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40代の婚活は、不思議な出会いの繰り返し。婚活歴4年のOTONA SALONE編集長・アサミ(48歳)は、4年間で100人以上もの男性と出会ってきた。
婚活アプリで出会った59歳の会社役員・ロマンさん。メッセージを繰り返して約1カ月。やっとデートのお誘いがきて──!? この話は40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活ドキュメントである。
ほぼ3日おきに8回のメッセージ交換をした。おもな話題は海外のこと、料理や外食、旅行、映画など、ライフスタイルの趣味趣向についてだった。
どんなことが好きで、どんなことが楽しいか、どんなことに幸せを感じるか。
恋愛観や結婚観でもなければ、仕事の自慢めいた武勇伝でもない。マッチングしてからすぐに「会いませんか」と誘ってくるでもない。婚活アプリで知り合ったというより、友達として知り合ったような感覚を覚えた。
恋愛観や結婚観はいいのだが、婚活をやってけっこう驚いたのが、仕事の自慢話とすぐに会おうとする人が意外と多いということ。仕事で会ってるわけじゃないんだからプライベートの話を知りたいし、自慢されても「で?」としか思わない。
すぐに「会いませんか」は個人的にはちょっと苦手。マッチングしたらさっさと会ったほうがいいと考える人もいると思うし、それは否定しない。私の人間関係構築にはフィットしないだけのこと。
とはいえ、1カ月近くも誘われないでいると「あれ? もともと会う気がない?」と思わなくもなかった。
そんな折、ロマンさんはチーズケーキを焼いたということを伝えてきた。海外の単身赴任や奥様と死別されたということもあるのか、普段から自炊をしているとあったが、まさかスイーツまで作るとは!
アサミ「すごいです! なんでチーズケーキを作ろうと思ったのですか?」
ロマン「僕、実は甘いものに目がなくて、けっこう食べ歩いてるんです。中でもチーズケーキが特に好きなんです。天気も雨で外に出るのもなんだし、なにかケーキでも作ってみようと思って」
甘いものが好きというのもいい!
昔、お付き合いしていた相手が甘いものが好きじゃない男性だったことがある。ディナーコースの最後に出てくるデザートにまったく手をつけなかったり、バレンタインに渡した甘いものが苦手でお酒が好きな人でも楽しめるチョコレートを「いらない」と返されたりして、ちょっと寂しい気持ちになった。
できれば、一緒に同じものを「美味しいね」と楽しみながら過ごせる相手と数多くの食事をしたい。そこが違う相手とは、できるだけ少なめに(苦笑)。だったら1人の食事のほうが心地いいし。ある時期から、1回1回の食事を大切にしたいなと思うようになった。
いままでのメッセージの流れから察するに、ロマンさんは食を楽しむ方のよう。しかもスイーツ男子ならぬ、スイーツおじさまとは!
ロマン「アサミさん、甘いものはお好きなほうですか?」
アサミ「はい。大好きです」
ロマン「それじゃ今度、ご一緒にスイーツを食べに行きませんか?」
マッチングしてから約1カ月。ゆっくりコミュニケーションを取ってからの大人の余裕あるお誘い。そして、いきなりディナーではなくスイーツという気軽なお誘い。
お酒を伴わない感じが、余裕のあるオトナの誘い方でとてもいい! なんかセンスいい!
アサミ「ありがとうございます! ステキですね」
とってもスマートなデートのお誘いに、即OKしたのだった。
ロマン「アフタヌーンティーはいかがですか?」
アサミ「いいですね。いろいろ食べられますし」
ロマン「オススメのアフタヌーンティーがあるんです。Aホテルのラウンジなんですけど、人気のショートケーキはもちろんですが、個人的にはここのチーズケーキも絶品で。ちょっと大人のチーズケーキなんです。アフタヌーンティーなら少しずつたくさんの種類がいただけますから」
大人のチーズケーキ!? 気になる、気になる! しかし本当にオススメの仕方がお上手! お店を指定するだけじゃなく、そこを選んだ理由まで伝えてくださるとこちらとしては俄然、興味が出てくる。
そんな流れから、都内ホテルのアフタヌーンティーへ行くことになった。
ロマンさんと初めてリアルに会う。婚活アプリ上の写真は見ているし、メッセージは何度も交換している。
4年間、婚活をやっているけれど、婚活アプリで知り合った人と初めて会うときは
「ホントに来るのかな?」
「写真と別人だったりしないかしら?」
とほんの少しだけ不安になる。みんなはどうなんだろう……。
ドキドキしながら待ち合わせの場所に向かった。都内ホテルのラウンジ。
入り口に着いたところで、背の高い白髪の男性がラウンジコンシェルジュと思しき女性と話しているのが見えた。
白髪の感じも、髪の長さも、ロマンさんの写真のままだった。身長もプロフィールにあるように、高い。斜めからみた顔も、写真と変わらない印象。あれは……きっとロマンさん!
ちょっと迷ったけれど、彼が席へと案内されるまさにその瞬間、声をかけてみた。
アサミ「ロマンさん……ですよね? アサミです」
ロマン「あぁ、アサミさん。よくおわかりになりましたね」
ちょっと低音で、ささやくような声が聞こえた。
アサミ「はじめまして。お写真とお変わりなかったので」
ロマン「はじめまして……というのも不思議な感覚ですね。ここでお会いできてよかった。では席へ参りましょう」
ホテルの庭園が見える開放的な空間。天気がよいことも相まって、とても心地よく感じる。この場所にいるだけでも自然とテンションが上がる。そこに美味しいスイーツがプラスされるなんて、至福のひととき!
ゆったりとしたソファ席に、向かい合わせで座った。隣の席ともゆとりをもたせているし、そもそもテーブル自体が広々としている。向かい合わせにしてはちょっと遠めの距離。
お相手のロマンさんは……全身をパッと見たときは写真と変わらない印象だったけど、いざ着席してみると、やっぱりちょっと年齢差を感じる。もうすぐ60歳で還暦だものね。そんなもんか。
まぁ、こっちにしたって写真じゃシワやシミが全部見えるわけじゃないからお互い様よね。
ん? なんて言ったのかな
ロマン「アサミさん、※△◆~#✕◯*ますか?」
最初と最後以外、聞き取れなかった。なんて言ったのかしら。座席がゆったりしているせいで聞こえにくい。でもドリンクメニューを手にしているから、きっと飲み物を何にするか尋ねられたのだろう。
アサミ「アールグレイにします」
ニコッと微笑んだロマンさんは軽く手を上げ、ウェイターの方を呼んだ。
ロマン「彼女はアールグレイで、僕はアッサムを※△◆~#✕◯」
ウェイターの方は一瞬、考えるような表情をしたけれど「かしこまりました」と言ってその場を離れた。
ロマン「アフタヌーンティー、楽しみですね」
アサミ「はい、お話を聞いていたので特にチーズケーキを楽しみにしてきました」
ロマン「お口に合うといいですが※△◆~#✕◯*」
正直、後半は何と言っているか聞こえなかった。でもまぁ、アフタヌーンティーの内容のことだろうと察する。
アサミ「そうですね」
なんとなく、どうにでもなりそうな返答をした。それが、このあとのデートの命運を左右する序章だとも思わずに……。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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