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発表!「片づけ大賞2017」。片づけられない人の暮らしは、プロ技アドバイスでどう変わった?

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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発表!「片づけ大賞2017」。片づけられない人の暮らしは、プロ技アドバイスでどう変わった?

片づけや整理収納のプロ達が集う「片づけ大賞2017」が8月に大阪市で開催されました。プロの高度な片づけセオリーやスキルを讃え、その知識を共有する場です。片づけ・整理収納のプロが、片づけられない人をどのようにサポートしているのか、また、プロに依頼することで片づけられない人の暮らしにどのような変化が生じるのか、8人のファイナリストの方々の事例を元に紹介します。
「片づけられないと悩まないで。私たちプロがいますよ」

「片づけ大賞」とは、片づけや整理収納の仕事をしている“片づけのプロ”の全国大会。2014年に第1回大会が開催され、今年で4回目を数えます。片づけや整理収納の団体、企業はいくつもありますが、所属を問わず片づけのプロ達がさまざまな片づけ事例を共有する場となっています。

片づけ大賞のサイトには、次のように開催の目的が掲げられています(一部抜粋)。
――モノと情報が氾濫する現代の日本では、昔のように誰もが自己流で整理整頓ができるほど、空間もモノも情報も思考も単純ではなくなっています。そう、小学校の家庭科で『片づけ、整理整頓』を学ぶ時代であり、学ばなければ快適な生活を営むことすら困難になっているのです。
――「片づけられない人」の増加に対する「片づけ・収納のプロ」という職業の普及と認知度の向上は急務であり、これを実現するための一つの施策として「片づけ大賞」は誕生しました。
――多くの片づけられない人に希望を与えるとともに、日本人の幸福度の向上に寄与できることと確信しています。

世の中には、片づけられないことで暮らしに不便や困難が生じている人が多々いるという実態があります。片づけたくとも片づけられない人に対して、「悩まなくても大丈夫。私たちがいますよ」とプロの存在を発信する場にもなっているのです。
1人で悩んでいないで、専門家に相談してみると道は開ける……今回の大賞からそう読み取れた事例の数々を次章で紹介します。

相談者の心に寄り添って、片づかない原因を解きほぐす

片づけ大賞では、書類審査を通過した8人のファイナリストが登壇。独自のスキルやセオリーで手掛けられた「片づけ事例」の内容紹介を行い、結果、グランプリ、準グランプリ奨励賞、審査員特別賞(2名)が選考されました。ファイナリスト達は「クライアントの生活が改善されたか」「この活動は社会的な貢献になっているか」「依頼したい/知り合いに勧めたいと思うか」「プレゼンテーションは分かりやすいか」の4項目で評価されます。

まず、受賞した4名の発表内容を紹介します。

【グランプリ 片づけ大賞】『都内3階建て5LDK 10年間「片づけられない」を開いたパスワード』
松林奈萌子さん(マスターライフオーガナイザー、メンタルオーガナイザー、整理収納アドバイザー、「Jeweled House」代表)

【画像1】グランプリ受賞の松林さん(右)と審査委員長の「かたづけ士」小松易さん(左)(画像提供/JAPAN ORGANIZING AWARD 実行委員会)

【画像1】グランプリ受賞の松林さん(右)と審査委員長の「かたづけ士」小松易さん(左)(画像提供/JAPAN ORGANIZING AWARD 実行委員会)

本人が意識していない「片づけられない原因」を解きほどく
ゆとりある5LDK・3階建てに暮らすYさん(38歳・女性)からの相談です。どの部屋にも多くの物が整理されないまま置かれた状態で、ご本人は自分が整理下手だから片づけられないと悩んでいたそうです。ヒアリングしていくうち、「原因は別にあり、その本質的な原因を意識していないのでは」と松林さんは考えました。

実はYさんの家は、早世された義家族の家を引き継いだもので、故人の物が一部置かれたままだったそうです。Yさんご夫妻は故人への思いを物に投影して大切に考えながらも、10年間、自分達の物も含めてどう整理してよいかわからないまま、片づけられないのは整理が下手だからと考えてしまっていました。

