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公務員試験を受けて、受かった中から国税局を選んで、税務調査などをして退職し、芸人になりました。さんきゅう倉田です。
「どうして芸人になったの?」「まったく逆の職種ですよね」などと頻繁に言われます。なぜ、ぼくは芸人になったんでしょうか。
仕事は面白いほうがいいからだと思います。
面白い仕事からより面白い仕事へ転職しました。今は、毎日面白いです。芸人になってから出会った人の話は、ぼくの財産です。例えば、こんなお金持ちとも出会いました。前回からの続きです。(前回)
合コンで出会った女性とその後も何度か食事を共にしました。彼女は、先に帰ると言って3万円を置いていくような人間です。その素性がとても気になりました。
ただ、仕事を聞いてもよくわかりません。
昔からあるチェーンのドーナツ屋の店長をしているそうですが、それでそんなに裕福になれるとは思えません(ドーナツ屋さんの方、すみません)。どうやら、経営者、かつ、店長のようです。
ただ、コンビニのフランチャイジーだって、経営者、かつ、店長です。みんな、手数料や24時間経営、値引きの禁止で四苦八苦していて、裕福なイメージはありません。
じつは彼女は、ドーナツ屋で大きく利益を上げているわけではなく、直系尊属の資産が膨大なために裕福なのでした。
彼女は、品川駅の近くで家族と一緒に居を構えていました。それを聞いたぼくが、「高輪口を出て、右行って、左行って、右に行ったところにある地下のワインバー美味しいよね」と特に何も考えずに言うと、「ああ、あそこいいよね。よく行くよ」と彼女は言います。
駅の周りにはたくさんの飲食店があります。その中で、ぼくが唯一通う店に、彼女も通っていたのです。ここからの会話が弾みそうです。
ぼくは気分が高揚するのを感じましたが、彼女の次の一言で、心の風船は一気に萎んでしまいました。
「あそこ、あたしが作ったの」
彼女が作った店でした。ぼくは、目の前の綺麗な女の子が趣味で作った店に通っていたのです。ぼくは、お釈迦様の手の上を飛び回る孫悟空のような気持ちになり、品川の話をこれ以上続けることはできませんでした。
さらに、ぼくが代官山に住んでいることを伝えると、彼女は住所を聞いてきました(当時、ぼくは代官山の2畳の家に住んでいた)。「おや?家に来ようとしているのかな?」と若かったぼくは推測しました。でも、全然違った。
「ああ、あのあたりね。そこもあたしの土地」
彼女の土地でした。ぼくの行く店もぼくの住んでいるところも彼女のものでした。
もしかしたら、ぼくが当時使っていたスマートフォンも彼女が作ったのかもしれません。海外で話題になっていた画期的な新薬開発も彼女の仕業かもしれないし、うちの近所の駄菓子屋が改装したのも彼女が手を回したのかもしれません。
ぼくは目眩がしました。
神は6日間でこの世界を作ったそうですが、彼女も6日間でぼくの世界を作りました。そして、7日目の今は休んでいます。
たくさんのお金持ちと知り合いましたが、彼女ほど資産があって、さらに、ぼくの生活に影響を与えている人はいなかったと思います。
彼女の素敵な点は、子供銀行券みたいな額の資産があっても、ブランド物で着飾ることはしていないことです。バーキンの鞄も持っていないし、宝石も身につけていない。
ネイルや髪型にこだわりもないようでした。だから、一見して、とてつもないお金持ちだとは気づかない。
稀に、金持ち過ぎてユニクロばかり着ているおじさんやジップロックを財布にしているおじさんがいますが、彼女も同じように、生まれたときの裕福さにより、堅実な生活が身についたのかもしれません。
彼女は、ルブタンやベルルッティを身に纏う成金ばかりを見て胸焼けしていたぼくの心を癒やしてくれました。自分が大金を得たときは、彼女の装いを思い出し、品のある生活を送ろうと思います。
真のお金持ちほど堅実だとよく言われます。
こうした「長く続く」お金持ちには、いくつかの共通パターンがあります。
怒らない、鷹揚に構える、他人を否定しない、身繕いをきちんとしている、
必要な分野についての勉強をコツコツ続ける。
そんなお金持ちの類型を抽出して、電子書籍を出版しました。
アマゾンのkindle unlimitedにも収録されているので、利用者なら実質無料で読めます。↓書影クリック
こちらから>>>『お金持ちがしない42のこと』(主婦の友社)
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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