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「未来のミライ」細田守監督&上白石萌歌の絵本読み聞かせイベントレポート

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「未来のミライ」細田守監督&上白石萌歌の絵本読み聞かせイベントレポート

7/22(日)、細田守監督の最新作、映画『未来のミライ』の公開を記念して、有隣堂横浜駅西口ジョイナス店にて「細田守監督×上白石萌歌さんトークショー&読み聞かせ」イベントが行われました。

細田守監督と主人公「くんちゃん」の声を担当した上白石萌歌さんが、「未来のミライ」に込めた想い、製作中のエピソードを語ってくれました。

きょうだいが増えるという、子どもにとって大きな出来事を描きたかった

細田監督は「こういう(読み聞かせ)イベントでみなさんとお会いできるのは、この作品ならではですね。これまでの作品ではなかったことですので、とても嬉しいです」と抽選で選ばれた親子25組50人を前に挨拶。

「僕の子供が今、5歳と2歳なんですけど、小さい子たちが遊ぶ作品がもっとアニメ映画で増えてもいいのではないかと思います。きょうだいが増えることは、大人が思っている以上に子どもにとって大きな出来事であり、一生その関係は続く。その大きな出来事を描きたいなと思いました」と製作の意図を伝えました。

「みんなの中できょうだいいる人いる?」という細田監督の問いに、「はいはい!」「僕はおとうと!」と、元気よく挙手する子どもたち。また細田監督は「逆にひとりっ子の子は?」と聞き、「実は僕もひとりっ子。きょうだいがいたらいいなあ、と思ってこの映画を作ったんですよ」と自分のきょうだいに対する想いをのぞかせました。

上白石さんも「私は2つ上に姉がいて、すごく仲が良いです。小さい頃から一緒にいるのが当たり前で、親友みたいな存在。色々と相談もするし、休みの日は2人で出かけたりしています」と自身のエピソードを紹介しました。

(「未来のミライ」の制作秘話を語る細田監督)

くんちゃんの声を上白石さんに決定した理由に関して、細田監督は「すごくくんちゃんに似てる人だなあ、と思いました。もちろん外見は全然違うけれど、葛藤していたり、前に進みたい、大きくなりたいというような、子どもの気持ちをきちんと持っているところが素敵だな、と思いお願いしました」と説明。

上白石さんにとってはこの作品が声優として初めての仕事。声優に関して「声だけで表現するのはとても難しかったです」と苦悩をのぞかせながらも、「実際に保育園に行き、4歳の男の子と触れ合う時間を作るなどして、役作りのヒントをつかみました」と、今回の仕事に関して手応えを感じている様子でした。

細田監督は上白石さんへのアドバイスを聞かれると「無理して作り込まない方が、くんちゃんの本質に迫れると思ったので、男の子ということをあまり意識しなくていいですよ、と上白石さんには伝えました。女の子の声に聞こえても、4歳児っぽくなくても、4歳の男の子だったらそういう要素もあるから、そちらのほうが真実味が出ると思いました」と語りました。

(会場からの質問に答える細田監督)

くんちゃんが引き出してくれた、子どもの素直な感情表現

会場に来ていた人から募集した質問コーナーでは「映画を作っていて一番楽しかったところはどこですか?」という質問が寄せられ、細田監督は「やはりくんちゃんを描いている時が一番楽しかったです」と即答。

「アニメ映画は子どもが出てくるものが多くありますが、こんなに子どもが主人公として活躍するアニメ映画を作る機会もなかなかないので、僕もスタッフさんもとても楽しくくんちゃんを描きました。その現場の楽しさが作品にも出ていると思います」と製作中を思い出しながら話してくれました。

一方、上白石さんは「くんちゃんは怒ったり、大声で叫んだりする場面が多いのですが、怒って床でのたうち回っている場面が演じていて楽しかったです。自分の中でこんな感情が眠っていたんだって。くんちゃんがそれを引き出してくれたような気がします」と答えました。

(くんちゃん役が声優デビューとなった上白石さん)