「モノに対する気持ちの整理が追いつかず、片づけたくても片づけられない方はとても多いのです。私達サポーターは片づけられない本当の理由にじっくり寄り添い、モノとコトを『自分事(じぶんごと)化』して向き合っていくことが何より大切だとお話しています。そして、『物を減らすというより、好きな物を残す』『迷う物はどんどん残して』とお伝えすると、Yさんご夫妻の片づけが加速していきました」と松林さん。

片づけられない人の中には、片づけられない原因が何か分からない、意識していない人が意外と多いのかもしれません。どうしてこうなっているのか、どうしたいのかという「気持ちを整理するサポート」によって、表面的ではなく、根本的な問題解決が可能なのだと感じました。

【画像2】お片づけ事例のビフォー・アフター。物に向き合い続けて10カ月後、「空いたスペースに光が差すと、心まで明るくなりました」とYさん(画像提供/松林奈萌子さん)

【画像2】お片づけ事例のビフォー・アフター。物に向き合い続けて10カ月後、「空いたスペースに光が差すと、心まで明るくなりました」とYさん(画像提供/松林奈萌子さん)

【準グランプリ 奨励賞】『発達障害児者の片づけサポート』
大津泰子さん(ライフオーガナイザー、CDスペシャリスト、「お片づけ.comodo」代表)

【画像3】準グランプリ奨励賞受賞の大津さん(右)と審査員の収納王子コジマジックさん(左)(画像提供/JAPAN ORGANIZING AWARD 実行委員会)

【画像3】準グランプリ奨励賞受賞の大津さん(右)と審査員の収納王子コジマジックさん(左)(画像提供/JAPAN ORGANIZING AWARD 実行委員会)

時間をかけて寄り添うことで、ようやく価値観が分かり合える
「視力の低い人が眼鏡を掛けるように、発達障害の人には片づけのサポートが必要です」と話す大津さんは、お子さんが発達障害児であることから、ご自身の経験を活かして、自閉症児・発達障害児と家族が片づけやすい仕組みを提案するアドバイザーとして活躍しています。

相談者は、発達障害の特性のために片づけが苦手な小5のお子さんをもつKさん(40代女性)。大津さんは、認知特性を知ることも兼ねてカードゲームをしたり、興味関心があることについて詳しく聞いたりして信頼関係を築くところから始めました。「お子さんとお母さんの体調や注意の持続時間を考慮して、月1回3時間、お子さんとお母さんの間を行ったり来たりしながら作業をするようになりました」。片づけに対してネガティブな考えを持たせないようにし、お子さんの主体性を大切に取り組んだそうです。そしてお子さんに、捨てるのではなく物を分類するよう勧めると、とても細かく分類するようになり、ラベリングがとてもはかどるように。そうして次第に自分で整理収納を工夫し、前向きに取り組めるようになったそうです。

相談者のKさんはこう話します。「私自身片づけが苦手で、息子に片づけを教えることができませんでしたが、一緒にサポートを受けることで、3歩進んで2歩下がるくらいの歩みでしたが、少しずつ片づけられるようになりました」。時間をかけて寄り添うこと、一緒に行うことがとても大切なのだと分かりました。

【画像4】物を分類してラベリングすることに熱中しているお子さん。6カ月ほど経つと、自主的に整理するようになったそうです(画像提供/大津泰子さん)

【画像4】物を分類してラベリングすることに熱中しているお子さん。6カ月ほど経つと、自主的に整理するようになったそうです(画像提供/大津泰子さん)

【審査員特別賞】『3世代をつなぐ片づけ』
今西ゆかりさん(ライフオーガナイザー、「家族のおへそ」代表)

世代で異なる価値観を受け止め、母が納得するプランを提案
両親と3世代同居中のEさん(30代女性)。「私が使いやすいよう工夫して整理収納したのに、母が元に戻してくれない」という相談です。母娘それぞれの思いをヒアリングすると、「慣れた暮らしを変えたくない」というお母様、「一手間かけてもスッキリお洒落に暮らしたい」というEさん。

