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育児休業を経験し、子育てに奮闘している当人の声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は二度の育休を取得した、外資系企業に勤務するパパのインタビューをお届けします!


今回のパパ湯浅宗佑さん/43歳/Box JapanAPJプロダクトサポート部 部長●ご家族妻:美樹さん(36歳)育休中長男:大志くん(3歳6ヶ月)次男:壮志くん(10ヶ月)※本人・家族の名前は仮名/年齢は取材時のものです。
●湯浅家のパパ育休2022年7月に第一子となる長男が誕生、続いて2025年3月に次男が誕生。勤務先のBox Japanにて、1ヶ月間の休みを取得。育児休業制度の利用ではなく、有給休暇を繋ぎ合わせる形を取った。現在、仕事ではグローバル組織の一員として、日本、オーストラリア、シンガポールなどAPJ(アジア太平洋・日本)地域の顧客を対象に、技術的な課題解決を支援する部署の責任者を務める。海外拠点との時差を調整しながら多忙な業務をこなす傍ら、育休中の妻・美樹さんとともに二人三脚で育児に励む。

――まずは、育休を取得しようと思ったきっかけを教えてください。
湯浅さん以前から子どもが欲しいという気持ちは強く、できるなら子育てに没頭する時間を持ちたいと一人目が生まれる前から考えていました。 ただ、いざ妻の妊娠がわかったときは、部署を率いる立場ということもあり、一時的とはいえ育休を取得するとチームメンバーに負担をかけてしまうことから、「本当に休んでいいのか」という葛藤がありました。一人目の出産前はちょうど組織変革の途中で、チームとしても成績が落ち込んでいた時期でしたし…。さらに、年齢的に育休を取ることへの“照れ”のようなものも正直、あったんです。
――その葛藤や迷いをどうやって解消されたのですか?
湯浅さん最終的に背中を押してくれたのは、当時の上司でした。 妊娠を報告した際、すぐに「育休、取るよね?」と言ってくれたんです。 その上司自身も仕事をしながら育児にしっかり関わっている方で、「1日1日、子どもの表情は変わっていくよ」など熱心に話してくれて、育休を取得したほうが、そういったかけがえのない時間をより過ごせるんだなと具体的なイメージが湧きました。また、上司は単に「休んでいいよ」と言うだけでなく、いつ休むか、自然分娩と帝王切開、それぞれの場合のスケジュール、チームの連携や引き継ぎまで詳細なプランを一緒に考えてくれました。 その強力な後押しがあったからこそ、「よし、取ろう」と前向きに決断できたんです。

「AKOi Heartという、常に赤ちゃんのお腹の動きをモニターするデバイス。息をしているか心配ですが、何かあればアラートで知らせてくれるので、親がしっかり眠ることができました」(湯浅さん)
――第一子、第二子ともに「誕生直後の時期」の育休取得にこだわった理由はありますか?
湯浅さん 一人目のときは、育児がまったくわからない状態からスタートしますよね。 その時期に1人ですべてを請け負うのはかなり負荷がかかると思います。そんな「立ち上げ」の時期に夫婦2人で一緒になって話し合い、ルールを作っていくことが、その後の生活を円滑にする上で非常に重要だと思いました。
――「育児の立ち上げ」、ビジネスパーソンらしい表現ですね。
湯浅さん「立ち上げ」という言葉は仕事でよく使っているので、出てきた言葉ですが……(笑)。でも、仕事の立ち上げと感覚としては似ていると思っています。例えば、おむつの替え方一つとっても、最初はまったくわからないわけです。もちろん、ネットで調べれば方法はいくらでも載っていますが、夫婦としての「テープはこれくらいのきつさがベストだよね」という感覚は、一緒にやっていないと共有できません。 そういった最初の立ち上げ期をともに経験することで、「ママにしかわからない」「パパは手伝うだけ」という状況を防ぎ、いわゆる「阿吽の呼吸」に繋げることができました。
――実際に、育休中はどのような役割分担をされていたのでしょうか?
湯浅さん基本的には「1から10まで全部やる」と決めていました。 ミルクをあげる、寝かしつける、夜泣きで起きる、おむつを替える……。 母乳以外のことはすべて自分が対応できるようにしました。
――赤ちゃんの深夜のお世話も、パパが担当されていたのですか?
湯浅さん妻と交代で行うことが多かったです。 「今日はどちらかがしっかり寝る日」と決めて分担し、担当した日は日中に寝かせてもらったり。 ただ、自分には授乳という“武器”がないので、困りました。 寝かしつけのときに泣き止まなくて、家の中をぐるぐる歩き回ったり歌ったりしながら、自分なりのやり方を見つけるまで試行錯誤した1ヶ月でもありました。

