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「東京カレンダーWEB」で2017年に連載され圧倒的な人気を誇った連載「LINEの答えあわせ」が、一冊の本にまとまり『LINEの答えあわせ 男と女の勘違い』として宝島社から発売されました。
その発売を記念して、本書に掲載されているストーリーを1つ公開した前回の記事。愛され女になれそうだった千沙は、どうして和樹に見限られてしまったのか?
後編の今回は、男性からの視点で描かれたストーリーを見ていきましょう。
彼への返信、ベストなタイミングは?
女の恋愛バイブルは、間違いだらけ
飲み友達の春香から、「可愛い友達を紹介したい」と言われたのが千沙との出会いだった。
女の“
可愛い”
は、基本的に信用していない。
「可愛い(けれど自分のほうが可愛い)でしょ?」か、「私の友達可愛いから(そんな友達がいる、私♡)」のような場合がほとんどだ。
でも、春香から紹介された千沙はその言葉通り、可愛かった。
21時の突然の呼び出しでも来てくれるフットワークの軽さ。
話も面白いし、今まで仕事をしていたという千沙に、好感をもった。
前の彼女が、依存心が強すぎる子だったため、次に付き合うのは自立しており、頼れる姉御系が良いと思っていた。
千沙は見た目とは裏腹にハキハキしており、しっかりしている。これはアリだ。
「和樹さんは、彼女はいらっしゃいますか? どんな子がタイプですか?」
「今、彼女募集中なんだ。千沙ちゃんのように、サバサバしてる姉御肌系の人がいいな」
本音だった。千沙のような女性は結構タイプで、できることならもっと知りたいと思う。
だから帰宅後、すぐにLINEを送った。
すぐに既読になる。だから、すぐに返信が来ると思っていた。
しかし、翌朝起きても、千沙から返信は来ていなかった。
バレバレのじらしテクは冷めるだけ
無駄な計算はいらない
――俺、なんか悪いことしたのかな……。
自然に誘っただけなのに、返信が来ない。良い気分ではなかった。そして妙な胸騒ぎが胸をかき乱す。
――あれ、千沙も面倒くさい……?
一体誰が言い始めたのか分からないが、女性の中には“
わざと”
返信を遅らせ、送ってくる人がいる。本人たちは良かれと思っているのかもしれないが、男性側からするとあれはただ面倒くさい。
本当に忙しいならば仕方のないことだが、明らかに“
計算して”
遅くしているようなLINEは、すぐに分かる。
とりあえず放置して昼のミーティングをしていると、千沙からようやく返信が来た。
返信するもまた、しばらくの沈黙。
こちらはテンポよく返しているのに、どうもタイミングが合わない。
昼休みを考慮してこの時間にしたのか分からないが、自営業のため、昼休みなんて関係ない。
24時間返信するし、逆に昼はランチミーティングが入ることが多い。
打ち合わせの相手がお手洗いに行った隙に、懲りずにもう一通送ってみた。
向こうも仕事中なら仕方ないが、立て続けに送った文面も、すぐに既読にはなったものの、妙な間が空いている。
提示された予定の日は、だいぶ先だった。
忙しいんだな……そう思うと同時に、そんなに遊んでるのか!? とも思う。忙しいといえども、一般人で、二週間連続、毎晩予定が詰まっていることがあるのだろうか。
こっちだって、忙しい。自分で会社を経営している以上、やるべきことは山積みだ。だんだんと千沙に対する熱が冷めてきている自分がいた。
素直に、ストレートに言ってくれる女性が愛される
店は、西麻布にある『サッカパウ』にした。
以前接待で連れてきてもらったのだが、そのときに食べた「イカスミのタリオリーニ ゲソのラグーソース」が忘れられなかったのだ。スタイリッシュな雰囲気と、独創的なイタリア料理の品々。女性とのデートに、最適な店だ。
「ここ、ずっと来てみたかったんです。さすが!」
嬉々とした顔で席に着く千沙を見て、この店にして良かったと思う。しかしいざ乾杯しようと思ったとき、千沙の携帯が鳴った。春香からだった。
「いいよ、返信しなよ」
すみません、と言いながらすぐに返信を打つ千沙を見て、違和感を覚える。
自分とのLINEは、無駄にタイムラグがある。返信が、遅い。
それなのに、今目の前に座る千沙は春香に対して即レスだ。
「千沙ちゃん、忙しそうだね」
「おかげさまで、忙しくて……。予定も、なかなか合わなくてすみません」
予定のことを言ったわけではなかった。無駄に返信まで時間があるのは、忙しいからかと思っていたが、やはりそうではなかったようだ。
「千沙ちゃん、どれくらいの間、彼氏いないんだっけ?」
春香から、千沙は二年くらい彼氏がいないと聞いていた。しかし、目の前に座る千沙からは、想定外の答えが返ってきた。
「うーん、一年以上かなぁ……和樹くんは?」
「俺は三年くらいいないよ」
別に彼氏がいないなら“
いない”
と、ハッキリ言えばいい。これも女性に多い傾向だが、彼氏がいないのにわざと曖昧に返事をしてくる人がいる。
謎めいた女性のほうがモテるとでも思っているのだろうか?
「彼氏いるかどうか、どちらだと思います?」なんて答える女性が一番最悪で、面倒である。
もう30代。十分いい大人だ。恋愛にすべてをささげられるような10代ではない。大人の恋に、無駄な駆け引きなんていらないのではないだろうか? 好きなら好き、嫌いなら嫌いだとハッキリ言ってくれる人のほうが一緒にいて楽しいし、お互いの信頼関係も築ける。
年齢が上がるにつれ、無駄に計算高くなってしまうのは、悲しいことだ。
ペアリングで出てくるオーガニックワインと、料理のマリアージュを楽しみながら、付き合うならば素直で、スムーズに進む子がいいなと考える。
ディナーが終わり、二軒目には行かずに解散した。
家に帰ると、千沙からLINEが入っていた。もちろん、返信をする。食事した当日なのに、途端に邪険に扱うようなことはしない。
でも、こちらから連絡することはもうないだろう。
男だって、暇じゃない。無駄な駆け引きに付き合わされている暇はない。
感情をストレートに伝えてくれて、LINEもスムーズに続くような子が、男から愛される。
――千沙が、もっと素直だったらアリだったのに……。
大人になった今、皆恋愛を無駄にこじらせていると、改めて思わずにいられなかった。
いかがでしたでしょうか? 異性の赤裸々な本音が見える『LINEの答えあわせ』。
このほかにも17×男女それぞれの34ストーリーが掲載されている書籍版では、1話完結型のWEB連載とは異なり、登場人物たちが少しずつ交錯しながら各ストーリーが展開されていきます。最後には、完全書き下ろしの書籍オリジナルエピソードも。
連載のファンだった方も、初めて読まれる方も、ぜひ手に取ってみてください。
『LINEの答えあわせ 男の女の勘違い』
著者:東京カレンダー
この記事のライター
宝島オンライン
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