今西さんは、このお宅の問題には、世代で異なる、物に対する価値観「母世代:執着はないけれど物は手放さない」「娘世代:シンプルに暮らす」が根底にあると考えます。意見が対立する母娘の間に入り、「これはやりたくない」ということに対して、「なぜやりたくないのか」という気持ちを探りつつ、「こうしたら使いやすいのでは」という提案を1つひとつ行いました。根気よく続けることで、「やってみようかなと思えました。この歳で新しいことが学べてうれしいですね」という前向きな気持ちがお母様に芽生えたそうです。

【画像5】お母様は「押入れは物を詰め込む場所」という固定観念をお持ちでしたが、物を一つひとつ確認していったところ「しまうだけで物を使いやすく使えていない事実」に気づき、お子さん用の空間にすることに賛成してくれました(画像提供/今西ゆかりさん)

【画像5】お母様は「押入れは物を詰め込む場所」という固定観念をお持ちでしたが、物を一つひとつ確認していったところ「しまうだけで物を使いやすく使えていない事実」に気づき、お子さん用の空間にすることに賛成してくれました(画像提供/今西ゆかりさん)

【審査員特別賞】『リユース実録 モノが循環する社会へ!』
宮川奈未さん(リユースマスター、「株式会社アンジェ・リュクス」所属)

「手放すのはもったいない」気持ちを変えるリユース術を提案
物を手放すことを躊躇(ちゅうちょ)したり、いつかいつかと思っているけれどリサイクルするのって面倒……という声をよく聞きます。相談者のTさん(50代女性)もそのお一人。「使える物なのに、ゴミとして燃やされちゃうのはもったいないから手放せない」と、たくさんある雑貨や手芸用品で押入れが開かずの状態になっていました。

ゴミとして処分する物、リサイクルする古布以外で、手放したい物は「リユース」(リサイクルショップやネットオークションを通じて物を手放し、誰かに再利用してもらうこと)をすることに。手放し先は、1.宅配買取で買い取ってもらう、2.リサイクルショップで買い取ってもらう、3.ネットオークションに出品する、の3つ。それぞれ、Tさんが主体で行うものと、宮川さんが代行するものを決め、宮川さんが出品手続きや梱包などの準備をサポートしました。

Tさんはオークションを経験して「もったいないからと手放せなかったのに、その物を欲しい人がいると知って手放す抵抗がなくなりました。代行してもらい、気持ちよいほど一気に片づきました」と話します。自分にとって楽な手放し方を知っていると「もったいない」の視点が変わり、手放すときの不安感がなくなります。そして、モノを手に入れるときも吟味して選べるようになります。

Tさんのように、必要でなくなった物を持ち続けることで暮らしが窮屈になっている人、なかなか手放せない物が多いという人は、リユースのサポートがあることで片づけが加速します。

【画像6】収入総額は5万3000円以上となりました。オークションでは、500円でスタートしたカシミヤ毛糸が1万5500円という意外な高値で落札されてびっくりしたそうです(写真・資料提供/宮川奈未さん、資料をもとに筆者作図)

【画像6】収入総額は5万3000円以上となりました。オークションでは、500円でスタートしたカシミヤ毛糸が1万5500円という意外な高値で落札されてびっくりしたそうです(写真・資料提供/宮川奈未さん、資料をもとに筆者作図)

悩みは人により千差万別。それぞれに合った片づけの手法がある

4人の受賞者と同様に、残り4人のファイナリストの片づけ手法も、クライアントの気持ちに寄り添い、悩みや状況に合ったアドバイスを提案しています。

●軽度認知症高齢者のお宅の片づけ
永津美保さん(二級建築士、住空間収納プランナー、「makefit」代表)
高齢ご夫妻宅の片づけを別居の娘さんが依頼。夫が半身麻痺、妻が軽い認知症という状況で、数年前まで普通だった家が物であふれる状態に。ご高齢なので体調やペースに合わせ、物の要不要の選別はご本人にしていただき、片づけ作業は目の前で行う、保管する物は大切に扱う、物の収納場所が変わるため毎回物の位置を記帳するなどのサポートをして、信頼関係を築いていきました。ご夫妻は家が徐々にきれいになっていくさまに歓びを感じ、妻は積極的に片づけを進められるほど、認知症の症状も改善したそうです。

