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【空間デザイナー×SUUMO編集長対談】これからの時代のLDK 4つの変化とトレンド

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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【空間デザイナー×SUUMO編集長対談】これからの時代のLDK 4つの変化とトレンド

リフォームのトレンドは年々変化している。
その中で自分らしく過ごせる心地よいLDKをつくるにはどうしたらいいのか。
空間デザイナーの坂田夏水さんにSUUMO編集長の池本洋一が聞いた。

脱・テレビ中心主義でLDKはより自由に

池本 LDKというと、対面式キッチンの近くに4人掛けのダイニングテーブルがあり、リビング側はテレビを中心にソファやローテーブルを置くのが王道ですよね。でも、最近、変わってきたと思いませんか?
坂田 そうですね。私のところは王道より、自分のライフスタイルを基に依頼してくる人がほとんど。SNSにある海外のすてきな家の画像を参考にする人も増えました。
池本 近ごろはLDKの役割も勉強や趣味のスペースなど多機能化していますしね。家族みんなでテレビを見るよりも、タブレットやスマホなどで、個々に見たいものを見る家庭が増えていますから。
坂田 もはやテレビ中心のLDKは、求められてないですよね。テレビを隠せるようにしたり、置かないケースも増えています。
池本 そうすれば、LDKの自由度は高くなりますよね。

仕事のスタイルや好みでワークスペースを設置する

坂田 LDKでいうと、コロナ禍で在宅勤務が増えていることから、ワークスペースをつくりたいという依頼が多くなっています。
池本 LDKにワークスペースをつくるには大きく二つの方法がありますよね。LDの一角に机を設置するオープンスタイルと、壁をつくってLDから独立させるクローズド。どう選んだらいいんでしょうか?
坂田 仕事のスタイルや好み、それにLDの広さもポイントですね。クローズドにする場合、LDは12畳以上欲しい。そのうち2畳分をワークスペースにしても、LDは十分な広さを確保できるので。
池本 なるほど。クローズドは音の問題を解消できるのがメリットですよね。ただ、暗さや閉塞感が気になる。工夫の仕方ってありますか?
坂田 デスクの前の壁に室内窓を設置するといいですよ。リビングの様子が見えるので、家族との緩やかなつながりも保てる。リビングにいる家族も仕事をしている様子が見えるので、「会議中だから静かにしよう」と気配りができるんです。
池本 それはありがたいですね。一方、オープンスタイルはリビングにいる家族と一緒に過ごせるのがメリットですが、設置する際に何か良いアイデアはありますか。
坂田 デスクを細長いカウンターにすると、家族で横並びに作業ができて便利ですよ。あと、柱などの出っ張りでできたデッドスペースや階段の下を活用してもいいですし。
池本 オープンスタイルの場合、仕事の道具をどこに置くかという問題も出てきますけど。
坂田 収納棚は場所を取るので、壁付けできる小型の収納ボックスをお薦めしています。扉付きならごちゃごちゃ感も隠せますよ。

趣味を活かした演出でキッチンをより個性的に

池本 ワークスペース以外に進化を感じる部分はありますか?
坂田 それでいうと、キッチンが変わってきていますね。対面式カウンターでも、従来のつり戸棚をやめて、そこにワインや植物などを飾れるスペースをつくるとか。
池本 最近はLDとは別の空間にキッチンをつくる独立型も人気があるみたいですね。
坂田 じわじわきてますね。そもそも海外のキッチンは独立型が主流。それをSNSなどで見た人が、独立型に流れているようです。
池本 キッチンの設備もここ数年で様変わりしてますね。先日、ショールームを見学したら、天板(てんばん)や面材に黒やグレーなどいろいろな色・柄があって驚きました。
坂田 世界基準では黒やグレーは当たり前。日本でも選択肢の一つになってきました。
池本 キッチンとともに、ダイニングも変わっていますよね。
坂田 そうですね。今までは効率重視でキッチンの近くにダイニングテーブルを置くスタイルが主流でしたが、最近はあえてキッチンから離して置きたいという人が増えています。そのほうが食事の時間をゆったり楽しめるからなんですね。

日本の伝統様式が見直され未来のLDKの世界基準に

池本 海外の情報が手軽に入るようになった今、リフォームは今後どう進化していくと思いますか?
坂田 世界では美しさやエコなどの観点から、畳や襖(ふすま)といった日本の伝統的な住宅様式に目が向けられています。日本でもおしゃれに提案するリフォーム会社があれば、見直す動きは出てくるかなと。
池本 例えば、どういう空間?
坂田 リビングの一角に畳の小上がりをつくるとか。すでに若い世代には注目されつつあります。また、壁を和紙の壁紙や漆喰(しっくい)にするだけで、雰囲気も空気も変わりますよ。
池本 そういう変化を踏まえて、自分らしいLDKをつくるためのヒントを教えてください。
坂田 リビングのつくり方というと難しく思えるけれど、自分に似合う洋服なら見つけられるはず。その感覚で家族に似合う色、心地いい柄を考えるのが第一歩じゃないかなと思いますね。
池本 趣味や大切にしている小物から、LDKを考えるのも一つの方法ですよね。僕の妻は北欧の家具や小物が大好きで、フィンランドまで椅子をオーダーしに行きました(笑)
坂田 そうそう。そんなこだわりが自分らしい空間づくりにはすごく大切ですね。

空間と住まいのプロ、それぞれの視点から今のリフォームのトレンドが見えてきた。これまで一般的、王道とされてきたLDKの型のようなものはなくなり、住まい手発信での自己流の最適解を見つける時代になってきたのかもしれない。LDKは自身のライフスタイルを中心として、もっと自己流に自分本位につくっていくことが重要そうだ。

構成・取材・文/上島寿子 撮影/一井りょう

空間デザイナー 坂田夏水さん
武蔵野美術大学造形学部建築学科を卒業後、一級建築士事務所に入社。28歳で「夏水組」を設立。東京・吉祥寺に移転・オープンした「Decor Interior Tokyo」では、壁紙、ペンキ、床材などを販売。著書は『セルフリノベーションの教科書 プレミアム』などSUUMO編集長 池本洋一
1995年リクルートに入社後、編集、広告営業、ブランド戦略、事業開発、『都心に住む』など3誌の編集長を経て、2011年より現職。SUUMOリサーチセンター長も兼任する。メディアを通じて住まい領域のトレンド発信を行う 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル


この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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