋の温度差が激しく、朝起きたとき、入浴のときなど寒い部屋に移動するのがおっくうになってしまうこともある。ところが全館空調の家ならば、常に家の隅々まで暖かくて快適だそう。しかも、空調設備は半畳ほどのスペースに納まるコンパクトな室内機のみ。各部屋には吹出口とコントローラーしかないという。一体どうしてそんなことが可能なのだろうか?
全館空調「エアロテック」を展開する三菱地所ホーム株式会社の事業推進部、狩野彩香(かりの・さやか)さんによれば、そのポイントは家自体の断熱・気密性にあるとのこと。
「実は一般的なつくりの家は、家の隙間から多くの熱エネルギーが漏れてしまっています。弊社の場合は家を建てる際に断熱・気密性の極めて高い工法を採用することと併せて『エアロテック』を導入していただくことにより、エネルギーのロスが少なく効率のよい空調を実現しています」(狩野さん)
家中を暖かくするというと、それだけ多くのエネルギーが必要そうに思えるが、実は全館空調の家はエネルギー効率がよく、電気代も安くなる。例を挙げると約150m2の部屋で一般的な局所空調(個々の部屋に空調設備を設置すること)の住宅の冷暖房費が年間約9万6000円だとすると、全館空調を導入すれば年間でおおよそ4万9000円から5万5000円までに価格を抑えられる(三菱地所ホーム株式会社調べ)。
「電気代節約の理由としては、家自体の高い性能に加え、通年で全館空調を使用することによる、エネルギー効率のアップもポイントです。冷暖房は起動して一気に温度を上げたり下げたりするときに一番電力が必要なのですが、通年空調することにより、起動時のエネルギーロスが無くなります。さらには局所空調の場合に多い、部屋のドアの開け閉めによるエネルギーロスも起こらないのです」(狩野さん)
全館空調は少ないエネルギーで快適に暮らすことができ、地球にもお財布にも優しいようだ。
お掃除ラクラク、間取りも自由。使い勝手の良さは折り紙つき全館空調がエネルギー効率の面で非常に優れていることは分かったが、実際の使い心地はどうなのだろう。5年前、一戸建ての建て替え時に「エアロテック」を導入したOさんに、そのメリットとデメリットをきいた。
もともと「家が奥行きのある細長いつくりだったせいか、局所空調のときは気温の差が激しかったのです。でも全館空調にしてからは、とても快適になりました。また間取りの自由度が増したこともうれしいですね。建て替えの際は大きな吹抜けを取り入れたり、リビングとダイニングを引き戸で緩やかに区切ったりと、自由な発想で居住スペースをデザインしてもらいました」(Oさん)
全館空調にすると、部屋ごとに扉を設ける必要がない。吹抜けはもちろん、廊下を書斎やラウンジとした、遊び心のある間取りも実現できるのが魅力だ。またOさんによれば、導入時には想像していなかったメリットもあったそう。それがメンテナンスの手軽さだ。
「お掃除がとっても楽です。以前は各部屋で天井付の空調を使用していたため、室内機をひとつひとつ掃除していました。また何年かに1度は業者にクリーニングを依頼していたので高額な出費がありました。それが全館空調にすると室内機がひとつ。2週間に1度、床置きの室内機からフィルターを抜いて、掃除機で吸うだけで完了です。何か不具合があっても、保証が充実しているので安心して使っています」(Oさん)
確かに、一般的に空調設備はメンテナンスに手間と費用がかかる。それに対して全館空調は室内機がひとつなので、掃除がラクそうだ。また設備は設置後10年間無償で保証され、もしも夜中に全館空調が故障した際にも24時間体制でフォローされるそう。10年目以降は年間2万から3万円で同様のメンテナンスが受けられる(※)。よいことづくめに思えるが、デメリットはないのだろうか。
※三菱地所ホーム株式会社エアロテックの場合
「デメリットは、あまりに家の中が快適で外の気温が分からないことでしょうか。ですから外出のときは窓を開けたり、一度家から出て気温を確認しています」(Oさん)
外気温に影響されない快適空間ゆえのデメリットは、なんともうらやましいものだった……!
全館空調の導入に当たる費用は新築の場合30坪から40坪で約200万円ほどだという。建物の断熱・気密性と空調効果が連動しているので、リフォームで後付けするには難しさもあるそう。ただし、狩野さんによれば「必ずしも不可能ではないので相談してほしい」とのことだ。一戸建てだけでなくマンションに後付けする例もあるので、新築や建て替えの予定がある人はもちろん、リフォームを考えている人も導入を検討してみてはどうだろう。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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