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「引越し難民」という単語までうまれた昨今ですが、進学や転勤で、どうしても引越しのタイミングをずらせない、という場合もあります。そんなときに考えるのは、「自力で引越し」。 引越し会社に頼むより安く済むのかな……と思う人もいるのではないでしょうか? ここでは、引越しする際の注意点やコツ、そもそも引越しは自分でしても大丈夫なの? という疑問にお応えします。
引越し会社に頼らない! 自力で引越しするための注意すべきポイント
いざ自分で引越しを始めると、ガムテープやダンボールなどの資材の準備が意外と大変! 梱包作業も自分でやらなければなりません。さらにレンタカーを利用するとなると、通常の乗用車やワゴンのような車ではなく軽トラックやバンなどになるでしょう。レンタカー代にプラスしてガソリン代、自分たちの力だけで運べない家具には、友人の助けが必要になり、謝礼などの費用もかかります。事前に計算をしたうえで、本当に引越し会社に頼むよりも安く済ませられるのかは、しっかり検討しておきたい点です。
また「ホームステージング(売却物件にインテリアコーディネートを行う)」サービスを提供し、家具の搬入・搬出に立ち会う機会も多い野村の仲介+(PLUS)の足立光(あだち・ひかる)さんによると、特に高額帯のマンションの場合は、あらかじめ引越しのルールが決められていることが少なくないため、事前の確認が必須だといいます。
「荷物の搬入口が決められていたり、エレベーターや駐車スペースの利用に許可が必要だったりすることもあります。特に繁忙期は引越しの日程が他世帯と重なってしまうケースも多いので、搬入口やエレベーターの利用に制限がかかることがありますね」(足立さん、以下同)
そのようなマンションの場合、共用部分の床や壁などに傷をつけないように、きちんと養生することを管理員や管理会社から指示されることもあります。
「事前に管理員に連絡をせずに、勝手に搬入・搬出を始めてしまうと、作業を中止させられる可能性もあります」
さらに、手持ちの家財によっては気を付けておくべきこともあるようです。
「大型の家具は分解しないと入口を通らないこともあるので、搬入・搬出経路のチェックもしておいたほうがいいでしょう。また、家具の材質・構造によっては、一度分解してしまうと再度組み立てたときに、ゆるみやガタつき等の不具合が生じる可能性がありますので、注意が必要です」
当日になって引越しができない! という事態を避けるためにも、自力で引越しを行うときには事前に駐車スペースや経路を確認し、届出が必要かどうかを物件の管理会社へ確認・相談をするなど、しっかり準備をしておきましょう。
自力で引越しをするリスクに注意! その危険な落とし穴とは!自力で引越しをした場合、万一、荷物をキズつけられたり、建物を損傷したりしてしまった……などの状況になれば責任を巡って深刻なトラブルになりかねません。しかし、自力引越しの場合は、家や荷物の破損に対する保険というのは存在しません。その点、引越し会社に頼んでいれば、補償されているケースもあります。
賃貸住宅を管理運営している住友林業レジデンシャルの大澤裕次(おおさわ・ゆうじ)さんによれば、「補償や保険のことをよく知らない人は結構多い」といいます。
「特に共用部分のガラス戸に家具をぶつけてガラスを割っちゃった、という話は多いです。引越し会社に頼む場合は引越し会社が補償してくれますが、自力で引越ししたときに個人で負担するには厳しい金額なのではないでしょうか。実は賃貸契約をするときに家財保険、火災保険等の名称で『借家人賠償責任保険』に入っていることがほとんどで、契約期間中であればその保険が適用されるんです。ただ一つ気をつけてほしいのは、仲介会社が事前に鍵を渡すなどして、契約期間が始まる前に自力引越しをして傷をつけた場合です。保険適用開始は契約期間の開始日からなので、その前では保険が適用されず、全額自分で払わなければならないリスクがあります」(大澤さん)
また、引越しをする本人の家財にもリスクがともないます。冷蔵庫を自分で運んだら冷却用のガスが抜けて使えなくなった、洗濯機の排水口の接結を外す手順が分からず水浸しになった、などという話もよく聞きます。アースの取り付けや取り外しは、引越し会社でも専門の電気工事員を呼ぶケースがあるくらいなので、素人には危険な作業だという認識をもっておいたほうがよさそうです。
「自力で引越し」はOK? NG?では結局、自力で引越しをしても問題ないのでしょうか? それとも止めておいたほうがいいのでしょうか。
「よっぽど荷物が少ないほうでない限り、まずお勧めしないですね」(足立さん)
「引越し業界が人手不足で料金高騰、特に2月~4月はそもそも空いている日がないというニュースも多いですが、個人的には繁忙期を避けたうえで引越し会社に依頼するのが賢い方法だと思います」(大澤さん)
不動産のプロであるお二人が即答するように、引越し会社を使わない方法は、経費を抑えられる可能性は高いものの、手間と時間がかかり、なおかつ万一のときの補償がないのも事実です。
それでもどうしても自分で引越しを考えたいという方は、少しでもお得かつ安心で安全な引越しができるよう、慎重に計画を立てましょう!
万一の事故やトラブル、今後の近隣住人とのお付き合いを考えると自力引越しにはリスクがともないます。事前の準備や自力で引越しするためにかかる費用を考えれば、結局は引越し会社に任せるのが正解かもしれません。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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