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祖父の若いころの写真を見て祖母が「この別珍の服がお気に入りだったのよ」と。
「別珍」はどんな意味でしょう。
答えは「綿ビロード」です。
「別珍」は「綿ビロード」のことです。パイル織物の一種でm地組織の上に,規則的にタテ糸を浮かせて織り上げたのち,パイルを中ほどでカットして,織物表面全体をけば立たせています。
ビロードはベルベットとも呼ばれます。英語でベルベッティーン(velveteen)、ポルトガル語でビロード(veludo)。諸説ありますが、ポルトガル経由で入ってきたといわれています。別珍という言い方は、「ベルベッティーン」が「ベルベッチン」と日本語的になり、その後「別珍」という当て字ができたというのが通説。和名では「天鵞絨(てんがじゅう)」です。天鵞は中国で白鳥を意味するもの。ひとつの生地に対し、実にさまざまな呼び名がついているので、「どれがどれ?」と迷う人も多いのは不思議なことではありません。
別珍は18世紀の中ごろフランスで作られ始め、その後イギリスのマンチェスターが有名な産地となりました。日本で人気となったのは、19世紀末ごろから国産の別珍、とくに足袋が作られ始めてからのようです。
おうち時間が増え、手芸をする人も増えました。布地を買いに行く機会があれば「別珍」「ビロード」などの札を眺めてみてください。
参考:別珍(デジタル大辞泉)
ベルベットと別珍(ニッセンケン)
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