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日々の生活の中で、お子さんに「ちゃんと片付けなさい」「遊んでいないで早く宿題しなさい!」などと言ってはいないでしょうか? どれも良かれと思って掛けている言葉だと思います。しかし、こうした「一見ポジティブで、子どものためになりそうな言葉」も、伝え方次第では脳にネガティブな刺激になってしまうのだそうです。
小児脳科学者の成田奈緒子さん、公認心理士の上岡勇二さんは、脳科学、心理学、教育学のエビデンスに基づいた独自の理論、「ペアレンティング・トレーニング」(よりよい脳育てのための生活環境づくり)を確立してきました。今回は、こちらの理論を基にした、「科学的に正しい、子どもの脳をよりよく育てる言葉がけ」について、著書『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SBクリエイティブ)の一部を再編集してお届けします。
※写真はイメージです
×「あなたにも悪いところがあったんじゃない? 」——————————————————————◯「そっかあ、××くんが叩いてきたんだ」
泥だらけで帰ってきたケン。幼なじみの××とケンカをした様子。
「だって、××が叩いてきたんだもん」とケン。しかし、××は何の理由もなく叩くような子ではないことを母親は知っています。「あなたにも悪いところがあったんじゃない?」と母親。母親はケンが間違っていることを言ったときには、いつもその場で正すことにしています。
そんなある日─。
ケンはまた泥だらけになって帰ってきました。「ケンカしたんでしょ」と聞く母親に、「別に」とケン。それでもさらに詳しく聞こうとする母親を、「うるさいなあ!」とケンは乱暴にはねのけました。
小学校中学年頃になると、子どもは前頭葉を使って、自分を正当化する論理を言いがちになります。それに対してつい正論を言いたくなりますが、ひとまず「泳がせる」のが親の役割です。
ケンカをした後は感情が高ぶっています。そこで正論を言っても反発を生むだけ。ケンのケースのように、「どうせ話しても怒られるだけだし」と親とのコミュニケーションはどんどん疎遠になり、最終的には暴力的な態度まで取り始めてしまいます。
子どもが感情的になっているときは、「オウム返し」が基本です。「××が叩いてきたんだもん」と言ったら、「そっかあ、××くんが叩いてきたんだ」とオウム返し。親の意見は一切言わずに、次の子どもの言葉を待ちます。「××はさあ、この前もひどいこと言っててさあ」と言ったら、これもオウム返し。これを子どもの気が済むまで繰り返します。聞けば聞くほど、正論を言いたくなってくるかもしれませんが、わが子のケンカのジャッジをするのはやめましょう。
子どもが感情を吐き出して落ち着いてきたら、「おいしいおやつがあるよ」「お風呂が沸いているから入ったら」などと、その子がリラックスできるような状況をつくってあげます。そうなったら、いよいよ脳育ての時間の到来です。冷静になってくると、「最初に僕が××の悪口言ったんだ。そうしたら××が怒ってさ、僕を叩いてきたんだ……」などと、子どもはポツポツと本音を語り始めます。このときも、親はひたすらオウム返しをするだけです。
最初に「からだの脳」(間脳・脳幹)で感情的に反応してしまったけれど、落ち着いたら、前頭葉を使って考えていく。ケンカの原因、解決法を考えることは、論理思考のトレーニングとなります。子どもの考えがまとまってきたら、ようやく親の出番です。「どうしたらいいと思う?」と促しましょう。子どもは自分自身の脳で考えて、「明日謝りに行こうと思う」などの答えを出すはずです。
親は子どもに自分で考えられるように促すのが役目です。手を貸さずに促すことで、子どもは一人でできることがどんどん増えていきます。そうして親は子どもに対する「心配」を手放し、「信頼」の割合を増やしていけるのです。
著:成田奈緒子、上岡勇二『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SBクリエイティブ)より/マイナビ子育て編集部
「もっとしっかりしなさい」「あなたのためを思って言ってるんだから」「大丈夫だよ」「頑張って偉いね」――親が子どもに言ってしまいがちな言葉たち。このような子どもの為を思って発した「一言」が子どもの脳に深刻な悪影響を与えていたら……?
本書は、子どもの認知力、自律力、思考力を伸ばすために親がすべき、正しい言葉がけをエピソードと共に紹介しています!
親子のより良い関わり方を知るヒントが満載の1冊です!
この記事のライター
マイナビウーマン子育て
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