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みなさん、「物件ファン」というサイトをご存じですか? 素敵な住まいだけでなく、変わった立地や間取りなどユニークな物件を紹介している、不動産エンターテーメントサイトです。今回はこの「物件ファン」さんに突撃! 日々たくさんの物件を見ているなかでも、特に驚いた物件や印象深かった物件を教えていただきました。
物件を愛でる 「物件ファン」誕生秘話
そもそもなぜ「物件ファン」は誕生したのでしょうか?
「最初は『Roomhub(ルームハブ)』という物件情報サイトをつくっていました。物件を所有している大家さんが直接サイトに賃貸情報を掲載できるサイトで、大家さんからのダイレクトな情報発信のお手伝いができればと考えていました。しかし、『もともとお付き合いのある大手不動産業者がいるから』という方も多く、最初はうまく大家さんとユーザー(読者)にリーチできなかったんです。
そこで方向性を変え、自分たちでメディアをつくって情報を発信していくことに。自分がいいなと思う物件を探してきて、記事を書く。これが『物件ファン』のスタートです。2016年2月から始めて、ちょうど2年になります」(「物件ファン」の中の人。以下同)
ユーザーには、引越しに向けて物件情報を探している人以外にも、「物件を見るのが好き」「変わった物件に興味がある」という人も少なからずいるとのこと。こうした人たちの間でFacebookやTwitterなどを通じて認知度が高まり、2018年の1月には月間270万ページビューを超えるサイトへと成長しました。
中の人が選ぶ、「これは驚き!」な物件5選物件ファンさんによると、公開する記事は月に150本ほどで、およそ3000件の情報が掲載されているそう。今回は、そのなかでも「驚いた」「面白い」と感じた物件をセレクトしてもらいました。
1、「マンションの部屋の中に中庭がありました。」
物件の中に「中庭」があるという驚きの物件。こうしたユニークな物件に数多く出会えるのが、物件ファンの大きな特徴です。
2、「出た! はしごで上る本棚」
続いては、本好きなら一度は夢見るのでは? と思われるような物件です。
はしごを使えば天井近くに並べた本も簡単に手に取れ、また両側の壁をつなぐキャットウォークで行き来もラクラク。好きな本に囲まれた暮らしが実現しそう。
3、「垂涎! あの先斗町(ぽんとちょう)の京町家にため息の連続。」
舞妓さんに出会えるチャンスもあることで人気の京都・先斗町エリアの物件も。
「もとは個人宅だったのか、お茶屋などの店舗だったのかは定かではありませんが、1階の吹抜けにはちょっとした中庭がしつらえてあり、情緒がありますね」
「ちなみに、この物件の販売価格は5億8500万円(2018年2月現在)だそうです。とても買えるお値段ではありませんが、間取りや建物の内部設備がやっぱり面白い。物件ファンは単に『買う・借りるためだけの情報サイト』ではないので、こうした物件も取り上げています。もちろん、買える! という方にはおすすめの物件ですよ(笑)」
4、「団地の新しい住まい方? 二部屋どちらもわたしの家!」
「古いのが逆にいい」と再評価され、団地のリノベーション物件も増えつつある近年。団地物件の多くが40~50平米であるという「狭さ」を解消する手段として、2部屋をつなげた「ニコイチ」物件も登場しているのだとか。
「これは、団地の隣り合う2部屋をつなげた大胆なリノベーション。玄関は2つあるけど部屋の中から行き来することはできず、一度玄関を出て向かいの玄関へ入るか、バルコニーから入ることになるんです。動線はちょっと変だけど、なんだかワクワクしますよね(笑)」
キッチンやお風呂などの生活スペースは1つになっており、その分のスペースが広がっています。リビングやダイニング、寝室といった機能を好きな部屋に割り振ったり、仕事場とプライベート空間というように時間帯で使い分けたりと、自由に使えそうです。
5、「このロフトはリビングのように甘い。」
最後に紹介いただいたのは、一人暮らしの人に人気のロフト付き物件。
おしゃれなカップルがまったりと休日を過ごしていそうなこのお部屋。単純なロフト付き物件ではなく、高低差によって3つのフロアに分かれているそう。
「個性的ではあるけど、『いったい誰が住むの!?』というほどの奇抜な物件ではない。最近は、そういった物件を取り上げることも増えています。実際に『物件ファンで一目ぼれして、その物件がある街に引越した』という声を聞くことも多くなりました」
「住む」「買う」だけでなく、もっと広い視点で不動産を楽しんでほしい多くのユニークな物件を取り上げている「物件ファン」。今後はどのような物件が増えてくると考えているのでしょうか。
「これからの時代は、空き家問題などにも象徴されるように、部屋が余る時代がくると予想されます。だから、住む人がより楽しく物件を選べるような、立地や広さといった要素からより自由になった物件や間取りが増えたら楽しいですね。
それから、いわゆるLDKにとらわれない物件も増えるのではないでしょうか。店舗だったところや倉庫、公民館など、もともと住宅として使われていなかったものが住宅として貸し出されたりもしています。そういった意味でも、これからも面白い物件は増えていくと思いますよ」
ライフスタイルが多様化していることから、住み方もより自由に、多様化していく……。さまざまな物件を通じて、そんな時代の流れも見えてきますね。
「物件ファンでは、立地・築年数・駅徒歩何分というカテゴリー分けをしていません。それは、物件を柔軟な目で見てほしいから。新宿エリアの物件を探している人が、たまたま福岡県の物件を見る。そんな出会いがあってもいいなと思っています。もちろん、求めている情報ではないかもしれませんが、『福岡県なら同じ予算でもっと広い家に住めるのか』『2DKを探しているけどロフト付きの1DKもいいかも』というふうに、住宅探しに新しい視点をもってもらえたら、と思っています」
「物件ファン」の中の人が物件を紹介するときに心がけているのは、物件への愛をつづること、そして、ストーリーを感じさせることだといいます。「自分ならこう住みたい」「こんな人が住んでいそう!」と妄想をかき立てるようなストーリーを考えると、読者の方も一緒になって想像してくれるのだとか。
それは、物件ファンが住宅情報サイトとしてだけでなく、物件を通じて大家さん、不動産業者、そして読者がコミュニケーションをとることができるメディアだからかもしれません。物件ファンさんのお話からは、引越しの検討時しか利用されず、情報に埋もれてしまうことも多い「物件」への愛を感じることができました。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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