●「ごめんなさいから、ありがとうへ」
あがたよしこさん(ママが2泊3日で家を空けても家族が困らない暮らしサポーター、マスターライフオーガナイザー、「LIVE Styles」代表)
相談者は会社経営者として多忙な日々を送りながら、3歳の3つ子を育てるワーキングマザー。家事に育児に奮闘する日々ですが、自分がいないと食事づくり、保育園の準備、病気やけがなどの対応ができないという点に不安を抱いて、出張に踏み切れないことがあったそう。いつも忙しいことで、家族に「ごめんね」ばかり言っていました。そこで、ご本人が不在でも、夫・ご両親・ヘルパーさんが連携して対応できる仕組みづくりをアドバイス。どこに何があるか誰が見てもわかるようにした結果、お子さん達が自発的に自分の物を片づけるようになったそうです。毎日「ありがとう」という言葉を言える暮らしになりました。

●「女性が輝く職場づくりへの挑戦」
浅井まり子さん(幸せ収納インストラクター、「株式会社ヴァンヴィーノ」所属)
デンタルクリニックからの相談です。患者さんが通る事務スペースと、消毒室などのバックヤードがうまく整理できておらず、作業動線が非効率的な状態でした。浅井さんが提案したのは、「物が片づいている状態がどんな状態か認識する」「ゴールを共有する」「出す・分ける・選ぶ・しまうの4ステップを行う」「出したら元に戻すルール化」をスタッフ全員で共有すること。クリニックのお仕事の合間に全員で文具類の整理を行い、驚くほどストック数が多いという事実を全員で共有しました。カルテの取り出しやすい位置や収納方法、消耗品の収納場所など、収納動線を見直すことで作業の時短が叶い、仕事の効率が格段に上がったそうです。

●「引越しで『私』と『暮らし』を整えよう」
門野内絵里子さん(引越しオーガナイザー)
相談者は夫婦で3人のお子さんを育てるワーキングマザー。自宅を仕事場にしていましたが、食事場所、遊び場所と混在し、落ち着いて仕事ができない状況でした。引越しを機に、「子どもたちと向き合える家に」「家が楽しいと思える空間に」「仕事に集中できる環境に」との要望を叶えるべく、門野内さんは暮らし方の整理を提案しました。「保育園児の身支度・送迎の効率化」「小学生が自分で自分のことができる仕組みづくり」「家族皆がキッチンを使える配置」「家族の就寝中に仕事に集中できる間取り」をアドバイスし、間取図で暮らしやすい生活動線を確認し、「家の中心に子どもスペース」「帰宅後の荷物置場」「仕事と遊びが独立した空間」や、収納計画の確認も提案。その結果、快適な住まいを手に入れることができ、ご家族の暮らしにもお仕事にも非常に良い影響が出ているそうです。

今回、片づけ大賞を観覧して筆者が強く感じたことは、「一口に、片づけ・整理収納といっても、プロが提案するアドバイスは人それぞれ、クライアントの数だけある」ということです。片づけのプロはクライアントの人となりを知り、片づけられない悩みや気持ちに寄り添って、時間がかかったとしても最も効果的と判断した解決策を提案しています。そして物の片づけに留まらず、「快適に暮らせる仕組みづくり」までを提案しているのです。

どうしても片づけられない人でも、寄り添って道を指し示してくれる人がいることで、不便や不快だった日常が素敵な暮らしに生まれ変わる……。そんな存在がいるなんてとても心強いと思いました。

「片づけ大賞」には「こども部門」もあります。「親はどうすれば子どもが片づけられるようにできるのか」「子どものうちから片づけ習慣を学び身につけるのがなぜ大切なのか」という点も合わせて、次回「片づけ大賞・こども部門編」を紹介します。

●取材協力
・JAPAN ORGANIZING AWARD 実行委員会事務局
・一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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SUUMO

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