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日本酒の基礎を学習するシリーズ! 日本酒に関する専門用語を誰にでもわかりやすく説明できるように、それぞれの語句を丁寧に説明していきます。今回は酒蔵で行なう工夫にはどのようなものがあるか? というところで「生酒」「無濾過」「原酒」についてご紹介していきます。
前回は純米酒と本醸造酒、吟醸酒や大吟醸酒についてお話ししました。酒屋さんで購入する際にそれぞれの違いを知ることで、より自分に合った日本酒を選べるようになります。
今回は、ラベルに書いてある他の言葉についてお話ししましょう。前回の純米酒や本醸造酒などの言葉は、法律で決まっている事柄なのですが、今回は酒蔵の工夫や試みが読み取れるようになりますよ。
ラベルの言葉を読み、意味を理解して買えば、自分にピッタリな日本酒を見つけ出すことができるようになるはずです。ラベルのデザインだけで買う「ラベル買い」よりも、しっかり日本酒選びができるはずですよ。
日本酒はできてから出荷するまでに2回加熱処理をしています。これを「火入れ」と呼びます。できたての日本酒の中には酵素や菌がたくさんいるので、60~65℃のお湯で温めることで働きを止めて、品質を安定させています。1回目はお酒が出来てすぐ、2回目は瓶詰めして出荷する直前に行っています。
「生酒」というのは、日本酒ができてから出荷されるまでに一度もこの火入れをしていないお酒のことです。できたての香りが楽しめる生酒はフルーティで魅力的な味わいです。
この生酒を美味しくいただくためには、飲むまでの間の温度管理が生鮮食品と同じくらい重要なので、昔は酒蔵の地元でしか飲めなかったそうです。今は流通や保管がきちんと管理できるようになり、遠い酒蔵の生酒も楽しめるようになりました。
酒蔵によっては同じお酒を「火入れ」「生酒」の2種類リリースするところもあります。飲み比べてみると違いが分かって楽しいですよ。
日本酒と言えば無色透明なイメージがありますよね。でも実は出来たてのお酒は少し黄色いのです。そこでお酒の中に活性炭を入れて、無色透明に仕上げることを「濾過」と言います。濾過することによって、色を取りつつ香りの調整もしています。
最近では、生酒と同じように出来たての味わいを求める人が増えてきました。濾過をしない「無濾過」のお酒は、調整しないまま飲んでも美味しいという蔵元の自信が成せる業なのです。
以前は日本酒の評価の一つに「無色透明であること」というのがありました。それをチェックするための道具が、あの、中に青く◎が書いてある白いお猪口なのです。ご存じでしたか?
出来たての日本酒のアルコール度数はだいたい18~20度です。ちょっと驚かれたかも知れませんね。ワインの1.5倍くらいあるので、すぐに酔ってしまいそうですよね。
一般的な日本酒は、できたお酒に水を加えてアルコール度数を15度くらいに下げています。昔の人もやはりすぐに酔ってしまったのでしょうね。
でも、水で薄めている訳ですから、やはり「酒蔵での出来たて」が飲みたい!ということで、水を加えていない「原酒」のまま瓶詰めされるお酒があります。蔵元によっては「無加水」と書くところもあります。分かりやすいですね。
日本酒の通の中には、「ムロカナマゲン(無濾過・生酒・原酒)」と呪文を唱える人がいます。
呪文の意味が分かったあなたは、「ああ、この人は濃くて芳醇なお酒が飲みたいんだなあ」と温かく見守りつつ、ぜひ飲んでみてその味わいを楽しんでみてくださいね。
この記事のライター
アートマン
95
ワインの流通に15年以上携わり、その目利きと味覚のセンスであらゆるワインや日本酒などに精通。その道では年間1億円以上の販売実績がある人物で、あらゆる分野の飲食店にも精通。
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