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普段耳にする言葉の中には、ほかの言葉と混同してしまっていたり、意味を間違って覚えられているものも少なくありません。今回はその中でも「割愛(かつ)する」という熟語について、文化庁が行った「国語に関する世論調査」をもとに見ていきます。大人が誤った使い方をしていると、子どもも誤った意味で覚えてしまうので、気を付けたいですね。
あなたは「姑息」の意味がどれか聞かれたら、正解を選べる自信はありますか?文化庁国語課が実施した「令和3年度 国語に関する世論調査」の結果をみると、多くの人が間違って覚えていることがわかりました。
「割愛する」という熟語の意味として、以下のうちで正しいものを選択できた人の割合は、どのくらいだったのかを見ていきます。
・(ア)「不必要なものを切り捨てる」・(イ)「惜しいと思うものを手放す」・(ア)と(イ)の両方 ・(ア)、(イ)とは、まったく別の意味
まず、正しい選択肢は(イ)「惜しいと思うものを手放す」。これが辞書などで本来の意味とされているものとなります。しかし、(イ)を選択した人は23.7%と2割強にとどまりました。
そして、65.3%と最も多くの人が誤って選択したのが(ア)「不必要なものを切り捨てる」です。似た言葉として、簡単にするために一部を取り除くことを意味する「省略する」がありますが、この2つを混同している人が多いのかもしれません。
なお、(ア)と(イ)の両方だと思った人は4.5%、(ア)、(イ)とは、まったく別の意味だと思った人は5.0%でした。
次に年代別に見てみても、全世代で(ア)「不必要なものを切り捨てる」を選んだ人が他の選択肢よりも多いという結果になりました。16~19歳では約8割、20~30代は約7割、40代以上は約6割と、年齢が上がるにつれて割合は減るものの、年代を問わず間違われやすい言葉と言えるでしょう。
また、40代以上では4人に1人が正解である(イ)「惜しいと思うものを手放す」を選んでいますが、30代以下では2割に満たず、30代と40代の間でのギャップが見られることもわかります。
「割愛する」という言葉を使う機会が少ないと思われる16~19歳はともかく、30代で正解を選んだ人が16.3%というのは、意外に低いと感じられるかもしれません。ビジネスシーンでも使われる言葉なので、「省略する」と誤用しないように気を付けたいものです。
今回は、「割愛する」という動詞について見てきましたが、多くの人が本来とは異なる意味で覚えてしまっていることが判明しました。
「割愛」とは、「割る=決まった範囲の外に出る」と「愛=ある物事を好み、必要に大切に思う気持ち」が組み合わさっている言葉です。このことを踏まえると、「必要性を感じているが、範囲外にする」、つまり「惜しみながら省く」という意味になることがわかりやすいでしょう。もともとは仏教用語であり、人や物事への愛着を断ち切ることを意味しました。子どものにも説明できるよう、正しく覚えておきたいですね。
(マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
■令和3年度 国語に関する世論調査/文化庁国語課調査地域:全国調査対象:16歳以上の男女調査時期:令和4年2月21日から2月21日まで有効回答数:3,579サンプル
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