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最近、マンションで「土間」が静かなブームになっているって、知っていますか? 土間といえば、昔の日本家屋のイメージが強いけれど、実用的かつオシャレな空間として、いま見直されているようです。早速、その実態を取材しに出かけました。
なぜ、マンションに土間? 住まい選びの変化も関係していた
「土間ブームは急にやってきたわけでなく、以前からニーズがありました。自分たちらしいライフスタイルを実現したいと考えている人たちにとって、土間という空間は生活にゆとりをもたらすものとして、選択肢の一つによくあがります」
そう話すのは一戸建てからマンション、ホテルまで多彩なリノベーション事業を手掛ける株式会社リビタの山田笑子(やまだ・えみこ)さん。
その背景には住まい選びの変化も関係しているようです。
「都心部を中心に新築マンション価格が上がったこともあり、中古マンションを購入してリノベーションする選択肢が定着しています。むしろ、そうやってカスタマイズされた住まいにこそ価値を見出す、そんな人たちが増えていることを実感しますね」(同)
なるほど、あえて新築ではなく、中古マンションをリノベーションして自己実現する。その中の魅力的な空間のひとつとして、土間が注目されているということですね。そこで、実際に土間のあるマンションに暮らすMさん(練馬区)を訪ねました。
趣味のアウトドアを感じられ、実用性も高い土間にこだわりMさん宅の玄関を入ると、おー、土間があります。そこには趣味の自転車やベビーカーなどが並び、土間から続くフリースペースと合わせて、ゆったりした広がりが感じられる空間です。築25年ほどの中古マンション(約76平米/3LDK)を購入し、株式会社リビタに依頼してフルリノベーションしたそうです。
「子どもの誕生に合わせて家探しをしました。注文住宅や建売住宅から新築&中古マンションまで、幅広く情報を集め見学しましたが、なかなかピンとくる物件に出合えませんでした。そんなときフルリノベーションするという手法を知り、同時に土間のある住まいがアウトドア派の私たちにピッタリと確信しました」(Mさん)
玄関に土間があることで、汚れがちなテントなどのキャンプ道具を管理しやすく、雨の日は濡れた衣類や荷物なども土間で手入れすれば、居室内を汚さずに済むといいます。近い将来、ちょっとした子どもの遊び場にもなりそう。土間はとても実用的で便利な空間なんですね。
「土間とフリースペースをはじめ部屋のレイアウトを大きく変更、まるで注文住宅のようなこだわりを詰め込むことができました」とMさん。築年数からして、共用設備などの若干の古さは目につくものの、管理はしっかりしていて、ここ10年で大きく値崩れしていることもなかったそう。それでも新築マンションに比べれば、リノベーション費用を加味しても安く済んだと満足の様子です。
古くて新しい空間、それが土間 活用法は広がっている昔の日本の家にあった土間はどんなイメージでしょうか。土のついた野菜があったり、飲料水をためてあったり、炊事場だったり……。まあ、何か作業をする場所で、床はコンクリートやタイル、漆喰を塗り固めた素材でできていました。その性格上、防水性に優れている必要があったわけですね。
そうした土間は、いまでは狭い玄関に集約されるようになったと考えられます。そしていま、趣味と実益を兼ねた空間として、あえて設置されるケースが増えているというわけです。
では、実際にはどのように活用されているのでしょうか。「玄関の延長でいえば土間収納も人気です。また水まわりを土間にすることで掃除やお手入れが楽ですし、インナーテラスのように土間をつくれば癒やしの空間にもなります。さらに、コンクリートやタイル敷きにしないでも、あえて段差を付けることで土間風なメリハリをつける空間づくりもありますね」(山田さん、以下同)
土間は家の中なのに土足OKの空間。役割としては、家の外でも中でもない中間領域です。「住まいの中に、あえてきちんとしていない空間があることが貴重なのかもしれませんね。そのことで暮らしの中にゆとりが生まれる。それが土間が支持されるひとつの理由だと思います」
今回見てきたリノベーションマンションだけでなく、最近は賃貸のワンルームでも土間のあるマンションが少しずつ増えているようです。限られた広さの中でもメリハリがきいた空間の演出が人気の理由でしょう。土間ブームはこの先も根強く続きそうですね。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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