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マンション開発が活発な中央区勝どきエリアで、2008年に完成したTHE TOKYO TOWERS。1300戸を超える超高層タワーが2棟あり、スポーツ施設が入った別棟をはじめ、マンション内にはカフェやエステ、ライブラリーなど、実に多彩な共用施設が設置されている。【住民経営マンション・管理はつなぐ】
高い資産性を守って次世代に渡したい。都心住宅に暮らす人々の誠実な管理に学ぶ。『都心に住む』の人気連載からの転載記事です住み心地を向上させるには、ビジョンが必要
「現在、管理組合では、THE TOKYO TOWERSが目指すべきビジョンについて検討中です。入居者の総意として言語化された方針があれば、誰が理事になっても一定の価値観のもとで意思決定できると考えました」(理事長の友枝敦氏)
そこで友枝氏は、理事会内に「ビジョン検討委員会」を新設。100年続くマンションを目指そうという想いから、この委員会を“100マン会”と呼んでいる。現在は、協議に入る前の準備段階として、有識者を講師に招いたパネル検討会などを開催。入居者にビジョン策定の意義や必要性を認知してもらおうと活動している。
管理組合と自治会が連携 コミュニティフェスティバルを共催なお、建物の維持管理を担う管理組合のほかに、コミュニティ活動推進の担い手として自治会がある。自治会では、地元にある住吉神社の例大祭参加や入居者のクラブ活動支援など、さまざまな取り組みを精力的に展開中だ。「中央区の地域コミュニティとコラボしたドラゴンボートの体験会や、クルーザーをチャーターした東京湾クルーズの開催など、クラブの活動内容は多種多様です。
また、隣接した晴海エリアでは2020年東京五輪に向けて選手村の整備が進んでいるので、大会中の警備のあり方について、地元の警察や消防と協議を進めているところです」(自治会長・高崎泰典氏)
地域と協力しつつ、マンション周辺の安全確保にも取り組んでいるわけだ。また、管理組合と自治会は、連携も強化している。一例が、入居者や周辺住民の交流の場として自治会が主催している恒例行事「コミュニティフェスティバル」だ。管理組合は昨年まで後援だったが、今年は共催になったことで、プログラムの内容や種類を拡充でき、ボランティア留学生の協力を得ることもできたという。
「THE TOKYO TOWERSの資産価値にソーシャルキャピタルも組み込むことが、自治会と管理組合で共有している目標です。その結果、安心感や暮らし心地を高めていければ素敵ですよね」(友枝氏)
建築・住宅計画等を専門とする東京大学教授 大月敏雄氏が語る建築家の視点
マンション全体で目指すべき方向性を定め、そこに沿ってコミュニティ形成やハードの維持管理にあたるという考え方は、実に素晴らしい。また、理事長・自治会長共に中央区主催のコミュニティ養成塾に参加なさったそうだが、コミュニティのあり方について自発的に学ぼうという積極性には敬服する。長期的なビジョンを定めて管理にあたるという例は珍しいので、ぜひ実現させていただきたい。
なお、共用施設が多彩に提供されているのは大規模マンションの魅力のひとつだが、各施設をいかに柔軟に運営していけるかは、将来的な課題になると思われる。運用見直しに着手する条件やタイミングなどを、予め設定しておくのもいいかもしれない。
※この記事は『都心に住む』2018年2月号(2017年12月26日発売)からの提供記事です
※管理組合のルールや方針は変更される場合があります
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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