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みなさん、こんにちは。薬剤師の遠藤さちこです。みなさん眠りたいのに眠れないことってありませんか?蒸し暑さで寝苦しかったり、仕事や家事が忙しかったりと、なかなかぐっすり眠ることができていない方も多いのでは?今より少しでも良い睡眠をとるために、できることをご紹介します。
日本人の平均睡眠時間は7時間半程度。(平成23年社会生活基本調査結果、総務省)
一方、世界を見てみると、最も良く寝ているといわれるフランスは9時間程度です。
睡眠時間は、その国の生活や文化、仕事との関連が大きいようです。
睡眠時間に関しては、6時間は寝ないと、いやいや8時間は必要だ!と様々な意見がありますが「○時間睡眠をとれば大丈夫」ということはなく、睡眠時間はあくまでも目安であり、睡眠は質や実感が大切です。
人によって日々の活動量が異なることもあり、睡眠にも個人差があります。
睡眠時間が4時間程度でも健康!という人もいますので、自分自身で疲れがとれていると思えば、時間を気にすることはないとも言えます
睡眠は自然と体が欲するものです。体は活動する代わりに定期的な休養を求めており、その休養を主に睡眠という形でとっています。
しかし脳や体の状態によって、なかなか寝付けない、または深い睡眠に入れず眠りが継続しないなどの症状が起こることがあります。
これらを解決するために、少しだけ生活を工夫することで、眠りの質が改善し、疲れが取れる睡眠が得られることがあります。
朝に太陽光を浴びることで、体の中の「体内時計」が調節されます。
朝カーテンを開けて光をいれる、また日中に直射日光を浴びることに効果があります。
体は自然に「朝と夜は定期的に繰り返すものだ」と認識しているので、朝を認識させることで、時間が経つと眠たくなるという仕組みです。
これらは、海外から帰国した際の時差ボケの修正にも有効です。
入浴直後は、体が熱くて眠れない…ということを経験した方もいるのではないでしょうか。
体の深部体温が下がったときに眠りに入りやすくなるので、お布団に入る2時間くらい前にお風呂を済ませましょう。
スマホで動画を見ながら寝ている、なんていう人はいませんか?
スマホやテレビの光は脳を活性化させるので、睡眠に入りにくい状況を作っていると言わざるをえません。
強い光やLEDは体内時計に与える影響が大きいと言われています。
寝室には間接照明などを上手に使うといいですね。
アルコールを飲むと眠くなりますが、アルコールが体内で分解される時に発生する成分が睡眠の質を悪くし、深い眠りに入りにくくします。
また、利尿作用などもあわさって、途中で起きてしまうこともあります。
コーヒーはカフェインの覚醒作用(目を覚ます作用)がありますので、夕方以降に飲むことは控えるといいでしょう。
「睡眠薬」と聞くと、私はそこまでは…と思われる方もいるかもしれません。
でも慢性的な不眠ではなく、一時的な不眠である場合は、市販薬で改善できる場合があります。
現在、比較的マイルドな医薬品が薬局・ドラッグストアで睡眠改善薬として購入できますので、ご紹介します。
受診して処方される睡眠薬とは基本的に効き方が異なり、花粉症や風邪の時に飲む医薬品に含まれる「抗ヒスタミン薬」と呼ばれる種類に属する「ジフェンヒドラミン塩酸塩」を含みます。
かぜ薬で眠気が出たことがある方も多いと思いますが、その副作用である「眠気」を応用した医薬品です。
ドリエル(エスエス製薬)やネオディ(大正製薬)など数種類がありますが全て同成分です。
これらは慢性的な不眠の方が対象なのではなく、一時的な不眠の方が対象となっていますので、「ここ数日眠れないな…」という方におススメです。
医師から処方された薬がある方、妊娠中や授乳中の方、緑内障の方は医師・薬剤師・登録販売者に確認してから服用してください。
また、あまり長く使用することはおススメしません。
直接眠れるようにするわけではなく、眠れない原因を解消することによって眠れるようにしていくのが漢方薬です。
初めて服用するという方は、症状と体質に合う漢方薬を探しますので、専門家に相談してみるといいでしょう。
漢方薬はマイルド、とよく言われます。個人的には体質に合えば副作用が少ない、効きが良い薬だと思います。
・酸棗仁湯
日常の忙しさなどからイライラして眠りが浅い、という人におススメです。
高ぶった気持ちを穏やかにすることで、睡眠の質も整える漢方薬です。胃腸の虚弱な人には向きません。
・加味帰脾湯
イライラする、疲れやすい、胃腸症状があるなどで不眠の場合、栄養と気持ちを整えてくれる漢方薬です。特に女性の方におススメです。
・抑肝散・抑肝散加陳皮半夏
生理前のイライラ(いわゆるPMS)にも効果があります。
熱っぽいようなイライラがある場合に気持ちを落ち着かせてくれる漢方薬で、不眠にも効果があります。
胃腸の働きが弱い人には、抑肝散加陳皮半夏の方がいいでしょう。
生活を変えたり、薬を服用してもなかなか不眠が改善しない…という場合は、ホルモンの病気の可能性や別の治療が必要な場合も考えられますので、一度受診することも検討してみてください。
この記事のライター
薬剤師、MOT(技術経営修士)
遠藤さちこ
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薬剤師、MOT(技術経営修士)薬局、製薬会社、流通会社等で医薬品やヘルスケアサービスに携わる。コンビニエンスストアと薬局の併設店舗の企画業務等も経験。さまざまな立場で医療や健康を見つめ、幅広い情報収集活動と情報発信を行っている。
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