/
内閣府が防災に関する世論調査を実施したところ、建物倒壊への不安が高いものの耐震診断を実施していない人が多いことが分かった。大地震への備えは、地震保険と考える人が多いようなのだが、果たしてそれで大丈夫だろうか?【今週の住活トピック】
「防災に関する世論調査」結果公表/内閣府大地震の備えは、耐震診断より地震保険が多い!?
まず、「災害の被害に遭うことを具体的に想像したことがある自然災害」を聞くと、最多だったのは「地震」で、実に81.0%の高さだった。さらに、「大地震が起こったとしたら、どのようなことが心配か」を聞くと、最多だったのは「建物の倒壊」の72.8%で、次いで「家族の安否確認ができなくなる」の61.3%だった。
これだけ地震被害や大地震による建物倒壊への不安が高い回答ではあるが、「耐震診断を実施しているか」については、「実施している」が28.3%、「実施していない」が51.5%。実施していない人のうちでも、「今後、実施する予定がある」は3.5%いるので、予定を含む耐震診断の実施については3割強ということになるだろう。
ただし、回答者には賃貸住宅に住んでいる人も含まれているので、持ち家のみで見ると、「実施している」は31.2%とわずかに上がる。持ち家の種類は不明確だが、耐震診断の実施主体が管理組合となるマンションの場合と、所有者の判断だけで実施できる一戸建ての場合でも違いはあるかもしれない。
次に、「大地震が起こった場合の備え」を聞くと、「地震保険への加入」が最多の46.1%だった。耐震診断の実施率(3割)より高いものとしては、ほかにも画像2の4項目が挙がった。
住宅の倒壊への備えは、どうあるべき?大地震への住宅の備えを考えると、まずは被災時に「建物が倒壊しない」こと、「家具・家電が落下しない」ことなどが重要だ。最優先は自身や家族の命を守ることだからだ。被災時に生き残ってこその課題が、日常生活への備えや住宅の改修・建て替えなどの対策だ。
そういう点では、「耐震診断の実施(耐震性が不足していれば耐震改修の実施も)」と「家具・家電などの落下防止」については、高い実施率が望まれる。特に、今の耐震基準より低い「旧耐震基準(1981年5月31日以前の建築確認が適用)の住宅」や「2000年基準よりも前(2000年5月31日以前の建築確認が適用)の木造一戸建て」については、耐震診断を実施して住宅の耐震性を確認するべきだろう。
被災時に命を守れた後は、その後の生活の備えが必要だ。被災直後の日常生活が落ち着いたら、住める状態にするために、住宅の補修や建て替え、家財の購入などを検討することになる。しかし、いずれもかなりの支出となる。
貯蓄が十分あって万一に備えられるならよいが、いつ起こるか分からない大地震のための貯蓄はなかなかしづらいもの。こうした「起きる確率は低いけれど、万一発生したら相当額が必要となるリスク」に備えるのが保険だ。実際に、地震保険に加入している人は46.1%だった。
この調査では、地震保険に加入していない人に、「加入していない理由」を聞いているが、最多は「保険料が高い」の25.6%で、次いで「特にない」が18.6%だった。保険に加入しないなら、万一に備えた貯蓄をするようにしてほしい。
といっても、地震保険は、被災者の当面の生活の安定を目的とした保険なので、住宅の建て替え費用まで補償されるものでない。地震保険は火災保険とセットで契約するもので、契約金額は火災保険の30~50%以内といった制限もある。
また、地震で住宅が倒壊しても、原則として住宅ローンは免除されないので、あくまで地震保険は、被災後の生活を立て直す一時金のためと考え、地震に強い住宅にしておくというのが王道だろう。
耐震診断や耐震改修には、各地方自治体で補助金を出している場合が多く、特に大地震の発生する確率の高い自治体ほど手厚くする傾向が見られる。また、一定の耐震改修には減税措置もある。こうしたものを利用して費用を抑えながら、地震に強い住宅にすることを検討してほしい。
住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナルこの記事のライター
SUUMO
172
『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
ライフスタイルの人気ランキング
新着
カテゴリ
公式アカウント