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山手線をはじめとするJR各線、京浜急行本線、東海道新幹線も通っている品川駅は、都内屈指のターミナル駅。さらに今後は、品川駅を起点にして名古屋駅や大阪駅へと結ばれるリニア中央新幹線の開業も予定されている。そんな品川駅周辺にはオフィスビルが林立し、通勤にもよく利用されている。品川に会社がある場合、これまではなるべく近辺に住みたいと考える人が多かっただろうが、テレワークが広まったことにより、そうした意識にも変化がみられる。出社する頻度が高くないならば品川までの近さばかりを重視する必要性も低下し、より広範囲なエリアが住まいの候補地として浮上する。そこで今回は品川駅まで60分圏内にある、中古マンションの価格相場が安い駅を調べてみた。ランキングトップ10をご紹介しよう。
●品川駅まで60分以内の価格相場が安い駅TOP10
順位/駅名/価格相場(主な路線/所在地/品川駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 北柏 1520万円(JR常磐線/千葉県柏市/51分/1回)
2位 天王台 1580万円(JR常磐線/千葉県我孫子市/53分/0回)
3位 みずほ台 1730万円(東武東上線/埼玉県富士見市/55分/2回)
4位 北小金 1985万円(JR常磐線/千葉県松戸市/48分/1回)
5位 常盤平 2039万円(新京成線/千葉県松戸市/51分/1回)
6位 新田 2040万円(東武伊勢崎線/埼玉県草加市/49分/2回)
7位 上本郷 2080万円(新京成線/千葉県松戸市/43分/1回)
8位 松戸新田 2100万円(新京成線/千葉県松戸市/45分/1回)
9位 船橋法典 2135万円(JR武蔵野線/千葉県船橋市/47分/2回)
9位 薬園台 2135万円(新京成線/千葉県船橋市/52分/1回)
今回、価格相場を調査した物件は、間取りが3K、3DK、3LDKタイプ(2sLDKを含む)以上の広さがあるファミリー向けの中古マンション。調査の基点にした品川駅の価格相場は1億800万円! この価格帯の物件に住める人は限られてくるはず……。品川駅から60分圏内に範囲を広げて探すと、どれくらい価格相場が変わってくるのか、さっそく見ていこう。
1位はJR常磐線・北柏駅で価格相場は1520万円。品川駅と比べると、約7分の1の価格で同程度の広さの物件が見つかることになる。JR常磐線はほとんどの便が綾瀬駅から先は東京メトロ千代田線と直通運転をしており、北柏駅で乗車すると東京メトロ千代田線の西日暮里駅や大手町駅、日比谷駅、赤坂駅、表参道駅などへ乗り換えずに行くことも可能だ。
そんな北柏駅が位置するのは千葉県柏市の北部。駅の徒歩15分圏内にはスーパーや、子ども用品店「西松屋」なども。駅から南へ歩いて10分ほどの「北柏ふるさと公園」は、水遊びできるじゃぶじゃぶ池や芝生広場を備えた家族連れの憩いの場だ。駅の南側には大学病院、北側には市立病院があるので、もしもの際も安心だろう。のびのびと暮らすにはいい環境に思える一方、駅前は北側・南側ともにバスロータリーをはさんでコンビニがあるものの飲食店などはほとんどない。特に駅北口側は空き地が広がり、閑散とした印象を受ける。これは現在、駅北口で土地区画整理事業が進行中であるため。より住みよい街づくりのため2025年度の完了を目指して、駅前広場や公園、道路、宅地などの開発が進められているのだ。現状では仮設の駅前広場や宅地の一部の整備が終わった段階で、今後はスーパーなどの商業施設の誘致も行われるそう。再開発が完了した後は北柏駅エリアの人気が高まり、価格相場にも変化があるかも。いまのうちによい物件を確保しておくのもいいかもしれない。
2位はJR常磐線・天王台駅で価格相場は1580万円。1位の北柏駅からJR常磐線で2駅目だが、天王台駅にはJR常磐線の快速も停車する。駅の周辺には住宅地で、スーパーは徒歩10分圏内だけでも数軒あり、徒歩15分圏内に範囲を広げるとさらにあることからも、住民の多さがうかがえる。駅南口には商店街も広がり、コロナ禍を受けてかテイクアウトメニューを用意している飲食店も複数点在しているので、「今日は料理する余力がない」なんてときにも便利そう。駅周辺には「柴崎台中央公園」「天王台西公園」「天王台東公園」といくつか公園があるほか、駅から南へ車で10分少々進んだ手賀沼のほとりには「手賀沼公園」も。天王台駅が位置する千葉県我孫子市では、子育て支援施設のスタッフが公園に出向いて体操や親子遊び、絵本の読み聞かせなどを行なう出前保育「るんるんパーク」を不定期で開催している。2021年度は「手賀沼公園」と「天王台西公園」が会場となっているので、子どもと訪れても楽しいだろう。
