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せっかくおもちゃを買ったのにあまり興味を示さなかったり、少し遊んでいたかと思えばすぐに飽きてしまったり……子どものおもちゃ選びはなかなか難しいものです。
10年以上の保育園・幼稚園での現場経験を持ち、国際モンテッソーリ協会0-6歳ディプロマもある北川真理子さん。2023年に男の子を出産された3児の母でもある北川さんは、『ゆる~く楽しく続く!おうちモンテッソーリの知育あそびアイデア帖』(日本文芸社)など、子どもの育ちに役立つ本を多数書かれています。
インタビュー連載(全3回)の3回目となる本記事では、北川さんに「子どものおもちゃ・遊び」についてお伺いしました。
―― 子どもの遊びやおもちゃは親が選んだほうがいいのでしょうか?
北川真理子さん(以下、北川)遊びは最終的には必ず子どもが選ぶこと。それが大事です。ただ、親は子どもの発達にあった遊び、おもちゃを用意してあげないといけません。たとえばご飯を食べるときは、離乳食などその時期にあった食べ物を用意しますよね。それと同じで、そのときの発育にあったものを用意してください。食べるときも、何から食べるかは子どもが選ぶものです。おもちゃも同様に用意した中から何で遊ぶかは、子どもに選ばせてください。
―― 用意したおもちゃにまったく興味を示さない場合は、どうしたらいいですか?
北川与えるタイミングが早くて遊ばない期間が長くなると、そのおもちゃは飾ってあるのが当たり前になって、その時期が来ても興味を示さないことになってしまいます。早い場合は一度片づけて、ちょうどいいタイミングで用意するのがいいですね。
―― 発達は合っているはずなのに興味を持たないときは、そのおもちゃで遊ぶように誘導してもいいのでしょうか。
北川親が「やらせる」必要はありませんが、「紹介する」ことはやってみるといいですね。単にやり方がわからない、遊び方がわからなくて興味を示さないこともあるので。大人がたくさんやってみせるといいと思います。たとえば積み木をあまり積まないな、という場合、それは積んで遊ぶことを知らないことが原因だったりするので、大人が横でたくさん積んで見せてあげてください。このとき「あ!積めた!」などと楽しそうにして、子どもが倒しても大人がまた積むことを繰り返したりしているうちに、「これは積むものなんだ」とわかって遊ぶようになってくるでしょう。
―― 見本を見せてやり方を教えてあげるといいんですね。
北川そうですね。発達にあったタイミングであれば、遊び方を見せれば興味を持ってくれると思います。
―― 遊び方は細かく説明したほうがいいでしょうか。
北川3~6歳はやり方を見せるだけの方が、効果があります。言葉がわかるので説明すると頭で考えてしまいがちで、うまく行動できなくなることも。説明はしないで、動きだけで見せた方がいいですね。でも0~3歳は、ゆっくりやって見せていると、どこかへ行ってしまうので(笑)。逆に話をしていないと、集中できないんです。今からハサミやるよ、ここに手を入れてね、今度はハサミをひらくよ、ハサミがひらいたね、じゃあ次は紙を切るね……、という具合に、1つ1つの動きの間に実況中継するのがおすすめです。
『ゆる~く楽しく続く!おうちモンテッソーリの知育あそびアイデア帖』より
―― 年齢によってちがうアプローチが必要ということですね。発達にあったタイミングかどうかは、どうやって見極めればいいでしょうか。
北川特に手の動きの発達を見てください。たとえば「ねじる」がなかなかできなくて、そのおもちゃはいったん置いておいても、ペットボトルを大人があけるときなどに興味を示してやりたがる様子が見られるなど、「そろそろできるかも」と思ったときにやってみましょう。普段の動きをよく見て、兆しが見えたら出してみるのがいいですね。
―― 遊ばないときは使い方を見せて、それでも興味を持たなかったら片づけて、発達の様子を見てまた出してあげるのがいい、ということですね。
北川そうです。ただ、新しいおもちゃで最初は遊んでいたのにすぐにやめてしまったときは、飽きてしまっている可能性があります。習得できてしまえば、子どもにとってはそのおもちゃはお終いになります。飽きてやめてしまったおもちゃに関しては、その時期は終わりと思ってください。
―― 簡単すぎるとすぐ飽きてしまうんですね。そうなったら、あきらめるしかないんですね……。
北川そうですね。親が周りの子が遊んでいるから、と思って用意しても、やってみて簡単で「こんなの簡単すぎる」となると、1回だけ遊んで終わってしまう場合もあります。1回はやったけどそれから1週間は触りもしなかった場合は、もう片付けることになるでしょう。遊ぶときに苦戦しながらやっているのか、簡単にさくさくやっているのか見ておくと、片付けることになるのか見極められます。子どもの発達にぴったりなのか、簡単すぎるのか、難しいのかを見て、難しいようであれば見本を見せます。逆にすっとやってしまったら、早い段階で飽きてしまうのではないかと予測をたてることができます。
『ゆる~く楽しく続く!おうちモンテッソーリの知育あそびアイデア帖』より
―― 簡単すぎるおもちゃより、少し先の発達のものから試してみるのが良さそうですね。
北川そうなんです。書籍で紹介している遊びも、一般的な年齢より早い段階で紹介しています。一般的には2~3歳でできることを、この本では1歳半からなどとしています。早すぎると思うかもしれませんが、確実にできるタイミングで置いても意味がないんですよ。まだできないからこそ、「やりたい」といって親のところにもってきて、親が見本を見せて、やってみて、というのを繰り返すんですね。早めの年齢で書いてありますが、ぜひそのときに挑戦してみてください。
―― わかりました! ちなみに子どもが夢中で組んでいるとき、親は声かけなどした方がいいでしょうか。
北川子どもが集中しているときには、声はかけないでください。子どもが集中力を育てているときなので。そんなときは声をかけない方が、大きくなったときにも子どもが集中できる時間が増えます。
―― 詳しく教えていただき、ありがとうございます。最後に読者の方へメッセージをお願いします。
北川お父さん・お母さんは、おもちゃや遊びを選ぶとき、流行っているとか、色がかわいいといった理由で選んでしまいがちです。モンテッソーリでは、おもちゃや遊びはすべて子どもの心を育てる、心の栄養のようなものという位置づけです。子どもにとってその時必要なものを親が見つけてあげて、それを環境に用意してあげる。すると、子どもは信じられないほど自分から育っていきます。環境を用意してあげることと、敏感期を使うことを実践すれば、知性だけでなく、思いやりの心も育っていきます。ぜひ、この考え方を大切にしていただければと思います。
―― モンテッソーリ教育というと、天才を育てる教育のような、どこか身構えてしまうイメージがありましたが、すぐに実践できることをたくさん教えていただきました。お子さんの幸せにもつながることなので、おうちモンテッソーリ、ぜひ試していきたいですね。貴重なお話をありがとうございました!
(解説:北川真理子、文:佐藤華奈子、取材:マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
この記事のライター
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