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リクルート住まいカンパニーが、2回目の緊急事態宣言が発令される直前である2020年12月に、居住用不動産の売却を検討し、情報収集や不動産会社への問い合わせ、査定依頼、売却の実施など何らかの行動を取った人にアンケートを実施した。売却を検討または実施した人の意識は、新型コロナの感染拡大でどう変わったのだろう?【今週の住活トピック】
「2020年 住まいの売却検討者&実施者調査」を公表/リクルート住まいカンパニーコロナ感染拡大で不動産の売却にどんな影響があった?
まず先に、アンケート結果のうちコロナウイルスの影響についての結論を紹介しよう。
●コロナ感染拡大によって、売却を検討するに際して、「抑制」や「促進」、「条件変更」など何らかの影響があった人は7割超に上る
●コロナ感染拡大が売却検討の「促進」になった人では、その理由に感染拡大の影響が具体的な形で見られる
●売却を検討・実施した人が、売却に際して不満に感じることは「価格の妥当性」がトップ
●コロナウイルス感染の影響を受けた2020年は、前年よりも不動産の売却を検討する人が少なかった
居住用の不動産の売却を検討する際に、どういった影響があったかを聞いたところ、「影響は特になかった」と回答したのは26.7%だった。大半の人は、後押しになったなど「促進」されたり、中止や様子見をしたなど「抑制」されたり、売却希望価格を変えたなど「条件変更」をしたりと、なんらかの影響を受けていた。
同社が2020年11月に公表した「第2回 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査」(調査時期は2020年8~9月)で、住宅の購入や建築を検討している人に同じような質問をしている。今回のアンケートと同じ首都圏の結果を見ると、購入・建築検討者では「影響はない」という回答が41%だったことと比べると、売る側の26.7%という回答は少ない(つまり何らかの影響を受けた人が多い)という印象を受ける。
また、「抑制」や「促進」の理由を見ると、「抑制」の理由では「外部との接触を避けたい」、「不要不急だから」といった感染そのものを避ける動きもあるが、「希望する価格で売れなさそうだから」といった停滞ムードによるものもあった。さらに、「しなければいけないことが増えた」や「時間がない」など、今はそれどころではないといった様子がうかがえる回答も多い。
次に「促進」された理由では、「もっと住みやすい住まいに住み替えたいから」、「自分の価値観や考え方が変わったから」、「テレワークに適した環境に住み替えたいから」など、コロナ感染拡大の影響がポジティブな形で表れている。特に、感染拡大が強く懸念されるようになった2020年4月以降に検討を始めた人ほど、その傾向が強く見られる。一方で、「すぐにお金にする必要が生じたから」や「ローンの支払いが困難になったから」など、ネガティブな影響で売却を検討せざるを得なくなった人も相当数いる。感染拡大の影響はさまざまな形で表れているようだ。
不動産売却の際の不満は、価格の妥当性が分からないことさて、売却を抑制された人の理由で「希望する価格で売れなさそうだから」というものがあった。この背景として、実際に査定を依頼して提示された額を見て希望価格で売れなさそうと思ったのか、停滞ムードからなんとなく高く売れなさそうと感じたのかは定かではない。
とはいえ、不動産売却の際に最も不満に感じるのは、「価格」のようだ。調査結果では、「売り出し価格」と「価格査定」の妥当性に対する不満が上位に挙がった。
では、「価格査定」と「売り出し価格」とは、それぞれどのように決まるのだろうか。
まず、価格査定による査定額とは、多くの場合、類似物件の過去の成約事例を集めて、成約した時期の違いや物件の属性の違い(方位や駅距離など)によって価格を調整し、媒介を依頼される契約期間の3カ月以内に売れるであろうと算定された額だ。
ただし、実際に複数社に価格査定を依頼してみると、提示される額にかなりバラツキがあることも多い。これには、いくつか理由が考えられる。
まず、その店舗の得意エリアかどうかという違いがある。対象物件のあるエリアで、実際に売買を成立させた事例を多く持っていたり、購入希望者の相談を多く受けていたりすれば、そのエリアの事情に詳しくなるのでより的確な額を提示できる。次に、査定額を出す担当者の経験の違いなどから、過去の成約事例から物件の属性(広さや最寄駅からの距離、方位、築年数など)データだけを見て、算定してしまう場合もある。実際には、その地域で人気のある場所や人気のマンションだった場合は相場より高く売れるし、管理の良いマンションであれば同じ築年数でも高く売れるということがあるからだ。
また残念ながら、高い査定額を出した方が媒介を依頼されると考えて、実際の査定額よりも高い額を提示する場合もあるので注意が必要だ。
それに対して売り出し価格は、一般的には査定額と売主の希望額の間で設定されることが多い。早く売りたい事情がある場合などは、査定額に近い額で売り出す必要があるし、時間がかかっても高く売りたいと考えるなら希望額に近い額で売り出すのがよいだろう。
適切な売り出し価格でないと、見学者が表れなかったり、内見はあっても先に進まなかったりということになりかねない。つまりは、査定額が適切であること、不動産会社が適切な助言をすることが、スムーズな売却には不可欠ということだ。
そのためには、価格査定の提示額だけでなく、その額を提示した具体的な根拠を聞いたり、そのエリアの詳しい市況を聞いたりして、信頼できる不動産会社かどうかを見極める必要がある。
最後に、売却を検討する人の多さについて確認しておこう。これまでの調査結果はすべて、居住用不動産の売却を「主体的に検討した」621人が調査対象だが、調査対象者すべてに、売却を検討した月と検討を終了した月を聞いて、その間を検討月と見て分析した結果だ。
同社では「売却検討者の出現率」という表現をしているが、四半期ごとに2020年と2019年を比べると、2020年のほうが前年よりも、出現率が0.4~0.7ポイント低くなっている。つまり、コロナ下の2020年は前年よりも、売却を検討した人が少ないという傾向が見られた。
売ろうとしている人が少ないということを、市場が活性化していないと見るのか、競争相手が少ないので売りやすいと見るのかは、人それぞれだろう。筆者は、需要がそれほど縮小していない状況なので、売ろうとしている人が少ない(供給が少ない)ほうが、売るには有利ではないかと思う。
住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナルこの記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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