「育休中の次男の沐浴の様子。妻の実家が遠方なので、里帰りせずに乗り切りました」(湯浅さん)
――1ヶ月休む際、チームへの引き継ぎはどうされましたか?
湯浅さん引き継ぎ内容をすべて書き出して、各チームメンバーと上司それぞれにお願いしました。1ヶ月のお休みだったので、完全に任せるというよりは、自分のいない間をカバーしてもらうというイメージです。 上司から「こうしたほうがいいよ」というアドバイスをいただいたので、その教えに則り、進めることができました。ただ、もともと自分の育休とは関係なく、以前から「個人に依存しない組織作り」を目指して、自分が中心となって動かしていた業務をチームメンバーへ任せようと動いていたタイミングだったんです。それが功を奏したと思います。
――上司以外のチームの方の反応はいかがでしたか?
湯浅さんありがたいことにみんな温かく送り出してくれました。また、驚いたことに、私が育休を取って戻った後、チームで4人の男性社員が立て続けに育休を取得したんです。 ちょうど出産シーズンが重なったこともあったかと思いますが、自分が1ヶ月休むというスタイルを見せたことで、メンバーも「自分たちも取っていいんだ」と安心してくれたのかもしれません。
――素晴らしい連鎖ですね! その後、湯浅さんも2人目の育休をさらに取得されたんですよね?
湯浅さんはい。今言った背景もあり、2人目のときには、男性社員も育休を取得することが当たり前になっていましたね。そのときもチームは「いってらっしゃい!」と快く送り出してくれました。
――1回目の育休と2回目の育休はどんな違いがありましたか?
湯浅さん 1回目の育休との違いで言えば、上の子のケアをしながら下の子の育児を回すという「流れ」を作りました。
――1人目での慣れがあるとはいえ、2人同時に見るのはまた大変ですよね。
湯浅さん そうですね。あと、うちの兄弟って性格がまったく違うんです。長男は落ち着いた子で穏やかにおむつを替えさせてくれていたんですが、次男は生まれてすぐからずっと動いてる(笑)。なので、おむつ替えをするときは基本的に一人があやして気を引きながら、もう一人がパッと替えるみたいにしたくらい!
――同じ男の子でもそんなに違うんですね!
湯浅さん実は、おなかにいる時から『長男のときと全然違う!』と既に気づいていて……。胎動がとにかく激しくて、驚いたんです。当時から『これは賑やかになりそうだぞ』と覚悟していました(笑)。実際に生まれてからはその通りでしたが、それがまた面白いんですよね。ただ次男は全方向に手がかかるかと言えばそうではなくて、自分でご飯を食べようとする意欲が強かったり、寝かしつけが驚くほどスムーズだったり。長男にも次男と異なる良いところと苦労するところがあります。2人目が生まれてから、その子の『性質や個性に合わせた関わり方』の大切さを改めて学びました。

「昨年のクリスマスに長男と一緒にビーフシチューを作りました!」(湯浅さん)
ーー現在はどのようなスケジュールで働かれていますか?
湯浅さん会社では育児・介護休業法に則り、未就学児のいる家庭は月に10日までリモートワークを選択できるなど、柔軟に働ける環境が整っているので、非常に助かっています。 出社日は、朝8時半に子どもを保育園へ送り、9時半に出社。 そして定時前にはオフィスを出て、5時頃子どもをお迎えに行く日もあります。
ーー定時前の退社もあるのですね!
湯浅さん最初は申し訳なさもあり、人の目も気になりましたが、今は普通に帰ります。チームのメンバーから「宗佑さんがオフィスにずっといられると困るんで帰ってください(笑)」と言われるほどです。 もちろん、お迎え後には再び仕事に戻り、定時後には子どもを見ながら仕事をしたり、子どもたちが寝静まった後の夜や早朝に、海外拠点との会議に参加したりすることもあります。
――育児と仕事のスイッチの切り替えは難しくありませんか?
湯浅さん切り替えをなくすこと自体を意識しています。完全に切り分けるのではなく、育児と仕事を「並列」で動かしている感覚です。もちろん会議や数字に関わること、調査データの分析などは集中しないといけないので、それはみんなが寝たあとに行いますが、Slackで返事をするなどコミュニケーションの部分は、育児と並行です。仕事内容を分けて、できるだけ無駄な時間をなくす意識をしています。そうしないと、仕事も育児もなかなか回りません。
――育休を経て、パートナーの美樹さんとの関係性に変化はありましたか?
湯浅さんありましたね。関係が深まったと思います。 今ではお互いを「戦友」のように感じています。2人目が生まれてからというもの、育児の難度は上がっていて、 昨年末には家族全員が順番に風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスに罹って40度の熱が出た時期があったんです。 夫婦ともに高熱の中で2人育児をすることがとても大変でしたが、そのときも必死に話し合いながら乗り越えることができました。

「“戦友”の妻。最近、長男の幼稚園受験をしましたが、そのときも夫婦でしっかり教育方針を話し合って進められたのはとても良い経験でした。受験日には、長男の成長も感じられ、一瞬涙ぐんでしまいました」(湯浅さん)
――これから育休を考えているご家庭へ、アドバイスをお願いします。
湯浅さん育休には「これ」という一つの正解はありません。 育休を取るタイミングは人それぞれですが、タイミングによって目的が変わることを理解した方が良いと感じました。私自身は出産直後の育休は、育児の「立ち上げ」を妻と共にできたことが大きな利点でした。なので、取得の「目的」を夫婦で話し合うことが大切だと思います。私はその後の育児や夫婦関係に良い影響を与えたと思うので、誕生直後の時期に取得したのは本当に良かったと思っていますが、それが正解の人もいれば、生後半年後ごろの取得が必要な人もいるはずです。
――管理職という立場の方々へ、伝えたいことはありますか?
湯浅さんマネージャーが率先して取らないと、下の人はやっぱり取りにくい……どこでもそういう風潮は少なからずあるのだと思います。 私自身も取得したのは、上司のすすめがあったからでした。だからこそ「自分が環境を作るんだ」という意識で、ぜひ育休を取得してもらえるといいと思います!
(取材・文:江原めぐみ、イラスト:ぺぷり)
この記事のライター
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