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ある程度の年齢になると、就職や進学、自由になりたい、自立したいなどの理由で一人暮らしを始める人も多いだろう。しかし、なかには就職後も親元を離れず実家で暮らし続けている人もいる。そこで、20~39歳の実家暮らしをしている400人(男女それぞれ200人)にアンケート調査を実施。実家暮らしの理由に迫った。
実家暮らしは「甘え」それとも「合理的」?
今回の調査では、以下の15項目のなかで該当するものすべてを選択してもらった。結果は以下のとおり。
Q.現在、実家で暮らしている理由はなんですか?(複数回答)
1位:職場が実家から通えるところにあるため(63.0%)
2位:一人暮らしをできるほどのお金がないから(48.3%)
3位:貯金をしたいから(38.8%)
4位:一人暮らしをするのが面倒だから(34.5%)
5位:家の広さが十分にあるから(31.3%)
6位:親との関係性・仲がよいから(30.0%)
7位:家事・炊事を家族がやってくれるため(29.0%)
8位:家の設備が機能的で快適だから(19.0%)
9位:地元を離れたくないから(17.5%)
10位:一人暮らしはさみしい、怖いなど不安があるから(15.3%)
11位:親に家にいてほしいと言われるから(12.5%)
12位:家事が苦手だから(10.0%)
13位:実家で飼っているペットと離れたくないから(9.5%)
14位:家族の体調が悪く、自分の助けが必要だから(6.3%)
15位:その他(3.8%)
今回、「職場が実家から通えるから」(63.0%)が下位を大きく引き離し1位となった。確かに、実家から十分通える範囲内であれば、物件を探す手間や、敷金・礼金、毎月の家賃などを考慮すると、実家に居続けるほうが経済的合理性は高い。だがそれは、裏を返せば実家住まいによって得られるメリットは経済面が多いということ。合理性という言葉を隠れみのに、本音は「単に無駄な出費を減らしたい」だけなのかもしれない。
また、20・30代の親世代である現在の50・60代は、兄弟姉妹が多く、長男でなければ実家を出るように言われたという人も多い世代。一人暮らしをはじめ、家電や家財、住まいを手に入れ、家庭をもうけ……。生活が充実した今、「子には自分たちと同じような思いをさせまい」と考える親たちは、かつてほど子に自立を促さないのかもしれない。「親との関係性・仲がよいから」が6位にランクインしたのも、そうした背景が考えられそうだ。
しかし親の心子知らずか、「家事・炊事を家族がやってくれるため」は29.0%と、約3人に1人と高割合。
率直な意見だが、もしその親がいなくなったとき、生活はどうなるのだろうと心配になる……。12位「家事が苦手だから」(10.0%)も、同様。そもそも経験を重ねなければ、何事も苦手のままなのだが。
次に、男女別で結果を分析した。
男性は家の広さ、女性は親との関係性の良さがポイント男女別のランキングを見てみると、男性は5位「家の広さが十分にあるから」(30.0%)、8位「家の設備が機能的で快適だから」(17.5%)と、暮らしやすさに関する理由をあげる人が多い。20・30代は、残業で帰宅が遅くなるという人も多いだろう。せめて家だけは、設備の整った快適な癒やし空間でありたいが、広さと設備が整った物件は、家賃も高い。そう考えると、経済的合理性で実家住まいを選択してしまうのもうなずける。
一方、女性は3位「親との関係性・仲がよいから」(40.5%)、8位「一人暮らしはさみしい、怖いなど不安があるから」(23.5%)と、家族との絆に関する項目が目立つ。両親との関係がよければ、一緒に暮らしていても人間関係のストレスは少なく、話し相手もいて毎日が楽しい。また、一人暮らしになると、防犯上の不安もある。不安や寂しさに対する忌避感が、強いのかもしれない。
年齢階層別に見ると、20代前半男性は、「地元を離れたくないから」(31.0%)が、女性は「親との関係性・仲がよいから」(53.8%)が、30代後半の男性では、「親に家にいてほしいと言われるから」(10.6%)が、他の年齢階層に比べ高めの結果となっており世代を反映した結果になった。子が30代後半なら、親もそれなりの年齢。介護や病気等の心配も出てくるようになると、今度は実家を離れにくくなっていくのかもしれない。
実家暮らしの理由は、実に性別や世代を反映した結果になっていた。20・30代を取り巻く経済的事情は厳しく、高額な家賃が発生せず、しかも快適な実家環境が魅力的にうつるのは、仕方のないことなのかもしれない。しかし、半面でこの時代において実家を離れ、低収入でも家計をやりくりし、一人暮らしをしている者もいる。厳しい時代だからこそ、不安や寂しさを乗り越え、炊事や洗濯など基本の生活力を身につけようとするタフさも大切なのではないだろうか。
●[SUUMO実家暮らし調査]よりこの記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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