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ワーキングママは、家事に育児に仕事にと、毎日精一杯。忙しい日々の中で、困っている・助けてほしい時、一番の味方(なはずの)夫に訴えてみても、あまり伝わっていない?ということも。夫にイライラ・がっかりする前に、あなたの「困っていること」が伝わりやすい方法を知って、もっと楽になりませんか。
誰でも、何か困りごとや悩みごとがある真っ最中は、頭の中がぐるぐると渦を巻いているものです。ましてや忙しいワーキングママは、夫に伝える以前に、自分自身でも気持ちを整理できていないことが多々あります。
そこでやってみてほしいのが、自分自身を少し上空から観察することです。もう一人の自分を登場させて、「上空からの視点」で、自分の姿を眺めてみてください。
例えば、子どもがインフルエンザにかかり、保育園を5日間登園禁止になったとします。
・5日間全部仕事を休むのは、今忙しい時期だし、かなり厳しい。どうしよう。
・2日くらい夫に休んでもらえないだろうか。
・夫の会社は急な休みは取らせてもらえないから、そもそも相談しても無駄かも。
・遠方の親に相談してみようか、でも迷惑かけるのも嫌だな…。
・病児保育を使ってみようかな、でも初めてだからどうすればいいのか…。
・病気の子どもを第一に心配したいのに、仕事のことばかり心配している自分が嫌!
こんなことがぐるぐると頭の中を渦巻いている自分の姿が見えてくるのではないでしょうか。
これは、心理学的に言うと「メタ認知」を働かせている状況です。メタ認知とは、「自分の思考や行動を、客観的に把握し認識する」という意味で、平たく言うと『他人目線で、自分を見る』ということです。誰でも、他人の悩みには「こうすればいいんじゃない?」と客観的なアドバイスができますよね。それを、自分に対してやっている状況です。
上記の例で、地上の自分に対して、
「あなたはどうしたらいいか困っているんだね。そういうあなたの困っていることを、全部、わかりやすく夫に伝えたらいいんじゃない?」
というアドバイスが出てくるとします。
そうすると、地上の自分は、ぐるぐると悩んでいたところから、「だったら、どうやって夫に伝えようか」という方に気持ちが向いていきます。
自分の気持ちや状況、その先の方向性を把握するために、少し離れた視点で自分を見つめることはとても大切です。見えてきた自分の姿を、紙に書き出してみることも、おすすめです。
さて、自分の困っていることを夫に伝えたい!というところまでは整理されました。
でも、そもそも、夫に伝える目的はなんでしょうか?
自分の大変さを受け止めてほしい、理解してほしい?
頑張っている自分をねぎらってほしい?
それとも実際に、何か助けてほしい?
実はこれらには、共通点があります。何かしら夫に、「行動の変容(気持ちや実際の行動が変わること」を期待しているんですね。
自分が夫に、どんな「行動の変容」を期待して、今困っていることを伝えようとしているのか。それを自分で把握してみてください。
上記の例ですと、
・(職場に対して肩身が狭いという)自分の気持ちを分かってほしい。
・(5日間のうち1日でもいいから)休みを取って子どもの看病をしてほしい。
・(病児保育の手配や実家への相談にも手間がかかるという)負担の高さを分かってほしい。
といった、夫に対する「行動の変容」を期待していることがわかります。
いやいや、そんな変容を期待しているわけじゃない。ただ、モヤモヤを吐き出したい、夫にぶつけたいだけなの!という方もいらっしゃるかもしれません。
でもその目的はなんでしょうか?
究極、「夫に嫌な思いをさせる」ことではないでしょうか?
その目的を達成した先には、あまりよい展開は待ち受けていなさそうですね。
夫に、何かしらの「行動の変容」を期待して、自分の困っていることを伝えたい。ここまでクリアになったとします。
ただ、その伝え方が重要です。
困っていることをそのまま相手にぶつけると、「ネガティブな感情をぶつけられた」という気持ちが強く相手の胸に残ります。そうなると、建設的な話し合いはなかなかできません。
ですので、伝える際は、「この困っていることを解決するために、一緒に考えてほしい」という、協働のスタンスをぜひ前面に出してみてください。夫婦がお互いに向けてベクトルを向けるのではなく、一緒に同じ方向を見て進んでいく、というイメージです。
自分の困っていることを相手に伝えるのに、とても有効なのが、DESC法です。DESC法は、「アサーション」というコミュニケーション技法のひとつで、相手に自分の気持ちをしっかり伝え、同時に相手にも選択の余地を与えながら、問題解決に向けて前向きに話を進めていく、という方法です。
DESCとは、4つのステップの頭文字で、以下ような順番で自分の気持ちを伝えていきます。
例:「子どもがインフルエンザにかかって、5日間の登園禁止になっちゃった。私は今仕事の繁忙期で、5日全部休むのは現実的に難しいんだよね」
例:「どうしたらよいか困っているので、一緒に考えてもらえない?」
例:「私は3日なら仕事を休めるから、残り2日はあなたが休みをとって診てもらえないかな?」
例:「それが難しければ、実家への相談や、病児保育の予約を、手分けしてやってもらえるとうれしいな」
DESCの4ステップを全部一度に行うのは、最初は難しいかもしれません。順番も、この通りにはいかないかもしれません。でも、はじめはDとEだけでもいいので、ぜひやってみてください。
慣れるまでは、紙に書き出すなどして、整理をしてから話してみてください。きっと、あなたが何に困っているかがしっかりと夫に伝わり、実際に一緒に行動を起こしてくれることと思います。
夫婦は長い人生を一緒に歩んでいくパートナーです。自分の困っていることを相手にしっかり伝え合い、一緒に解決に向けて進んでいけるといいですね。
この記事のライター
岡本真梨子
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大学院(発達心理学)修了後、大手人材紹介会社の人事部に入社。結婚を機に文科省所管(当時)の教育研究機関へ転職し、心理カウンセリングや研究開発、セミナー事業等に従事する。 育休、時短勤務を経験する中で、女性が柔軟に能力発揮できる機会や文化の重要性を感じ、独立。2014年、(株)エスキャリアへボードメンバーとして参画。企業・大学等におけるキャリア形成支援や、女性向けのキャリアコンサルティングを展開中。(株)エスキャリア取締役社長。
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