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会社を設立する手続きには準備する書類も多く、自分一人で進めるとなると煩雑で非常に手間のかかる作業となります。しかし、あらかじめ必要な書類と全体的な流れを把握しておくことで、一人でも手続きを完結することができるでしょう。
今回は会社設立に必要な書類の作成方法と、手続きの流れを詳しく解説していきます。
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会社を設立するには、法律に従って数種類の書類を作成する必要があります。それらは公的な証書となりますので、法人の印鑑を用意しなければなりません。設立手続きに入る前に、まずは会社の印鑑を作りましょう。
法人の実印だけでも設立登記はできますが、設立後の事業活動のことも考慮した場合、以下の4種類の印鑑を作製しておいたほうがいいでしょう。
法人の実印は設立登記をする際に必要になります。会社で最も重要な印鑑となり、法務局に届け出ることで法人実印として認められることになります。
届け出る印鑑には、1辺の長さ(丸い印鑑の場合は直径)が1センチ以上3センチ以内という大きさの制限があります。このサイズに収まるような印鑑を作製してください。
また、法人実印を誰にでも扱える場所に気軽に置くと、悪用されてしまうかもしれません。法人実印の取り扱いには注意してください。
銀行印は読んで字のごとく、銀行に法人口座を開設する際、銀行に届け出る印鑑をいいます。一般的に丸印が多く、手形や小切手に使われます。
ここで、実印と銀行印を兼用するのは避けるべきです。銀行印と法人を代表する法人実印とを兼用すると、万が一、紛失や盗難の被害にあった場合に偽造される可能性があり、不測の損害を被るおそれがあります。必ず、銀行印と実印は別々に作製するようにしましょう。
角印は会社の認印をいいます。見積書や請求書、領収書など確認の意味で実務的に使われる印鑑です。最も使用頻度が高い印鑑といえるでしょう。
契約書や郵便物で会社の情報、署名を書く手間を省くための印鑑です。一般的には会社名や会社の住所、電話番号、代表者名が刻印されています。
上記以外にも、会社設立にあたっては、法人の印鑑とは別に、発起人個人の印鑑や印鑑証明書が必要になります。個人の印鑑を作っていない人は法人の印鑑と同時に作製しておきましょう。
会社を設立するには、会社の基本ルールを定めなければなりません。この会社の基本ルールを文書または電磁的記録にしたものが定款(電子定款)とよばれるものです。
定款は発起人が自由に作れるものではなく、会社法に従って作成されなければなりません。定款には以下の内容が記載されます。
商号(会社名)
目的
本店所在地
設立に際して出資される財産の価額、その最低額(資本金)
発起人の氏名または名称及び住所 など
株式譲渡制限に関する規定
役員の任期の伸長 など
定時株主総会の招集時期
会社の事業年度 など
定款が作成できたら発起人の個人の印鑑で押印し、これを公証役場提出用、法務局提出用、自社保管用の3部製本します。
定款を作成したら、次に会社の本店所在地を管轄する公証役場で定款の認証を行います。公証役場において、定款が法律に従って適正に作成されたことを公的に証明してもらいます。公証役場では以下のものが必要になります。
定款:3部
発起人(出資者)全員の実印
発起人(出資者)全員の印鑑証明書
定款の写し交付手数料:250円×定款のページ数
公証人への手数料:5万円
収入印紙:4万円分(紙定款の場合。電子定款の場合は不要)
発起人が複数人いて、当日に行くことができない人がいる場合は委任状も必要になります。
定款の認証を受けたら次に、資本金の払い込みを行います。振込先は発起人代表の個人口座となります。
定款に記載された資本金に相当する金額は、会社設立後には会社の銀行口座に入金されますが、この段階ではまだ会社の設立登記がされてないので、会社名義の銀行口座が開設されていません。そのため、発起人となる人の個人名義の口座を代用することになります。
発起人が複数いる場合には、発起人代表者の個人名義の口座を使用します。個人名義の銀行口座は普段、個人で使用している口座でよく、新たに口座を用意する必要はありません。
発起人が複数人いる場合は、「各発起人がいくら払い込んだのか」が、通帳上で明確にわかるようにしておかなければなりません。各発起人は、誰がいくら出資するかがあらかじめ定款上で決まっています。
したがって、各発起人により、確かに決められた出資金額が払い込まれていることを証明する必要があります。そのためにも、発起人の氏名が通帳に印字される「振込」で払い込むようにしましょう。
また、通帳がないようなネット銀行はおすすめできません。登記申請時に通帳のコピーが必要となりますが、ネット銀行ではこれがないので、通帳がある銀行の口座に払い込むようにしましょう。
