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省エネ性能の高い住宅は冷暖房が効きやすいので冬暖かく、夏涼しく快適に暮らせる。おまけに冷暖房代が安上がりといいこと尽くめだ。ただ、難点なのは住宅を見ても省エネ性能がどのくらいいいのか、さっぱり分からないことだ。
住宅の省エネ性能を5段階の星マークで表示
そこで2016年4月からスタートしたのが、省エネ性能表示制度「BELS(ベルス)」だ。建物の省エネ性能について第三者機関に評価してもらい、5段階の星マークなどで表示するというもの。
表示は義務ではなく、任意だ。第三者機関の認証を取得した住宅は、広告などにマークを表示できることになっている。マークの内容を見ればその住宅の省エネ性能が客観的に分かるから、クルマを選ぶときのように住宅も「燃費」で比べることができるというわけ。
エネルギー消費量の削減率も図で示される具体的な表示内容はまず、星の数で表される。星2つで省エネ基準に適合しているレベル、3つ以上ならそれよりも性能が高く、星1つだと基準より1割低い。
また設計段階での一次エネルギー消費量が、省エネ基準より何%削減できているかが図で示される。一次エネルギーとは原油や太陽光などの原料から得られるエネルギーのこと。住宅で使われるのは電気や都市ガスなど加工された二次エネルギーだが、ワット(kWh)やm3など単位がバラバラなのでこれを一次エネルギーの消費量に換算して共通の単位で比較するのだ。
壁や窓などの断熱性能が基準を満たすかも分かるマークではまた、「外皮の基準」も示される。「外皮(がいひ)」とはこれまた聞き慣れない言葉だが、建物の室内と室外を分けている境界のこと。つまり屋根や天井、外壁、窓、床や基礎のことだ。
外皮の基準とは、建物全体の外皮の面積に対し、室内の熱がどのくらい外に出て行くか、逆に日射による室外からの熱がどのくらい室内に入ってくるかを数値化し、基準に適合しているかどうかを示すもの。要するに建物の断熱性能が分かるのだ。「適合」と書かれていれば基準をクリアしていることになる。
制度開始から9カ月間で1万件超が利用BELSは主に新築住宅向けなので、新築の建売一戸建てやマンションの場合は売主が申請し、広告などに表示することになる。注文住宅の場合は工務店やハウスメーカーが申請するが、施主が希望して申請してもらう場合は数万円の申請料を負担するケースも考えられる。
制度を運営する一般社団法人住宅性能評価・表示協会によると、2016年4月の制度スタートから同年12月までにBELSを利用した件数は1万1465件だった。マンションの場合は戸別ではなく1棟全体で表示するケースもあるので、戸数ではなく件数で集計されている。
省エネリフォームした中古住宅向けマークもある中古住宅向けには「eマーク」という表示制度も用意されている。こちらは建物が省エネ基準に適合しているかどうかを示すマークだ。主に賃貸住宅のオーナーが建物をリニューアルしたときに、借主募集の広告などに表示することを想定している。
これから住宅を買ったり、賃貸住宅を借りたりするときは、省エネ性能を比べて選ぶのが当たり前の時代になりそうだ。
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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