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バイト敬語の代表として悪者扱いされた「~になります」ですが、実は「なります」そのものは正しい日本語です。では、どんな言葉に言い直せばいいのか、逆にどんな場面でどんなところに工夫をして使えばいいのでしょうか。
この「なります」は非常に多くの場所で聞かれます。
どことなく、立派な敬語という気がしますし、どんなふうに言葉を並べても、最後に「なります」ということで、全体的に無難に落ち着く、大変便利な言葉でもあります。
ところが、あまりに頻繁に使われる為、少々煙たがられる存在になってしまいました。特にファミリーレストランで、それほどの料理でもないのに「なります」という違和感や、コンビニエンスストアで、いかにも形式的に使われることが多いので、そのような印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
確かに続けざまに
などと言われると、ちょっと気になりますよね。「こちらコーヒーになります」と言われた時に、頭の中でいちいち「もうすぐコーヒーになるのね。では今は何なのかしら?」などと意地悪く思ってしまうくらいです。
そんなイメージから、急に「バイト敬語」「商業敬語」として、悪者の代表となってしまったのが「なります」です。
「バイト敬語」「商業敬語」
飲食店・サービス業などの従業員の使う過剰な、また、誤った敬語表現。バイト敬語。ファミリーレストランやコンビニエンスストアに多いことから、ファミコン敬語ともいう。
[補説]「ご利用していただけます」「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」「こちら、(ラーメン)のほうになります」「いらっしゃいませ、こんばんは、ようこそ」などの例がある。
デジタル大辞泉
もちろん「なります」は立派な日本語です。「なる」の丁寧語ですね。「なる」には、実に多くの意味があります。次の一覧を見てください。どれも、変ではありませんよね。
① 草木の実が出来る。「実がなる」
②の1 他の物に変化する。「戦火で灰になる」「氷がとけて水になる」
②の2 他の状態に移り変わる。「可愛らしくなる」「顔が青くなる」「風邪から肺炎になる」
③ その時刻や時期に達する。「もうそろそろ五時になる」「春になる」「卒業して10年になる」
④ ある場所である高さに達する。「高度1000メートルになる」
⑤ 人がある身分、地位、状態「もうすぐコーヒーになるのね。では今は何なのかしら?」になる。「首相になる」「保護者となる」「担当となる」
⑥ 将棋で、駒が敵陣に入ってその働きが変わる。「歩がなる」
現代国語例解辞典より
さきほどの「もうすぐコーヒーになるのね。では今は何なのかしら?」と違い、どれも正しいです。つまり変化を伴わなくても「なります」は使えるのです。
では「コーヒーになります」の「なります」はいったい何なのでしょう?
この「なります」は、「ご期待に添えないかもしれませんが」という謙遜の意味を含みます。つまり「あなたの想定するものとちょっと違うかもしれませんが」という意味です。
つまり、オーダーした時に、写真などもなく、名前からは想像できないものをお客様が注文し、それを提供する時に使う「なります」、例えば「こちら、本日のサラダでございます」「これが、今朝、北海道から空輸したアスパラになります」などはOKなのです。
ですから、その高級料理店などの雰囲気が欲しいだけという下心で話す「こちらコーヒーになります」は少し違うのですね。
まず、たいていのものは「ございます」で代用がききます。「~になります」と口から出そうになったら、とにかく「です」や「ございます」に直しましょう。冒頭の三例を直してみましょう。
できましたか?簡単ですよね?
そして、もし「です」では不安な場合は、それ以外のところを工夫することでいくらでも丁寧な気持ちを伝えることができます。
「お待たせしました。コーヒーをお持ちしました。」
そう、まずは言葉だけで丁寧な感じを出さないこと、コーヒーカップの置き方や、笑顔などで、非言語情報も伝えると良いでしょう。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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