次に「いつから映画監督になりたいと思いましたか?」という細田監督への質問には、「小学生の頃ですかね。絵を描くのが好きで、絵を描く人もそれを映画にする人もどちらもすごいなあ、と思っていました。その中でも「ルパン三世 カリオストロの城」(1979公開/宮崎駿監督)を見た時、こんなすごい人がいるんだ、ってすごくびっくりして、その映画のとりこになってしまいました。その影響が大きいと思います」と幼き頃を回想。

「みんなも将来こんな大人になりたい、とか、こんな職業になりたいな、と思ったらなれるかもしれないよ」と子どもたちを激励した細田監督でした。

(くんちゃん登場に盛り上がる会場)

上白石さんが生アフレコ。『オニババ対ヒゲ』の読み聞かせ場面を再現

また話題は、絵本作家tuperatuperaさんと細田監督が制作した劇中絵本『オニババ対ヒゲ』の話に。細田監督は「tuperatuperaさんに『普通じゃないびっくりする様な絵本を作ってください』とお願いしましたところ、セリフがなく擬音だけで作られたこちらの絵本が出来上がってきて。いや、びっくりしましたね」と絵本制作時のエピソードも教えてくれました。

ここでなんと会場にくんちゃんが登場。そこでくんちゃんがミライちゃんに読み聞かせていた映画のワンシーンを上白石さんが再現してくれました。

実際の劇中絵本とくんちゃんが読み聞かせる内容が違うことに関して、細田監督は「くんちゃんはまだひらがなを読めず、自分で考えたお話を読み聞かせているので、内容がくんちゃん好みになっているんです。映画では絵本のお話の中に電車が出てきていますが、実際は出てきません。僕もよく子どもに読み聞かせをするのですが、その場のアドリブで読みながら、子どもと一緒に想像するのも面白いですよね」と語りました。

(絵本の読み聞かせをする上白石さん)

続いて、『はじめてのおつかい』(筒井頼子作/林明子絵/福音館書店)の読み聞かせをしてくれた上白石さん。くんちゃんの登場で騒めいていた会場は一転、上白石さんの透き通る様な語り口に引き込まれていました。

最後に上白石さんは「子どもたちにとっては夏の大冒険の映画であるのですが、子育て中のお父さんお母さんにとっても、色々なことに共感していただける内容となっていますので、何度でも劇場に足を運んでください」と挨拶。

細田監督は「小さな子の映画を作るときは、一緒に絵本を読んであげているような世界を大事にしてきました。子どもの目の前で絵本を読んであげるような、そんな映画となりましたので、劇場で楽しんでいただければ、と思います。小さな頃の時間というのはかけがえのなく大事なものでして。子どもはどんどん成長、変化していきますが、その瞬間瞬間、子どもと一緒にいい時間を過ごしたなということが、皆さんの中にもすごく素晴らしい記憶としてありますように、と願っています。自分自身もそういう親でいたいな、と思っております」とイベントを締めくくりました。

(来場した子どもたちと記念撮影をする細田監督と上白石さん)

70mの通路が『時をかける少女』から『未来のミライ』まで続く「細田守」の世界に!

有隣堂横浜駅西口ジョイナス店では、映画『未来のミライ』公開記念&角川文庫70周年記念展示「未来への道 ~細田守の世界と絵本の通り道~」を開催中。有隣堂横浜駅西店に隣接する約70mにおよぶ地下1階通路の壁面が「冒険・絆・成長――細田守の夏がやってくる」をコンセプトに細田守監督作品の世界観で埋め尽くされています。

映画『未来のミライ』から生まれた絵本『ミライちゃん、すきくないの』の巨大絵本や、『時をかける少女』から『未来のミライ』までの細田作品の名場面、名言で構成された壁面装飾が展示されています。この夏休み、子どもと一緒に、細田守の世界、細田作品の過去と未来を楽しんでみてはいかがでしょうか。

取材・文 / 松田 祐子
撮影 / 島本絵梨佳

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KADOKAWA『オニババ対ヒゲ』
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この記事のライター

ママタス

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