3位は東武東上線・みずほ台駅で価格相場は1730万円。1位と2位は品川駅の北東方面、千葉県に位置していたが、みずほ台駅は品川駅の北西方面、埼玉県富士見市にある。乗り換え2回・約55分で品川駅に行けるだけではなく、東武東上線の準急1本で池袋駅まで約26分という点も魅力だろう。みずほ台駅は東口にも西口にもスーパーが入った駅ビルがあり、東口の駅ビルにはファストフード店やカフェ、西口の駅ビルには100円ショップも。駅周辺にもスーパーが点在し、住宅の合間には複数の小中学校や幼稚園、保育園、学習塾もあり、子育て世代のファミリーが多く住む街のようだ。駅周辺に大小の公園があるほか、駅から北東方面へ車で10分少々走ると荒川の河川敷へ。川沿いには複数の公園が整備されており、その一つ「秋ヶ瀬公園」にはBBQ場も。住まいの近くで息抜きしやすい環境だ。
JR上野東京ラインのおかげで各方面から品川駅までのアクセスが便利にトップ10の駅を見てみると路線も立地もさまざまに思えるが、実は10駅中7駅には共通点がある。それは品川駅へ向かう経路で、1位と2位、4位~8位の7駅は「JR上野東京ライン」を利用している点。JR上野東京ラインとは2015年に開業した路線。上野駅~東京駅間に新たな線路を設置したことにより、上野駅から北へ伸びる路線(JR宇都宮線、JR高崎線、JR常磐線快速)と、東京駅から南に伸びるJR東海道本線の直通運転が行われるようになった。JR宇都宮線・高崎線の場合は北から南進して上野駅~東京駅を経てさらに南にある品川駅、横浜駅などまで1本で行けるのに対し、JR常磐線快速は上野駅~東京駅を経て品川駅が直通運転の終点となっている。
このJR上野東京ラインのおかげで、アクセス性が向上した駅がトップ10には7つあるわけだ。例えば1位の北柏駅の場合、JR常磐線各駅停車で1駅隣の柏駅に行き、そこからJR上野東京ライン直通のJR常磐線快速に乗ると上野駅・東京駅を経由してそのまま品川駅なので乗り換えは1回、計約52分で品川駅に行くことができる。しかしJR上野東京ラインを利用しない場合、北柏駅~松戸駅はJR常磐線各駅停車、松戸駅~上野駅はJR常磐線快速、上野駅~品川駅はJR山手線またはJR京浜東北・根岸線……、と乗り継ぐことになり、乗り換えは計2回、所要時間は1時間以上となってしまう。
JRの駅ではない、5位の新京成線・常盤平(ときわだいら)駅も品川駅に向かう過程でJR上野東京ラインを利用する。常盤平駅から新京成線で松戸駅に出て、そこからはJR上野東京ライン直通のJR常磐線快速に乗車。すると乗り換え1回、計約51分で品川駅にたどり着く。
そんな5位・常盤平駅は、現在はUR賃貸住宅となった常盤平団地の造成とともに1960年代から発展してきた住宅地。駅前には線路に並行して桜並木が続く「さくら通り」と、その通りに交差して駅から南へ伸びる「けやき通り」が整備され、緑の景観が目を和ませてくれる。さくら通りとけやき通りの交差点には、100円ショップやドラッグストア、飲食店やクリニックを備えた「セブンタウン常盤平店」と、食料品をはじめ日用品や衣料品、電化製品や書籍などのフロアも備えた「西友常盤平店」が建っている。ほかにも駅周辺には複数のスーパーやドラッグストアがあり、総合病院も駅から徒歩10分圏内に。また、総合病院の裏手側には、東京ドーム11個分ほど(約50.5ha)の面積を誇る総合公園「21世紀の森と広場」が広がっている。森に包まれた園内には水鳥が訪れる池やBBQ広場、松戸市立博物館などを擁し、2021年7月には大型遊具をそろえた「あそびのすみか」も誕生。休日に家族で遊びに出かけるのにぴったりな公園だろう。
今回の調査基点にした品川駅は多数の路線が通っているため、「品川駅から60分圏内」に範囲を絞ったとしても候補の駅は膨大な数に上る。さらに路線図を見ただけでは分かりにくいJR上野東京ラインまで考慮するとなると、どの駅なら品川駅にアクセスしやすく、安く住める街なのかを自力で探すのは難しい。ぜひ今回のランキングや、不動産ポータルサイトの通勤検索機能などを、住まい探しに活用してほしい。
●調査概要
【調査対象駅】品川駅まで電車で60分圏内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数40年未満、敷地権利は所有権のみ、間取り3K、3DK、3LDKタイプ(2sLDKを含む)以上
【データ抽出期間】2021/2~2021/4
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出
(2021年5月31日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載”
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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