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入試本番が近づいてくると、子どもだけでなく保護者も心が不安定になりがち。小学校や塾の対応に、思わず「イラッ」としてしまうシーンも少なくないのではないでしょうか。そこで、息子の中学受験を経験した浅野桃さんが、自身の体験をもとに、気持ちの切り替え方と解決方法をアドバイスしてくれました。
6年生になり、息子が中学受験をするということがクラスのあいだで知れ渡ってくるころから、「小学校で習う勉強は簡単と思っていて、おろそかにしているのではないか?」と思われるようになっていきました。
そして私が耳を疑ったのは、6年生の2学期の学期末懇談のとき。担任の先生に「3学期は学校に来られますか?」と聞かれたことです。
それまで息子は、学校を欠席したことはありませんでした。受験生は入試直前に学校を休みがちになるとは聞いていましたが、考えも聞かずにどうしてそのようなことを聞かれるのかと……。
「行かせるつもりです」と答えたところ、「クラスの何名か、中学受験をお考えのご家庭からそのように聞いていましたので、浅野さんのご家庭もそうかと思いまして」と答えられていました。
入試が近づくと、余裕がなくなってくることはたしかです。塾も最後の追い込みで熱が入ってきますから、子供も疲れます。息子も夜遅くまでの授業に加え、家庭学習もあり、親として「朝ぐらいはゆっくり寝かせてあげたい」と思うことも何度もありました。
そして入試の時期は、ちょうどインフルエンザが流行る季節。学校に行ってインフルエンザにでも感染したら……といった気持ちから、「リスク管理」の意味で学校を休ませることも選択肢に入れていました。
それでも私は、「学校を大切にすべき」といった考えは変えないことに。これから中学生になることを見据えたときに、「これまでと変わらず元気よく、毎朝登校してほしい」と考えていたからです。
こうした考えを持つようになったきっかけは、ある中学校の学校説明会の話を聴いたとき。「お母さんの役割は、お子さんを“活き”の良い状態で登校させてくださることです」と先生が話されたことがとても印象に残っていたんですね。
入試直前で余裕がなくても、たとえリスクがあったとしても、「小学生として学校に毎朝通う」といった基本的な日々は守りたい、守ってあげたいと思ったのです。そしてこの時期に学校をおろそかにする習慣がついてしまえば、せっかく合格した中学校の生活も怠惰なものになってしまうような気もしていました。
そして担任の先生には、中学受験とは関係なく、「わが家では小学校で送る日々を大切に思っています」ということを改めてきちんと伝えることに。このようにお伝えしたことで、担任の先生も受験を応援してくださるようになり、変わらずクラスの一員として卒業の日まで迎えていただいたように思います。
中学受験は塾なしには乗り越えられなかった。いま振り返っても、本当にそう思います。
ですが、その一方で「イラっ」ときたこともあり……。それは、受験校を決める個別懇談のとき。懇談のはじめに塾から受験スケジュールを渡され、驚きました。
提示されたスケジュール1日目:2校受験2日目:1校受験3日目:1校受験(第一志望校)
塾の説明としては「3日目の第一志望校の受験に向けて練習も兼ねるため」といったことでしたが、当時の私にはあまりにも過密なスケジュールのように思えました。
わが家としては、1日目に併願校を受験し、その翌日に合格発表を確認。3日目に志望校に臨む予定でいました。
そこで、塾から提示されたスケジュールはお断りを入れることに。提示された学校には進学するつもりのない学校が含まれていたこともあり、「行きたくもない学校まで受験したくない」と息子が言っていたのも断った理由です。
ちなみに塾のクラスのなかで、受験校が少ないのは息子だけだったようです。「『このクラスで○○中学を受験しないのは浅野君だけだ』と塾の先生から言われた」「名指しされてイヤだったな……」と落ち込みながら帰ってきたことも。
もちろん、合格の可能性を高めるために受験校を増やすことは理解できます。一方で塾の目線から見ると、ひとつでも多くの学校を受験させれば合格実績につながるのも事実。そして当時の私は、塾の合格実績のためだけに受験させられるように感じてしまったのです。
受験校に関しては、塾からの提案を受け入れつつ、もう一度家族でよく話し合い、「本当に受験したい学校はどこなのか」を考えることに。結果的に「家族みんなが納得のいく受験をする」といった当初の気持ちを大切にすることに決めました。
塾は本当に多くの経験と、受験ノウハウを持っています。こうしたことにわが家も何度も助けられましたが、一方で家庭の方針がぶれてしまうリスクがあるのもたしかです。
受験するにしても、体力だけでなく、決して安くはない受験料も必要。こうした経験から、塾からのアドバイスは柔軟に受けつつ、一方でそれに惑わされ過ぎてもいけないな、と考えたことを覚えています。
ここまで私が個人的に「イラっ」とした経験をお伝えしてきましたが、一方で周囲に助けられた経験も数えきれないほどありました。
受験は色々な感情が心のなかを渦巻きますが、当時は苛立ってしまった経験も、いま振り返ると受験には必要なことだったのかな、と思います。「イラっ」と来るたびに一度立ち止まり、考える機会を与えてもらったから。
気持ちが疲れていたこともあり、「これ以上イライラさせるのはやめて!」と思ったことも正直ありましたが……。こうしたことも乗り越えてこその中学受験だったのかもしれませんね。
※中学受験ナビの記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。
この記事のライター
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