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低身長や四肢・指の短さが生まれつき身体に表れる「軟骨無形成症」。11月30日に開催された市民公開講座「家族と共に学ぶ軟骨無形成症」では、軟骨無形成症の当事者であり、モデルや俳優として活躍する後藤仁美さんが登壇。講座終了後にはマイナビ子育て編集部がインタビューを行い、ご自身の経験や周囲のサポートについて伺ってきました。
オンライン市民公開講座の登壇者。写真左から、医誠会国際総合病院・小児科医の北岡太一先生、軟骨無形成症当事者の後藤仁美(ちびた)さん、カリスマ保育士のてぃ先生
子どもの骨が成長する際の軟骨細胞の働きの異常により、骨の形成が阻まれ、低身長や四肢・指の短縮などの症状を伴う骨系統疾患(※)である「軟骨無形成症(なんこつむけいせいしょう)」。出生児の1~3万人に1人の割合でみられ、世界で25万人以上の患者さんがいるとされています。日本には約6,000人の患者さんがおり、国の指定難病にもなっています。
※骨、軟骨、人体など骨格を形成する組織の成長・発達・分化の障害により、骨格の形成・維持に異常をきたす疾患の総称
マイナビ子育て編集部は、11月30日に開催されたオンライン市民公開講座「家族と共に学ぶ軟骨無形成症」に参加し、軟骨無形成症の当事者であるモデル・俳優の後藤仁美(愛称:ちびた)さんにインタビューを行いました。
身長115cmの小さな体型と愛らしいルックスを活かして、2015年からモデルとして活動を始め、東京コレクションなどのファッションショーに出演。2017年からは俳優として舞台や映像作品に出演。最近では、公開中の映画「まる」(監督:荻上直子)に出演している。ドラマーとしての顔も持ち、東京2020パラリンピック閉会式ではドラムを演奏した。軟骨無形成症の当事者や家族に向けて、ブログやSNSで情報や自身の日常を発信している。
私がブログを始めた2011年ころは、まだ軟骨無形成症の当事者が書いた記事はなく、当事者の親御さんが書いていたものがほとんどでした。親目線でお子さんを見てきたことが話題の中心ですが、私が知りたいのは当時者本人の“リアルな声”。私は小さいころからファッションが大好きでしたが、この小さな身体に合う服を探すのは本当に大変でした。そこで、自分で工夫したファッションのコーディネートや、日々を楽しく過ごしている様子を発信することにしました。同じ軟骨無形成症の当事者の役に立てばという思いもありました。
ドレスは旦那さんがデザイン&制作を手がけられたそう! 軟骨無形成症の病因となる受容体たんぱく質「FGFR3」をモチーフにデザインされているとのこと
母が、私と同い年くらいの子が集まる場に積極的に連れて行って、スムーズにお友だちができるようにしてくれていました。物心つく前からだと、お友だちも私の体の特徴を気に留めることなく、一緒に遊んでくれていました。小学校ではその子たちがいつも支えになってくれていて、中学に上がって初めて知り合った子も、その子たちと私の様子を見て「こんな感じで接すればいいんだな」と自然に学んでくれたような気がします。
この場面、私もよく遭遇します。聞こえないふりをしている親御さんもけっこう多いですね(苦笑)。
私が以前「素敵だな」と思った答え方は、「うん小さいね。でもすごく背が大きい人もいるよね。いろんな髪の色の人、肌の色の人がいるよね。それって素敵じゃない?」というものでした。なんで小さいかということに無理に答えようとしたり、目を背けさせたりするのではなくて、世の中にはいろんな人がいることに目を向けてもらえたらいいんじゃないかと思います。
ちなみに、私がブログやSNSで発信したり人前に出たりするのには、“見慣れてもらう”という思いもあります。人って、見慣れると自然と不思議に思わなくなるんですよね。以前は、怪訝そうにジロジロと見られることが多かったですが、最近ではSNSで私を知ってくれている人からポジティブな声を掛けられることも増えました。これからもどんどん発信して、自分の姿を見慣れてもらいたいです。
私はわりと遠慮なく店員さんなどに声を掛けるタイプなのですが(笑)、もし困っている様子に気が付いたら、「何かお手伝いしましょうか?」と声を掛けてもらえるのが一番ありがたいです。「あれやりましょうか」「これしましょうか」と先回りして考えてもらわなくても大丈夫。本当に困っていたら自分から声を掛けるので、そのとき手助けしてもらえたらうれしいです。
公開市民講座中・インタビュー中を通じて何よりも印象的だったのが、後藤さんの弾けるような笑顔! ヘアカラーからドレス、ネイル、パンプスに至るまで鮮やかなピンクで統一され、本当にファッションが大好きであること、そして自身の特徴的な体型をポジティブに捉え、楽しんでいる様子がうかがえました。
今後もモデル・俳優として活動することで人々に“見慣れてもらう”とともに、ブログやSNSを通じた情報発信をして行きたいとのこと。必要とあらばバリアフリー製品を開発する企業へのレクチャーや講演なども行なっていきたいと話します。
私たちも軟骨無形成症に対してまずは「知る」ことから始め、誰もが暮らしやすい社会をつくる一助になれたらと感じました。
(取材・文/田中亜紀子)
この記事のライター
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