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40代の婚活は、意外なところに出会いがある。婚活歴4年超えのOTONA SALONE編集長・アサミ(48歳)は、この4年間で100人以上もの男性と出会ってきた。
婚活疲れと自分のライフスタイルが「やっぱり一人で暮らしたい」と強く実感。4年4カ月の婚活を一旦、休むことにしたのだ。理由にはもう一つあって、実は「ある人」に出会ってしまったからで──。
この話は40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活ドキュメントである。
ある人とは、SNSの猫アカウントの主・キャットさん。フォローを始めたのは確か2年くらい前のこと。すでに猫アカウントをいくつもフォローしていたので、その中の誰かが「いいね!」を押していて、私のタイムラインにも頻繁に現れるようになったのだと思われる。
キャットさんは、子猫たちの写真や動画を投稿している人だった。それも1~2匹ではない。何十匹という子猫。
お部屋の中で、団子になって寝ている子猫、じゃれ合っている子猫、おもちゃで遊んでいる子猫、顔をシンクロさせて何かを目で追いかけている子猫、毛布をフミフミしている子猫。
毎日のキャットさんの微笑ましい投稿に、日々仕事でかかえるストレスがとても癒やされた。猫たちを見ていると、自然と笑顔になってしまう。口から出てくるのは「可愛い」というハッピーな言葉しかない!
キャットさんにフォロバしてもらえたことに気づいたのは、フォローを始めて1カ月くらいだっただろうか。
気づいたときはなんだかうれしかった。それは他の猫アカウントのかたでも同じだが、「好き」という気持ちが通じた気がした。まるで、推しのアイドルに認知してもらったみたいな「キャー☆」というよろこびだった。あまりファン気質じゃないかたにとってみると「なんだソレ??」かもしれないけれど。
認知してもらえたことがわかると、俄然、ファン熱が高まる。基本、全投稿に「いいね!」を押そうというモチベーションになる。特に心惹かれた投稿にはコメントをしようという気持ちにもなる。さすがに全投稿へのコメントはくどいかなと思って控えているが、部屋に一人でいるときは毎回「可愛い!」「天使!」とつぶやいている。
万が一、私の部屋を誰かがのぞき見したら、スマホに向かってそんなことをつぶやいているなんて、あやしい人にしか見えないかもしれないが……(苦笑)。

完全なファン心理なので、自分のコメントに投稿主であるキャットさんから「いいね!」なんて押してもらえたら目がキラキラ、返信なんてもらえたら小躍りするくらいうれしかった。
キャットさんから初めて返信もらったときの投稿は、いまでもハッキリ覚えている。ファンってこういうことは無駄に記憶力がいいので……。
2匹の子猫がギュッと抱き合って寝ている姿だった。お互いを大切に思いながら幸せそうな子猫の寝顔に、どれだけ安心してキャットさんの家で暮らしているかが伝わってきた。
アサミ「なんて幸せそうな子猫ちゃんたち!」
ただ、それだけを伝えたくて投稿した。すると、こんな返信コメントがきた。
キャット「いつもありがとうございます」
やだ、うれしい! 初めて返信コメントがもらえた! わからない人にはまったくわからない世界だろう。なにせ、好きなのは猫であって、猫の主さんではない。けっしてファンである猫から「ありがとう」と言われたわけではない。アイドルでいえば、アイドルのマネージャーから返信をもらったようなものだ。
でも、うれしい! しかし、さらなる返信はしない。ただ「返信いただきありがとうございます」という気持ちを込めるて、キャットさんからの返信コメントに「いいね!」を押すだけ。
愛情表現はサクッと終わらせることが、私のファン信条だ。しつこくしない。ま、それがルールはわけではないけれど。
しばらくの間は、キャットさんの癒やしの投稿に、平和なコメントと、コメ返が続くだけだった。
この段階ではまだ、キャットさんの年齢、性別、住んでいる場所、そしてなぜたくさんの猫がいるのかも何もわからなかった。キャットさんのSNSアカウントのプロフィール欄だって「I Love cats! My famiry.」としか書いていなかったし。さらに言えば、キャットさん自身のことを知りたいなんて、みじんも思っていなかった。
けれど、ある投稿をきっかけに様子が変わってくる。

いつも癒やしの投稿しかしていなかったキャットさんだったが、その日の投稿はちょっと違った。
ちょっと汚れた、腫れぼったい目をした小さな子猫をタオルに包み、シリンジでミルクをあげている動画。そしてこんな文章が添えられていた。
キャット「昨日の夕方、ダンボールの中でぐったりとしている3匹の子猫を見つけました。捨てたなんてひどい!
すぐに保護して体を温めてミルクをあたえたけれど、2匹は虹の橋を渡ってしまいました。この子もまだ弱っているけど、きょうだいのぶんまで小さな命を守ります」
「子猫ちゃん、頑張って!」「保護してくださってありがとうございます」「こんな幼い子猫を放置するなんて許せない」など、その投稿には、すでにたくさんのコメントがついていた。
小さな体でシリンジからミルクを飲んでいるけなげな子猫の姿に、見ているうちに涙が出てきた。なんだろう、年を重ねたせいか涙もろくて……。
ダンボールの中でどのくらい放置されていたんだろう。寒かったよね、お腹空いてたよね。さみしかったよね。寒空の下で放置されている子猫の姿を想像したら、切ない気持ちになった。
たった一人、生き残った子猫ちゃん。頑張って! 元気になって!
あふれる涙をぬぐって、キャットさんのその投稿に私もコメントした。
アサミ「保護してくださってありがとうございます! 子猫ちゃんが元気になるようお祈りします!」
しばらくしてコメ返がきた。
キャット「精一杯のことはします。でもかなり弱っていて元気がないんです。命がつながるよう応援お願いします」
弱っていて元気がないなんて……心配!! 「子猫ちゃん、生きて! 生き延びて! どうか元気になりますように」と祈った。

その翌日。
キャット「動物病院へ行ってきました。猫風邪を引いていて、脱水症状もあり、目は感染症を患っていました。処置をしてもらって薬ももらいました。でも今日はあまりミルクを飲んでくれません」
ミルクをあまり飲もうとしないなんて……心配! 病院で診てもらったのに、どうしたんだろう。大丈夫かな……。
アサミ「病院に連れていってくれてありがとうございます! でもまだ心配ですね……。子猫ちゃん、頑張って!」
と、キャットさんの投稿にコメントした。
キャット「温かくして、2時間おきにミルクをあげるようにしています。頑張ります」
保護されたその子猫ちゃんの投稿以来、その子の体調が気になって仕方なくなり、キャットさんの投稿が毎日の一番の関心事となった。こうして私の心はキャットさんの投稿に奪われていったのだ。

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この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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