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出産してわかった「お母さんたちが長い時間をかけて大切にしてきた命が、あの子たちなのか!」|漫画家usao氏取材

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目次

小学校教員の経験があり、SNSで掲載している日常を題材にした漫画が大反響を呼んでいるusaoさん。2023年2月に出産し、10月には『はじめましてあかちゃん赤ちゃんより泣いちゃう母親の絵日記』(幻冬舎コミックス)を出版しました。

前回に続き、インタビュー連載(全3回)の3回目となる本記事では、usaoさんに「学校と生徒たち」についてお伺いしました。

出産してみて、「お母さんたちが長い時間をかけて大切にしてきた命が、あの子たちなのか!」と知った

――『はじめましてあかちゃん』では、妊娠中や修了式で会った時の小学生の子たちの反応もとってもかわいくてほのぼのしました。ご自身にお子さんが生まれる前と後とで、教職についての考え方などに変化はありましたか?

usaoさん(以下、usao)出産してみて、人間ってほんとに命懸けで生まれてくるんだとわかり、以前にもましてもっと子どもたちを大事にしなければと思うようになりました。

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『はじめましてあかちゃん赤ちゃんより泣いちゃう母親の絵日記』より

usao私が産む直前に、足がもげるんじゃないかっていうぐらいの激痛が走ったんです。その時に「えっ、みんなこうやって産んでんの!」って思って。今までも何百人もの子どもたちに出会ってきましたが、「お母さんたちが長い時間をかけて大切にしてきた命が、あの子たちなのか!」って改めて思いました。

学校でちょっとした怪我やトラブルが起こった時、お家の人から「先生、心配なんです」という訴えに対しても、確かに些細なことでも親が子を心配するのは当然、ほんとに子どもは親にとって宝物なんだ、と以前より深く共感するようになりました。

また、うちの子は今は0歳だけど、生徒たちのお家の方はその子育てを何年も続けてきたのだから、すごいなっていう尊敬の念も生まれました。

――出産を控えて教職を辞める時に、学校の玄関で待っていて「じゃんけんで勝ったら辞めないで」って言ってきた生徒さんの話、じーんとさせられました。あと、妊娠したことを伝えた時に生徒さんたちが名前を考えてくれたお話も、usao先生が大好きなんだろうな、と感じられるエピソードですね。

usao「じゃんけんで勝ったら辞めないで」なんて大人には言えないですよね。その子たちも私の漫画を読んで、自分のことかも、って思ってるかもしれないです。

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『はじめましてあかちゃん赤ちゃんより泣いちゃう母親の絵日記』より

――生徒さんたちは、自分たちの先生が漫画家のusaoさんだって知ってるんですね。

usao自分からは言ってなかったんですけど、子どもたちの間では噂が広まってたみたいです。

「お母さんがプリントの絵を見て『先生ってusaoさんじゃない?』って言ってた」、って生徒に言われたこともあります。その時は、「お母さんに『正解!』って言っといて」って答えました(笑)。

――教師だったusaoさんにとって、学校はどんな場でしたか?

usao学校は私を成長させてくれる場です。子どもたちを育てる以上に、自分が育てられてきました。

「じゃんけんして勝ったら行かないで」なんて、大人でも考えつかない言葉が素直に出てくる子どもって本当にすごいと思う。悩むこともあるけれど、子どもたちからは元気をもらえるし、自分はこうやって生きていきたいな、この子を喜ばせたいな、とか常に考えられる。学校はそんないい場所です。そして、この4月から復帰する予定です。

人生は1本の映画。その中の妊娠・出産と赤ちゃんの日々を1冊の本に

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『はじめましてあかちゃん赤ちゃんより泣いちゃう母親の絵日記』より

――usaoさんは今まで何冊も本を出していますが、『はじめましてあかちゃん』はどんな思いから本にしましたか?

usao私は自分の人生を1本の映画だと思ってるんです。平凡ですけど、山あり谷ありで、結構面白い映画だって。

その人生の中の妊娠・出産・子育てを1冊のアルバムにして自分が取っておきたいな、と思って今回の本にまとめました。

普段は落書き帳にバーッと絵を描いたら、その後はポイッと放置しちゃうんです。でも、妊娠と出産、赤ちゃんとの毎日のことは忘れたくない、形にしておきたいなって思って。

それと、SNSに妊娠中から絵を載せていたら反響がすごく大きくて、自分が妊娠や出産で苦しい思いをしたように、同じような思いをした人に対してできることがあるんだな、こうしてできた1冊の本が不安な誰かに届くのかもしれない、とも思っています。

将来、我が子が偶然自分の出てくる本を読んでドキッとされるのが夢

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『はじめましてあかちゃん赤ちゃんより泣いちゃう母親の絵日記』より

――将来、お子さんにも『はじめましてあかちゃん』を手渡したいと思いますか?

usaoいや、手渡しはしません。いつかうちの子が書店や本棚でこの本を見つけて、「へー、こんな赤ちゃんがいたんだ、面白い」って読んでもらって、でも描いたのは私だってわからないぐらいがいいです。

読んでいて「あれ? お母さんに似てる?」ってドキッとしてもらえたら、そういうビッグサプライズができたら、それはすごい宝物なんじゃないかな。「あなたに向けて描いたんだよ」と言うんじゃなくて、この本を自分で見つけてくれたらいいな。

学校の教え子たちに私が漫画家だと伝えてないのも、自分自身で「これ先生じゃない?」って気づくようなサプライズが子どもたちに起きてほしいな、って思ってるからです。それも宝探しっぽくていいんじゃないかな。

こんなやらかしてるお母さんもいる。そう思って自然体のゆるゆる子育てを

――最後に、子育て中のお父さんお母さんにメッセージをお願いします。

usao私の漫画を、友だちと思って気軽に見てほしいです。

SNSで「こんな素敵な離乳食を作りました」とか「お出かけしました」っていうような他の人のキラキラした育児を見て、自分のやり方はまずかったんじゃないかって落ち込んだりすることもあると思います。

でも私の漫画を読んで、「あ、こんなやらかしてるお母さんもいるんだ」とか「自然体でいいんだ」「もっとゆるゆる子育てができたらいいんだ」って思ってほしいな。

――自然体のゆるゆる子育て、たくさん広がってほしいですね。今回はありがとうございました。

『はじめましてあかちゃん赤ちゃんより泣いちゃう母親の絵日記』の漫画を5話分まとめ読みはこちらから

(話:usao、取材・文:大崎典子)

©usao/幻冬舎コミックス

コミックエッセイ『はじめましてあかちゃん赤ちゃんより泣いちゃう母親の絵日記』

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『はじめましてあかちゃん赤ちゃんより泣いちゃう母親の絵日記』(幻冬舎コミックス)定価1,430円(本体 1,300円+税)



この記事のライター

マイナビウーマン子育て

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