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入学初日、教室を歩き回る我が子。先生は徐々に慣れていくだろうと言うけど……。様子見で大丈夫?
精神科医として30年以上、発達障害の診療と研究に携わる本田秀夫先生による著書『マンガでわかる発達障害の子どもたち』(SBクリエイティブ、マンガ:フクチマミ)では、自閉スペクトラムの不可解な行動についてママ・パパのお悩み別に具体的なサポート例をマンガと共にわかりやすく解説されています。
第一回目となる今回は、小学校生活にいつまでたっても慣れないお子さんのケースについてお届けします。
イラスト:フクチマミ「マンガでわかる発達障害の子どもたち」より
実は、子どものこだわりについて、定着してしまったら困ることは、本当は最初からやらせないほうがいいのです。
これは、自閉スペクトラムの特性がある子のこだわり全般に言えることです。
最初に適切な行動パターンを身につければ、その後もパターンにそっておだやかに過ごすことができます。
しかし、最初に「みんなにとって好ましくない行動」を身につけてしまうと、その後、苦労することになりがちです。この「最初が肝心」という話は多くの子どもに言えることですが、自閉スペクトラムの特性がある子には特に当てはまります。
今回のケースでは、小学校に入ったお子さんが、初日に席につくことができませんでした。先生は「徐々に慣れていくと思います」と言いましたが、数カ月たってもお子さんは授業中に教室から飛び出したり、寝そべったりしているのでした。
そのような姿を見ると、大人は「問題行動」ととらえがちです。そして「苦手なことでも努力すれば少しずつできるようになる」などと言ったりします。
しかし、その方針ではうまくいかない場合が多いです。マンガのように何カ月間も授業に慣れることができず、無駄な時間を過ごしてしまうことがよくあります。
イラスト:フクチマミ「マンガでわかる発達障害の子どもたち」より
このようなケースでは徐々に慣れさせるよりも、最初から子どもが参加しやすい環境を用意したほうがいいのです。学校側が事前に子どもの特徴を把握して、「こういう活動なら集中して取り組めそう」という見通しで授業を準備すると「問題行動」は減ります。
例えば特別支援学級では、子どもの好きな本を席に置いておくのもいいでしょう。子どもが「この本、知ってる」と言って席に座り、そのまま読み始めたりもします。そうやって初日から教室や座席に慣れていけば、その後の授業にも参加しやすくなるはずです。
初日の工夫がうまくいかなかった場合には、翌日にまた別の方法で、参加しやすい環境を用意してみましょう。試行錯誤を続ければ、いずれその子に合った方法が見えてきます。
イラスト:フクチマミ「マンガでわかる発達障害の子どもたち」より
発達障害がある子の学校生活の話を聞いていると、「入学から半年たって、やっと慣れてきました」と言われることがあります。残念ながら、それはかなり時間がかかったケースです。子どもをよく見ている学校では、早ければ1日から2日、長くても1カ月程度で子どもが落ち着いていきます。小学校は新入生を迎え入れるとき、保護者や保育園、幼稚園から「この子にはこういう特徴があります」という話を聞きます。その内容を授業にすぐにとり入れる学校と、「うちにはうちのやり方がありますから、やりながら様子を見ます」などと答える学校があります。当然、前者のほうが、子どもが学校に慣れるのは早いです。
最初から授業に参加できれば、子どもは無用なストレスを受けなくて済みます。保護者や学校の先生の悩みも減ります。事前に大人たちが情報交換して、子どもの参加しやすい環境を整えることをおすすめします。
著 本田秀夫/イラスト フクチマミ『マンガでわかる発達障害の子どもたち』(SBクリエイティブ)より抜粋
この記事のライター
マイナビウーマン子育て
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