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築25年の邸宅で、ポーセラーツ・ポーセレンペイント、きもの着付けレッスンのサロン「ラ・フィユ鎌倉」を主宰する赤見かおり子(あかみ・かおりこ)さん。サロンスペースとプライベートスペースをきっちりと分けながらも、美しく融合させたエレガントなインテリアは、すべて赤見さんのセンスによるもの。前編では、女性の夢ともいえそうなインテリアを詰め込んだ、サロンスペースをご紹介します。【連載】テーマのある暮らし
この連載では、ひとつのテーマで住まいをつくりあげた方たちにインタビュー。自分らしい空間をつくることになったきっかけやそのライフスタイル、日々豊かに過ごすためのヒントをお伺いします。 引越しは9回目、リフォームは毎年!
湘南モノレールの西鎌倉駅から約7分。閑静な住宅街の一角にたたずむ瀟洒(しょうしゃ)な邸宅で、かおり子さんは家族4人で暮らしながら、サロン「ラ・フィユ鎌倉」を主宰しています。
結婚35年目を迎えるご夫妻にとって、25年前に建てたこの邸宅はなんと9軒目の住まい。鎌倉の街に惹かれ、最後の引越しにするつもりで選んだそうです。
かおり子さんは、子どものころから暇さえあれば方眼紙に家の間取図を描いていたというほど“家”が大好きでした。9回もの引越しをすることになったのは、引越し先のインテリアが完成すると「もっと違うインテリアにも挑戦してみたい」という気持ちがわき上がった結果なのだそう。
建てた当時は約79坪、今は増築して約85坪というこの邸宅を、かおり子さんは毎年のようにリフォームしながら暮らしています。
「お花を替えるような気持ちで、壁のクロスも替えるんですよ」と語るかおり子さんはとても楽しそう。方眼紙に間取図を描いていたころのわくわく感が、いまも息づいていることが伝わってきます。
かおり子さんの家へのこだわりは、どこにあるのでしょうか?
さあ、おじゃましてみましょう。
家の中に一歩入ると、きらきらと煌めく夢のような世界が広がっていました。この光景には、誰もが思わず歓声を上げてしまうことでしょう。
最初に気付くのは、玄関から見て手前と奥のスペースでは雰囲気がまったく異なること。手前は、クラシカルな雰囲気のなかに煌めきをたたえた格調高いインテリア。奥には、床も壁も白で統一された、明るく軽やかな空間が広がっています。
パーティションなどは一切使っていないにもかかわらず、一目見ただけで2つの部屋がまったく別の目的でしつらえられていることが感じ取れるのは、床の色がはっきりと分かれているからでしょうか。
とはいえ、ちぐはぐな印象がまったくなく、自然と統一感がとれているところはかおり子さんの手腕なのでしょう。
白でまとめられた奥のスペースは、かおり子さんのサロンです。徹底してフェミニンでエレガントな雰囲気にまとめられたこのスペースには、サロンに対するかおり子さんの思いが、存分に込められていました。
和室を改築して、使いやすいサロンスペースに新築当初、サロンスペースは床の間のある和室に縁側、そして小さな庭だったのだそう。そもそも、サロンを始める予定などまったくなかったというかおり子さん。1人の友人から絵付けを教えてほしいと頼まれ、教えているうちに口コミで広がって生徒さんが増え、今から12年ほど前に思い切ってこのスペースをサロン専用に改築したのだそうです。
入って左手のテーブルは作業スペース、右手はティールームです。白を基調にしたのは、絵付けに色とりどりの彩色を施すので、インテリアがその邪魔にならないようにするためなのだそう。作業スペースのライティングには、スポットライトを使わなくても細かな作業ができるよう、明るいものをセレクトしました。
窓に面した明るいティールームは、元々は庭だったということもあり、テラスのような雰囲気を味わえるのが特徴です。「我が家のキャッチフレーズは“鎌倉山を一望できる家”なんですよ」とかおり子さん。たしかに、窓の外には鎌倉山が広がっています。桜が満開の時期も真冬の雪景色も、ここから眺めればどれほど美しいことでしょう。
サロンは女性が非現実を愉しみ、夢を見るための空間サロンのインテリアをフェミニンな雰囲気にまとめてある理由について、かおり子さんは明快に語ってくださいました。
「家庭のある女性って、ご自宅に自分のための空間を持つのは難しい場合もありますよね。だから、ここに来たら非日常を味わって、心から満たされてほしいんです。ほら、シャンデリアもかなり大ぶりでキラキラしているでしょう? このサロンは、女性の皆さんが夢を買いに来る場所でもあるんです」
サロンのテーブルセッティングは、毎月必ず変えるそうです。
「通い始めてもう15年になる方もいらっしゃるほど、長いお付き合いの生徒さんが多いんです。来るたびに同じような雰囲気だと、飽きてしまうでしょう? だから、季節感を生かしながら頻繁に変えています。季節のものは1カ月先取りしますね。そうすると、ここでいいなと思ったものをご自宅で真似できると思うので」
インテリアもテーブルコーディネートも、すべて“生徒さんが心地良く過ごせるように”という観点から考えているかおり子さん。そのプロ意識は、ちらりとのぞかせていただいたパウダールームで最も強く感じられました。
「サロンを主宰するマダムがつくり上げる、上質を極めた空間」、前編では女性の夢を詰めこんだサロンスペースをご紹介しました。後編ではプライベートスペースを見せていただきましょう。
●後半はこちらこの記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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