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中学受験をめざす小学生が苦労しがちな科目・社会。なかでも5年生ではじめて登場する「歴史」は難しい言葉・似たような言葉をたくさん覚えねばならず、社会のなかでも差がつきやすい分野です。そこで、中学受験社会の指導に定評のある塾講師・吉崎正明先生から、歴史の学習をうまく進めるポイントを伺いました。
年号を語呂合わせで覚える参考書などが書店に並んでいますが、年号はすべて一生懸命覚えなければならないのでしょうか?
答えはノーです。
近年の社会の入試問題は、年号を覚えるより、「平城京に都を移した人物は誰ですか?」といった出来事を覚えることで解答できる問題がほとんどだからです。
「何年ですか?」に答える問題はほとんど出題されませんが、まれに出題されることもあります。しかしその場合も、以下の出題パターンに当てはまることがほとんどです。
1、時代が切り替わった最初の出来事の年/または最後の出来事の年(例:710年平城京/794年平安京)
2、世の中の様子がガラッと変わるような出来事の年(例:1467年応仁の乱…乱後、下剋上の世の中になった)
年号は、上記の「1」や「2」に絞って覚え、出来事のつながりを意識しながら学習しましょう。
歴史上の出来事は、暗記するよりも「つながり」で覚えましょう。たとえば、推古天皇の摂政として仕えた聖徳太子は、以下の出来事をおこないました。
603年冠位十二階(役人を実力で決める)を定める604年憲法十七条(役人の心得)を定める
そのまま言葉を覚えれば一問一答は答えられますが、「物語・つながりで覚えること」を心がけると、より理解が深まり、入試問題にも対応しやすくなります。
たとえば、「憲法十七条」が「冠位十二階」より先に定められたと仮定しましょう。すると、「心得を守る役人がいなくない?」となりますよね。
そのため、先に「冠位十二階」を定めるわけです。「役人を選んでから、その人たちを見てルールを決めよう」とストーリーで勉強することで、並べ替え問題にも簡単に答えられるようになります。
歴史に限らず、社会の入試では「漢字で書きなさい」という指定が増えています。とくに歴史は、言葉を正しく書けるかどうかが点数の差に大きな影響を与えます。
「漢字で答えなさい」と出題されたときに、漢字で書く練習をしていないと「ひらがなでは書けるのに……」と悔しい結果になることも。そのため、歴史上の出来事の名前や人物名が漢字で出てきたら、必ず漢字で書いて覚えるようにしましょう。
一見すると、歴史の分野は難しい漢字が多いように見えますが、そのほとんどは「その出来事・人物ぐらいにしか使わない漢字」です。ということは‟変わった漢字“が多いので、一回書けるようにしておけば印象に残りやすいともいえます。たとえば、竪穴住居の「竪」と「堅」といった紛らわしい漢字も、引っかかることなく書けるとテストのときに差がつきます。
塾の授業の宿題などで、ひらがなで書いたけど正解した場合は、漢字で書く練習を家庭学習でしておくべきです。また、歴史の問題を最初に解くときは、調べながら解いても大丈夫です。調べながら解くと、マル付けをすれば全部マルにはなりますが、もちろんこれで「できた」というわけではありません。
マルを付けたらきちんと解き直しをします。解き直しの際は自分の力で調べずに解くことが大切です。何も見ないで正解する問題が増えるように、解き直しを粘り強くおこないましょう。歴史の成績アップにつながりますよ。
はじめての言葉だらけで、苦手意識をもった子にとっては、歴史は苦しい分野かもしれません。でも大丈夫です。授業についていけるように、やってみてほしい‟技“があります。
授業を受ける前に、その時代の様子や出来事をある程度イメージしておけると、授業内容を受け止める準備ができます。
時代をひとつずつ勉強していくとしても、歴史は覚えることが非常に多いです。そのため、単元によってはイメージできないまま授業が進んでしまう、ということもあるでしょう。
ですから、あらかじめテキストを読んでおき、どんな人物が出てくるかといったことがわかっていると、授業がよりわかりやすくなります。
テキストを読んでもよくわからない場合は、歴史マンガで予習しておくことも効果的です。書店には、小学生向けに全20巻ほどのシリーズでまとまっている歴史マンガもありますが、「読書が苦手」「手軽に楽しく読みたい」という子は、「上巻下巻」といったシリーズがおすすめです。
また、書店の受験コーナーに行くと、アニメのキャラクターが解説していながらも、大手の塾が監修している本格的なものも見つかります。お気に入りの歴史マンガを探してみましょう。
地理が苦手でも、歴史が面白くて社会が好きになった、という受験生は多くいます。歴史の学習は、中学受験の社会のなかでも最重要なだけでなく、社会を好きになるひとつのきっかけにもなります。得点につながる学習になるよう、この記事のアドバイスを活かしてみてください。
中学受験ナビの連載の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。
この記事のライター
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