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40代の婚活は、新たな自分に気づかされることがたくさんある。婚活歴4年10カ月のOTONA SALONE編集部長・アサミ(49歳)は、これまでに100人以上もの男性と出会ってきた。
「チャレンジしての成功体験や失敗体験が大切」なことに気づき、これまでの婚活で経験していなかった見合いや結婚相談所に足を踏み入れてみることを決意。約1年前、仕事で知り合った仲人のクミさんに連絡をしてみたのだが……!?
この話は40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活改め、パートナーを探す活動=「パー活」ドキュメントである。
1年前に仕事の関係で知り合った結婚相談所の仲人クミさん。当時の「よかったらいつでも」という言葉に甘えて連絡してみたのだけれど。
仲人クミ「なんで私が何度も『本当に結婚したいですか?』ってお聞きするかというとですね」
オンラインでのカウンセリングが20分くらい続いただろうか。その間、確かに彼女は4、5回この質問を繰り返していた。
仲人クミ「この質問に、言い訳なしにYESって言える人じゃないと、私はお見合いのお相手を紹介できないんです」
ドキッとした。そしてその通りだと思った。
仲人クミ「アサミさんにうちの結婚相談所に登録してもらったら、宣伝効果もあるし、アサミさんとお見合い希望される方もいると思います。でも、アサミさんの結婚の意思がぼんやりしているうちは、うちの結婚相談所では紹介できません!」
なんと、入会を相談したのに結婚相談所に断られるとは……! 予想していなかったまさかのパターンに狼狽する。でも、よく考えればクミさんは当然の対応だ。
アサミ「クミさんのおっしゃる通りです。いまの私が誰かをご紹介いただくなんて……虫のいい話ですよね。すみませんでした」
同時に1年以上ご無沙汰していたのに図々しく連絡した自分を恥じた。
仲人クミ「そんな、謝らないでください。ご連絡いただいたのはとてもうれしかったです」
アサミ「いえ、クミさんのお時間をムダにしてしまいました」
仲人クミ「全然、お話できたことが楽しかったですし、一人の独身女性の考えを聞けたことが貴重な経験でしたから」

人間的にできた方だな。動機不純な相談者にわざわざ時間をさいてくださったのに。
アサミ「いや、反省してます。結婚に対して中途半端な気持ちのままなのに、経験したことないからお見合いしてみたいっていう考えでご連絡したのですから」
久しぶりに落ち込む。自己嫌悪だ。
アサミ「本当にすみませんでした」
仲人クミ「お気になさらないでください。久しぶりにアサミさんにお会いできて本当によかったと思っていますから」
言葉がなかった。自分の甘っちょろい考えが情けなくて仕方がない。
アサミ「恐縮です」
仲人クミ「アサミさんが本当に結婚したいと思ったときは、すぐ私に連絡してきてください」
アサミ「そんなもったいないお言葉を。ありがとうございます」
仲人クミ「そのときはしっかりサポートしますから!」
こんな失礼な私に、仲人クミさんはなんてやさしい言葉をかけてくれるのだろう。いつになるか、そして訪れるかわからないけれど、本当に結婚相談所の門を叩きたいと思ったときは、彼女に連絡しよう。
誰に対しても分け隔てなく対応するクミさんに、本当の意味で仕事への誠実さを感じた。
部屋で一人、冷静になって考える。
なんで突然、結婚相談所に入ってみようと思ったのか? そもそも「婚活」改め「パー活」なんていってるくせに、何を血迷ってしまったのだろう……。
そうだ。キャットさん(46歳・バツイチ・起業家)の言葉だ。
恋愛で自らチャレンジして成功も失敗もしていないことが、私の自信のなさ、立ち位置のわからなさの原因と指摘された。ものすごく合点がいったし、だから「何か新しいチャレンジを始めよう」という衝動にかられた。
ま、チャレンジすることはいいことなんだけど、方法をまちがえたのよね。