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定款の認証を受ければ、次に会社設立登記をするための書類を作成します。各書類はすべてA4サイズにそろえてください。
登記申請書
登録免許税額分の収入印紙を貼り付けた用紙(株式会社の場合)
定款
取締役の就任承諾書
代表取締役の就任承諾書
監査役の就任承諾書
取締役の印鑑証明書
資本金の払い込みを証明する書類作成
印鑑届出書
登記すべきことを保存した電磁的記録媒体(CD-R、FDなど)
登記申請書は商号(会社名)や本店所在地、登録免許税の金額、添付書類一覧などが記載される書類です。法務省のホームページからテンプレートをダウンロードでき、記載例も確認できるので、これを参考に作成すれば問題ないでしょう。
登録免許税額は、「資本金額の1000分の7」と決められており、株式会社の場合はその金額が15万円未満の場合は15万円となります。登録免許税は収入印紙を購入して申請書に貼り付けて納付します。
なお、合同会社を設立する場合は、登録免許税は最低6万円となります。
公証役場で認証を受けた定款を1部用意します。
「就任承諾書」とは、取締役として就任することに承諾したことを証明する書類です。発起人以外の人が取締役に就任する場合、「就任承諾書」が必要となります。
取締役が複数人いる場合、その全員が「就任承諾書」を提出しなければなりません。こちらもインターネット上にテンプレートがありますので、活用してください。
取締役が自分1名で、代表取締役である場合は代表取締役の就任承諾書は必要ありません。取締役と代表取締役が別の者であり、その役割が分かれている場合には必要となります。書き方は4の取締役の就任承諾書とほぼ同じです。
監査役を設置する場合には、監査役の就任承諾書が必要になります。こちらも取締役・代表取締役と同じフォーマットで作成します。
定款の認証を受ける際に取得した印鑑証明書が必要になります。複数人の取締役がいる場合は、その全員の印鑑証明書が必要です。ただし取締役会を設置する会社においては、代表取締役の印鑑証明書のみで問題ありません。
手続き3で行った資本金の払い込みを証明する書類を作成します。払込証明書は定款記載の資本金が発起人からきちんと払い込まれていることを証明する書類です。インターネット上からテンプレートをダウンロードできるので、それを活用しましょう。
そして、払込証明書とともに、所定の銀行口座の「通帳のオモテ面」「通帳オモテ面のウラ面」「資本金払い込み金額が記帳されている通帳のページ」のコピーを製本して提出します。
用意した以下の書類を上から以下の順番でホッチキス留めしてください。
払込証明書
通帳コピー(オモテ面)
通帳コピー(オモテ面のウラ面)
通帳コピー(払い込み金額の記載ページ)
そして各ページの境目に代表者印を契印していきます。1の裏面と2の表面、2の裏面と3の表面、3の裏面と4の表面の3箇所です。
印鑑届出書とは、法人の「実印」を印鑑登録するために必要な書類です。個人の実印は居住している市区町村に登録しますが、法人の実印は法務局に登録することになります。
フォーマットは法務局のホームページからダウンロードできるので、記載例を確認しながら必要事項を記入してください。
印鑑届出書を提出し、印鑑登録が完了すると、法務局で印鑑証明書を取得することができます。印鑑証明書は銀行の法人口座の開設など、会社にとって重要な契約を結ぶ際に提出が求められます。
上記の書類は紙に出力して作成することもできますが、電磁的に作成することも可能です。上記で作成した書類をPDFにし、CD-Rなどの電磁的記録媒体に保存し提出することができます。
使用できるCD-RやFDには記載方法や規格が細かく定められているので、しっかり確認するようにして下さい。
上記の書類がすべて用意できたら、1〜8の書類を上記の順番にホッチキスで綴じます。登記申請書と収入印紙を貼ったコピー用紙は法人の実印で消印してください。
なお、印鑑届出書は一緒に綴じずに、クリップなどでまとめます。そして、会社の本店所在地を管轄する法務局へ書類を提出して設立登記は完了します。
インターネット上には書類作成に必要なツールやテンプレートがたくさんありますので、うまく活用しながら効率的に作成してください。
今回は、会社設立に必要な書類や手続き方法についてご紹介しました。設立手続きは手間がかかることはおわかりいただけたのではないでしょうか。
あらかじめ必要書類と手続きの流れをしっかり把握し、スムーズに手続きを行えるようにしましょう。手続きに困ったら、税理士などの専門家に相談してみてください。
この記事のライター
マネタス
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