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40~50代以上になると、肌の年齢に合ったスキンケアをしたいものですよね。更年期には、肌が乾燥しがちなのも気になるところです。
世間ではさまざまな美容成分やコスメがトレンドになっていますが、私たちの肌に必ずしも合うとは限らないものです。
今回は、市販の発酵コスメにしぼって情報をお届けします。果たして、発酵コスメは40~50代の肌に合うのか、発酵コスメの種類、選び方を、化粧品全般のプロである一般社団法人日本化粧品検定協会代表理事の小西さやかさんに伺いました。
前編記事『更年期の肌トラブル「乾燥してかゆい」「シワっぽい」をケアする、7つの成分って?【皮膚科医が解説】』に続く後編です。
コスメの中には、何かを発酵させて作られた液を利用したコスメも数多くあります。この発酵コスメ、40~50代の肌にはおすすめなのでしょうか。
小西さんに、まずは発酵コスメの特徴から伺いました。
●発酵コスメとは?
「発酵とは、麹菌、乳酸菌、酵母などの微生物有機物に含まれる糖をアルコールと炭酸ガスに分解し、エネルギーを得ながら成長・分裂する過程で物質が変化し、その結果、人間などにとって有益なものができることです。発酵によって得られるスキンケア効果として、抗酸化作用や保湿効果をアップさせることや、水分を長時間届ける効果などが期待できます」
<発酵コスメの主なスキンケア効果>
・抗酸化作用のアップ
・保湿効果のアップ
・水分を長時間肌に届けることにより透明感のある肌へ導く
・美肌菌がすみやすい状態にする
・成分が浸透しやすくなる
●発酵コスメの主な種類と効果
「発酵コスメに含まれる発酵エキスは、発酵させるもとの成分が何かによって効果に違いが出てきます。例えば米を発酵させてつくるコメ発酵エキスは肌の細胞活性化やバリア機能の強化が期待できます。米ぬかを発酵させたコメヌカ発酵エキスは肌機能の活性効果や保湿効果が期待できます」
<発酵エキスの種類と主な期待できる効果>
・コメ発酵エキス:肌の表皮の角質層に存在するNMF(天然保湿因子)に必要なアミノ酸が豊富で、肌の細胞活性化、バリア機能強化が期待できる。
・コメヌカ発酵エキス:糖類やアミノ酸、ビタミン類により、肌機能の保湿効果が期待できる。
・ユーグレナ発酵エキス(ミドリ麹):近年、“藻活(もかつ)”と呼ばれ、食品としてだけでなく美容成分としても注目度が上がっている藻類エキスの1つ。注目肌免疫に寄与し、老化の進行をゆるやかに。ヒアルロン酸の産生を高めたり、パラミロンという多糖類により糖が増え、美肌菌の住みやすい環境にもなる。
・オオムギ種子発酵エキス:繊維芽細胞の増殖を促進し、真皮のエラスチンの合成をサポートしてくれる。
・豆乳発酵エキス:イソフラボンが豊富で、皮脂を抑制する効果が期待できる。
・はちみつ発酵エキス:グルタミンが肌の弾力を保つコラーゲンの増加に役立つ。ポリフェノールによる過酸化水素が殺菌効果やダメージケアにも役立つ。
・牛乳発酵(乳酸菌)エキス:天然保湿因子というヒトの肌が本来持つものに似た効果を発揮する成分を含み、乾燥肌の改善に役立つ。
・イチジク果実発酵エキス:保湿効果が高く、ヒアルロン酸の産生促進効果が期待できる。
発酵コスメは、40~50代の女性の肌に向いているのでしょうか? 小西さんは次のように話します。
「40~50代は肌のターンオーバーが遅くなるといわれているため、角層が厚く、化粧品が浸透しにくくなります。そのため良い化粧品を使っても効果が出ないということもあるかもしれません。発酵コスメは、発酵により分子量が小さくなるため、お肌に浸透しやすくなります。そのため40~50代の女性は、発酵コスメを使うのがおすすめです」
また発酵コスメを使うと、うるおいをキープしやすくなるとのこと!
「皮脂量は、40代で20代の半分になるといわれているため、肌が乾燥しやすくなります。コメのように糖分が豊富なものを発酵させると、糖に含まれるグルコシドという成分がグルコシルセラミドという成分となります。グルコシルセラミドは肌のバリア機能を担う重要な成分であり、角層の細胞同士のすき間を埋める成分であるセラミドの前段階の物質です。スキンケアによりこれを補うことで、主にうるおいをキープする力に優れるセラミドを増やしてくれる可能性があるため、減った皮脂の代わりに、しっかりうるおいをキープすることができます」
ところで、発酵コスメを選ぶときには、注意すべきことがあるそうです。
●自分の肌悩みと照らし合わせて選ぶ
「発酵コスメを選ぶ際には、先にご紹介した発酵エキスの効果と自分の肌悩みと照らし合わせて選ぶようにしましょう。今回ご紹介した発酵エキス以外にも、メーカーが独自に開発している発酵エキスもありますので、公式サイトなどで効果をしっかりと確認するのをおすすめします」
●成分の表示が多いから効果が高いとは限らない
「発酵コスメによっては、成分として500種類など大量に記されている場合があります。このような場合、成分を発酵させたことによって発生する全成分を表示しているケースが多いです。全成分を表示することは法的にも許可されており、何も問題はありません。一方、「○○発酵エキス」とだけ表示している例もあり、これも法的に問題ありません。
ところが選ぶ立場からすれば、全成分を表示しているほうが、なんとなく効果が高い印象を受けるのではないでしょうか。実際には全成分を表示していないだけで、実際の成分数は調べたり、問い合わせをしたりしないとわからないものです。
まず私たちがやるべきことは、成分表示数が多いからという理由だけで安易に選択しないことだと思います。ここでも発酵エキスの効果を見て、自分の肌悩みに合うのかという視点で選ぶことが大切です」
更年期の肌の特徴や40~50代に合う成分などを踏まえながら、今トレンドの成分を含むコスメに飛びつくことなく、慎重に試してみるのがよさそうです。そのためのヒントとして、今回のアドバイスをお役立てください。
【取材協力】
小西 さやかさん
一般社団法人 日本化粧品検定協会 代表理事。北海道文教大学 客員教授、東京農業大学 客員准教授、日本薬科大学 召喚准教授、更年期と加齢のヘルスケア学会 幹事、各種協会顧問を歴任。ボランティア活動からスタートし、現在では文部科学省後援となった日本化粧品検定を立ち上げ、累計受験者数は116万人を突破。化学修士(サイエンティスト)としての科学的視点から美容、コスメを評価できるスペシャリスト、コスメコンシェルジュとして活躍中。著書は「美容成分キャラ図鑑(西東社)」等13冊、累計60万部以上。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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