キャットさんとは湘南で会ったあともゆるく交流は続いていた。あれ以来、彼に対しては……先生のような気持ちをいだき、気がついたら恋愛相談相手になっていた。
仲人クミさんに結婚相談所の入会を断られたモヤモヤを、ちょっと聞いてもらいたくなったのだ。
まずはメッセージを送る。
アサミ「お元気ですか? 最近、お変わりありませんか?」
キャット「はい、元気にしています。アサミさんはいかがですか?」
アサミ「元気ですが、変わりなくはないです(笑)」
キャット「なんですか、それ? 何か変化があったんですね」
アサミ「変化というか、反省中です」
キャット「何を反省中ですか?」
アサミ「考えの甘い自分にです」
キャット「何があったんですか?」
せっかくだから話そうとキャットさんが提案してくれたので、電話をかけた。そして、仲人クミさんとの一連の話を彼に伝えた。
自分の結婚に対する意思が定まっていないのに結婚相談所なんて違うでしょと、とがめられるだろうか。
しかし、意外な言葉が返ってきた。
キャット「すばらしいチャレンジじゃないですか!」
アサミ「全然ですよ。クミさんに失礼なことをしてしまいました」
キャット「そんな風に考える必要ないですよ。恐らく彼女はいままでにも同じようなこと、何度もあったと思いますよ」
アサミ「そうでしょうか」
キャット「それが彼女の仕事ですから。アサミさんが気にする必要ないです」
アサミ「ありがとうございます。フォローしてくださって」
キャット「それより気になるのは…」
キャット「アサミさんはずっと婚活をしていたのに、『いまは結婚したいわけではない』っていう結論に至ったじゃないですか。そこに興味があります」
アサミ「コロナ禍になって在宅勤務が増えたら、改めて痛感しちゃったんですよね。やっぱり他人と一緒に住めないなって」
キャット「好きな人に仕事中の自分を見せたくないってことですか?」
アサミ「見せたくないっていうよりは、仕事がやりづらいかなって。家では仕事する位置をちょこちょこ変えたり、だいぶフリースタイルで仕事しているんです。一人暮らしの在宅勤務が、個人的には快適で。会社で仕事するより集中できるかも」
キャット「仕事する位置を変えるって?」
アサミ「座る場所も変えるし、姿勢も変えるし、部屋も変えるし。自分なりに気分転換してるんです」
キャット「あー、それはちょっとわかります。同じ部屋、同じ位置にずっと座っていると飽きますね」

アサミ「でも誰かもう一人が在宅勤務していたら、そうはいかないじゃないですか。おとなしく一部屋で仕事していないと」
キャット「ものすごく広い家だったら大丈夫じゃないですか?」
アサミ「確かに(笑)。でもそんな広い家に住むって23区内だとなかなか難しいですよね」
キャット「相当な資産家がお相手なら」
アサミ「そういう方にはご縁がないですし、私には釣り合いませんから」
キャット「現実的に考えたら、それぞれの家があればいいってことか」
アサミ「だから別居婚なんですよ」
キャット「なんなら婚がなくて、別居でもよいわけですね」
アサミ「そうなんです。だから結婚相手でなく、パートナーでいいかなと」
キャット「そうか。婚活じゃなくてパー活なんですよね」
アサミ「その略し方でいいのかって話もありますけど」
キャット「あと、夫婦別姓の問題でしたか」
アサミ「はい。身分証明書やクレジットカード、銀行とかの名義を変えるのも大変じゃないですか」
キャット「そうですね。結婚のときも離婚のときも、元妻は大変だったと言っていました。当時は僕も自分の名字になってもらうことを当たり前だと思っていたけれど、確かにそれをしなくて済むならラクになる方がたくさんいますね」
アサミ「早く、夫婦別姓を選択できる世の中になってほしいです」
キャット「結婚相手ではなくパートナーがほしいっていう気持ちは、僕みたいにバツイチな人間にはすごいわかる人多いと思うんです」
アサミ「そうですか? 同意してくださいます?」
キャット「離婚すると、だいたい2パターンに分かれるんですよね。しばらく結婚はいい派と、やっぱり再婚したい派に」
アサミ「確かに。私の友達のバツイチ女性は前者が多いかな」
キャット「僕は正直にいって前者なんですよ。しばらく結婚はいいやって。家事も一通りできるし、アサミさんがおっしゃるように仕事も一人のほうがやりやすいし。僕の場合は週末だけ息子と会ったりしているから、家族のコミュニケーションとしても不足はないんですよ」

アサミ「すごいわかります!」
キャット「アサミさんが珍しいなって思うのは、そこなんですよね。マインドがバツイチに近い。未婚のシングルのかたで婚活しているのは、普通、結婚したいからじゃないですか」
アサミ「そうですね」
キャット「アサミさんは未婚のシングルで婚活していたのに、結婚じゃなくてパートナーがいいっていう結論になるのが面白いです」
アサミ「子供を望んでいないからでしょうかね」
キャット「なるほど、それはありそうですね。でも、それだけが、いま結婚したいと思わない理由ですか?」
アサミ「うーん」
キャット「僕の印象なんですけど」
アサミ「なんでしょう?」
キャット「婚活記を読んでいると、ある時期までは結婚したい気持ちがあったように感じるんです。でも、ある時点からなくプツリとなくなった」
アサミ「なんでそう思います?」
キャット「婚活ドキュメントと書いていたのを、婚活改めパー活に直したじゃないですか?」
おっと!!
キャット「その頃に、何か気持ちの変化があったんじゃないかと思って」
うわ、キターーー! キャットさんの鋭い分析。リアル婚活ドキュメントから、リアル婚活改めパー活ドキュメントに変えたのは去年のこと。そこを指摘する? 心臓がドキドキするアサミなのだった……。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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