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住民経営マンションを取り上げる本連載の第6回では、「富久クロス コンフォートタワー」を紹介する。山手線内側という好立地にありながら、約2.6haもの広大な敷地を擁する「富久クロス」。従前は街なかの各所で土地が売買されていたが、空き家が増えてしまったことから防犯・景観面を問題視した地元住民が立ち上がり、大学の研究員のサポートを受けながら実現したのが住民主導の再開発プロジェクト「富久クロスプロジェクト」だ。生まれ変わった街区内には、イトーヨーカドーをはじめとする多種多様な店舗、認定こども園、クリニックなどがそろい、商業棟の屋上には地権者住戸が再現されている。そんな新たな街のシンボルとして分譲されたのが、総戸数1000戸超の大規模タワーマンション「富久クロス コンフォートタワー」なのだ。
入居者の後押しを受けて、コミュニティ形成に注力
マンションの開発時には、デベロッパーが10万件の声を集め、『1000のイゴコチ』として書籍にした。多彩な共用部の活用法や入居者のコミュニティの形成法などを掲載している。管理組合では、この書籍を参考に、七夕祭りや絵本の読み聞かせ会など、さまざまなイベントを開催。広報部会長の尾上氏は次のように言う。
「東日本大震災後に販売されたこともあって、購入者の大半が人と人とのつながりを重視していたのです。 “共用スペースを地域イベント開催の場として提供したらいいのでは” “クラシックコンサートをやってみたい”など、入居者の方々も積極的に提案を寄せてくださるんですよ」
また、コミュニティ形成に関する取り組みは、マンション内だけにとどまらない。前理事長が退任後に町内会や周辺のマンションに呼びかけ、地域で交流を図りながら、防災・防犯対策に取り組んでいくことになったのだという。この方針は、現理事長の松浦氏もしっかり継承している。
「町内会や周辺8棟のマンションの管理組合と民泊問題について話し合ったり、地元警察の協力のもとで防犯セミナーを開催したりと、ほぼ月に1回のペースで交流を保っています」
昨年からは、マンション内の防災対策強化にも乗り出した。
「各階に2名ずつ防災委員を選出しました。万が一の場合は、この2名が避難指示や声かけにあたることにしています」(松浦氏)
富久クロスにおけるさまざまな取り組みは、これからの大規模マンションや再開発エリアのあるべき姿を示す、新たなモデルケースなのかもしれない。
※この記事は『都心に住む』2017年10月号(8月26日発売)からの提供記事です
※管理組合のルールや方針は変更される場合があります
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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