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【大久保麻梨子、台湾5年生】中国語を学ぶなら台湾のテレビが便利! ~学生生活のはじまり~
※前回のお話は「台湾のお風呂には●●●●がない!? ~学校&部屋探し~」でどうぞ
2011年4月28日、念願の台湾生活がいよいよスタート!
半年前、初のひとり旅で台湾に「ひと旅惚れ」してからというもの、台湾に恋焦がれてテンションが上がりっぱなしだった私。期待に胸を膨らませ、不安な気持ちはこれっぽっちも抱えずに、台湾桃園国際空港に降り立った。
夢見た台湾での学生生活が、いよいよ始まる!そう思うと到着初日の夜、わくわくし過ぎて眠れないという、遠足前日の小学生みたいな状態に(笑)。
到着翌日は、さっそく通学する語学学校、中国文化大学中国語センターの入学説明会へ。説明会が終わると、すぐにクラス分けテストだ。
テストの結果、私が所属することになったのはレベル3のクラス。初心者向けの教科書はパスして、少し難易度が高い学習からのスタートとなる。
実は以前、留学準備で渡台した際に、ひと足早く教科書を購入。日本で予習していたことが功を奏したらしい。
同じレベル3のクラスで学ぶことになったのは、全部で10数人。
日本人は私を含めて4名。それ以外のクラスメートの出身国は、韓国やベトナム、タイ、シンガポール、ドイツ、フランス、アメリカとバラエティ豊か。
週5日、1日3コマの授業を受ける。1コマは選択授業だったので、残り2コマはクラスメートと過ごす時間だ。
教科書に沿って学ぶ以外に、中国語で書いた作文をみんなの前で発表したり、中国語でディスカッションをしたり……。授業を通して、クラスメートとコミュニケーションを取る機会がたくさん。
大学を卒業して、4年ぶりとなる学生生活。毎日、新鮮なことばかりだった。
授業が終わると、前回の連載でご紹介した大安森林公園か自宅へ。毎日たくさん課される宿題や、プレゼン資料の準備で大忙し。
それがひと息つくと、決まってテレビをつけて、台湾のバラエティ番組を見た。
テレビを見るのも、もちろん中国語を学ぶため。
台湾のテレビには、チャンネル数が100くらいある。そして、なぜか全ての番組が字幕付き。
放送後はすぐに同じチャンネルで何度も再放送されるため、中国語学習者には、とってもありがたい教材なのだ。
現地のバラエティ番組は、お題とゲストが毎回変わって繰り広げられるトーク番組が多い。
特に私がお気に入りでよく見ていたのは「大学生了沒」。大学生がパネラーになり、さまざまな意見を交換する番組だ。日本の番組に例えるなら、明石家さんまさんの「恋のから騒ぎ(*)」の大学生版といったところかな?
中国語が理解できなくて、話に追いつけないこともあったけれど、字幕や出演者のリアクションから推測したり、気になった言葉は辞書で調べてノートに書きとめたりしていた。
番組内で取り上げられるトピックスは、台湾ローカルの大学生の間で流行っていることなど。本当は楽しいはずの番組なのに、見ていても全然気が抜けない。
台湾の芸能界でも仕事をはじめたい。そのためにも、1日でも早く中国語をマスターしたい。
自分へのプレッシャーを、かけられるだけかけていた。
こうやって日本語を意識的にシャットアウトして暮らしていたら、半年くらい経ったとき、急にホームシックに。ものすごい孤独や不安に襲われて、胸が張り裂けそうになった。
満足していたはずの、狭くて窓がない、ただ浴室が広いだけの部屋で、ワケも分からず涙があふれて止まらないことも。
このままでは、まずい……。
そう自分でも焦り出したころ、何かを察してくれたのだろうか、クラスメートからたまには遊びに行こうというお誘いが。
連れて行ってくれたのは、台湾大学周辺に広がる学生街・公館。
安くて美味しい飲食店や夜市のような屋台が立ち並び、いつも若者で賑わっているエリアだ。
公館で勧められて初めて飲んだのが「陳三鼎」の黒糖タピオカミルク。
それまで何杯もタピオカ入りドリンクを飲んできたものの、ここのタピオカはひと味違う。茹で方が上手なのか、ふわふわモチモチ食感で、ほど良い黒糖の甘さ。濃厚なミルクと相まって、何ともやさしい味なのだ。
そんな素朴な甘さに心をほどかれたのだろうか。クラスメートと一緒にモチモチとした歯ごたえを楽しんでいるうちに、肩の力がスーッと抜けていくように感じた。
私は中国語習得を優先するあまり意固地になり、あんなに憧れていた台湾生活をちっとも満喫できていなかったな……。
そのことに気付いてからは、クラスメートとも遊びに出掛けるように。
とはいっても、当時は私もクラスメートも、話せる中国語が限られている状態。言葉でのコミュニケーションは十分に取れなかったものの、異国で生活する者同士、時には励ましあったりしたものだ。
台湾生活のはじまりを共に過ごした当時のクラスメートは、私にとって、いつまでも特別な存在だろう。
そして彼らと歩いた公館は、渡台直後の思い出がたくさん詰まった街となった。MRTの駅に降り立つと、自然と当時を思い出す。あの頃に比べると私は随分、中国語が上達したものだ。そう、自分で自分を褒めたくなってしまう。
ご褒美に、今日も「陳三鼎」の黒糖タピオカミルクを飲みに行こう。
*treasures編集部 注:明石家さんまさんと素人女性たちが恋愛についてトークするバラエティ番組。日本テレビ系列で放送していたが、2011年に放送終了。
【麻梨子的台湾案内③ 公館】
国立台湾大学をはじめ、複数の大学が集まっているエリア。学生に人気のおしゃれなカフェやB級グルメの店が多い。夕方には夜市が立ち、食べ物関連のほか服飾雑貨を販売する屋台も出現。
<アクセス方法>
MRT松山新店線「公館駅」下車すぐ
【麻梨子的台湾案内④ 陳三鼎 黑糖粉圓鮮奶專賣店】
「本文で紹介した私の思い出の味、『陳三鼎/チェン サン ディン』のタピオカドリンクは『青蛙撞奶/チンワァー ズァンナイ』と言うと通じます。チェレンジしてみて!
ちょっと恥ずかしいという方はメニューの一番左の超人気とかかれた札を指止しで。1杯35元です」(麻梨子)
<アクセス>
住所:台北市中正區羅斯福路三段316巷8弄口
営業時間:11:00~21:30 (月曜定休)
※営業時間はデータ確認時のものです。ご了承ください
【Profile】
大久保麻梨子(おおくぼ まりこ)
1984年9月7日、長崎県生まれ。
2003年に「Sea Story Audition 2003 マリンちゃんを探せ!!」で初代グランプリを獲得し、芸能界デビュー。グラビアアイドルとして活躍する。2008年、女優業をスタート。CMやドラマ、映画で活躍するのと同時に、写真集を計9冊出版。
2011年、台湾に移住。中国語を学びながら、台湾の芸能界でタレント・女優として活動開始。2013年、日本人として初めて、台湾最大規模のテレビアワード「第48回金鐘獎」テレビ映画部門 最優秀助演女優賞に輝く。2016年TTV連続ドラマ「幸福不二家」では主演を務めた。
目標は女優として幅広い役に挑戦することと、台湾アンバサダーとして日本と台湾の橋渡しをすること。
Text 大久保麻梨子
*次回は2/26(日)掲載予定です。
※文章・画像の無断転載はご遠慮ください
大久保麻梨子 公式Instagramアカウント→
@marilog0907
この記事のライター
宝島オンライン
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