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会社員として働きつつ、テレワークで生まれた時間で、地元の埼玉県浦和エリアを応援する活動「うらわパーティ」プロジェクトを始めた長堀哲也さん。長堀さんに、その経緯や、新しい暮らし方、働き方についてインタビューした。連載名:私のクラシゴト改革
テレワークや副業の普及など働き方の変化により、「暮らし」や「働き方(仕事)」を柔軟に変え、より豊かな生き方を選ぶ人が増えています。職場へのアクセスの良さではなく趣味や社会活動など、自分のやりたいことにあわせて住む場所や仕事を選んだり、時間の使い方を変えたりなど、無理せず自分らしい選択。今私たちはそれを「クラシゴト改革」と名付けました。この連載では、クラシゴト改革の実践者をご紹介します。コロナ禍でテレワークに。通勤時間は地域活動の時間にあてた
大手メーカーのIT系グループ会社で営業として働く長堀さんは、新型コロナウイルスの影響で今年3月からフルリモートワークに。働き方が劇的に変わった。「これまで制度としてリモートワークはあったものの、営業という職種から、ほとんど利用したことはありませんでした。現在は、週に1度ほどクライアントに足を運ぶ以外は、ほぼ在宅です」
そして、テレワークで往復二時間半かけていた通勤時間が減り、地元で過ごす時間が圧倒的に増えたことで、長堀さんが新たに取り組んだのが、地域活動「うらわパーティ」プロジェクト。ネットでのワークショップや飲み会、テラスを無料開放した屋台など、オンラインとリアルの両輪で、ゆるいコミュニティをつくりながら、浦和を盛り上げようという活動だ。
「コロナ禍の自粛生活の中、地元の飲食店が苦境に立たされているのを実感し、『自分で何か応援できないか』と考えたのがきっかけでした。もともと、パパ友たちとイベントを開催する『うらわClip』という活動していて、地元には知り会いがたくさんいたので、何かしら始めることは自然な流れでした。これはスピード感が大事ですから、知り会いのWebデザイナー、フリーの動画編集者など、機動力のあるメンバーを巻き込んで、自粛期間中に一気に立ち上げました。一時期は毎日のようにオンラインで打ち合わせをしていましたね」
重視したのは、オンラインとリアルの場の両方があるということ。「自粛期間中でも、スーパーへの買い物やお昼ごはんをテイクアウトしたりと、外に出るでしょう。コロナ禍でさまざまなイベントがオンライン化しましたが、地元だからこそ、リアルな体験にこだわりたかったんです。何かあったらすぐ集まれて、すぐ対応できるのが強みですから」
子どもの誕生とともに人の輪が広がり、リアルイベントの活動も長堀さんは浦和生まれ、浦和育ち。とはいえ、会社員として多忙な毎日を過ごし、以前は地元に関わる活動をそこまでしていたわけではなかったそう。きっかけは子どもが生まれたこと。「幼稚園のパパたちと、『“パパ会”なる飲み会でもしましょうか』と話したのが最初のスタートでした」。そのうち、「せっかくなら何か地元でやりたいね」と、2018年に始めたのが「うらわClip」。”うらわ圏に属する人々が、うらわ圏に愛着を持ち、魅力的で誇れるものとして、次世代にその価値をつなぐこと”をコンセプトに、主にリアルなイベントを中心に活動している。
「僕と、デベロッパーで働く会社員、公認会計士兼税理士、司法書士の4人のパパを中心に、さいたま市役所の職員のパパもオブザーバーになってもらいました。さらに、地元の飲食店はもちろん、浦和PARCOさん、行政の方などともリレーションができ、それが現在の『うらわパーティ』の土台のひとつになっています」
「うらわClip」が、どこか非日常なお祭り的なイベントの“場”であるのに対し、「うらわパーティ」はもっと日常的。テラス、シェアオフィス、遊び場、カフェなど、街のあちこちに、つながれる場を誰もが持っていることが理想だ。
ステイホーム期間中は家にこもりがちになる人が多いなか、長堀さんは、逆に知り会いが増え、世界が広がったそう。「だから、街を歩いていると、知り会いに会いまくりです(笑)。在宅しているということは、圧倒的に地元にいるってことじゃないですか。だから、人と人とがゆるやかにつながるような、街の縁側のような場をつくりたいと思っています」
さらに、街中に知り合いが増えるということは、子どもたちにとっても好影響だと長堀さんは実感。「ほんとみなさん、いい人ばっかりなんです! 街のあちこちに、知っている大人がいるというのは安心感があるんですよね。みなさんの仕事もバックグラウンドも多種多様。知らない間に“こういう仕事があるんだ”と子どもたちが多様性を学ぶ機会になるんじゃないかと思います」
コロナ禍で大々的なイベントが難しくなっている今、ステイホームで地元にいる時間が長くなった人も多いはず。長堀さんのような主催者側ではなくても、参加者として地元との接点を増やしてみるのもよさそうだ。「地域活動をされているシニア世代の方たちとも交流を持っていますが、みなさんイキイキとしていらっしゃいます。子どもたちの幼稚園や学校の集まりなどで、パパたちは所在なさげにひとりで立っていることが多いけれど、もったいない。行きつけのお店でもいいですし、道で会ったらちょっと立ち話程度の交流をする人が増えるだけで、自分の生活圏がぐっと豊かになるんじゃないかと思います」
●取材協力この記事のライター
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