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近ごろ、続々とオープンしているライフスタイルホテル。日本らしさを体験できる仕掛けがあったり、ゲスト
同士が交流できる工夫があったりと、単に「宿泊する」以上の付加価値を備えているのが特徴です。なかでも、とくに注目したいのが、宿泊客と地域の人々との交流を生み出しているホテル。宿泊客に街を楽しんでもらうだけなく、結果として街の価値向上にもつなげている「星野リゾート OMO5 東京大塚」に、知られざる大塚のディープな魅力をご紹介いただきました。
「山手線の大塚駅って、はじめて来ました!」 関西出身の私だけでなく、同行した編集者、東京出身のAさん、東京暮らしの長いTさんも同じだと言うのだから、やはり大塚は隣駅の池袋や巣鴨ほどには認知度が高くないのかもしれない。……そう思いながら北口を出ると、正面に「OMO5(おもふぁいぶ)」のロゴが入った建物が見えました。
昨年5月にオープンした「OMO5 東京大塚」は、駅から徒歩1分のところにあります。「星のや」「界」といった上質な宿泊施設を運営する星野リゾートによる新ブランドの都市観光ホテルで、北海道の「OMO7 旭川」に次ぐ2施設目です。それにしても、なぜ大塚? 不躾ながら、広報の栗原幸英さん(TOP画像左)に聞いてみました。
「実ははじめから大塚に、と決めていたわけではないんです。たまたま建物のオーナーから声をかけていただいて街を調べてみたら、駅周辺にディープで魅力的な世界が広がっていることが分かりました。『寝るだけで終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル』というOMOのブランドコンセプトにぴったりの街だったんですよ」
かつて花街として栄えた大塚には、今でも下町文化が色濃く残っています。昔ながらの八百屋、魚屋などが並ぶ商店街や、東京に残る数少ない路面電車のひとつ「都電荒川線」。街全体が、どこかレトロで懐かしい雰囲気を醸し出している一方で、JAZZバーが多いことで知られていたり、日本酒居酒屋の聖地として有名だったり。
「ガイドブックに掲載されることは少ないけれど、知れば知るほど面白いのが大塚の魅力」と話す栗原さん。「OMOが提供するのは『部屋』ではなく、『旅』そのものです。お客様に都市観光を満喫していただけるよう、街と連携してさまざまなサービスを提供しています」
「友達が住んでいる街に遊びに行ったら、『ここはおすすめだよ!』『ぜひ、あそこに行ってみて!』と、選りすぐりのスポットを紹介してもらえますよね。そんな旅先の友達みたいな役割を、私たちが担えたらいいなと考えています」
地元の人気店を引き合わせて生まれた「ご近所さんコラボスイーツ」宿泊客に街を紹介するだけでなく、地元の人気店同士を引き合わせ、新たな商品開発につなげることもあるといいます。例えば、ホテル内のカフェで販売されている「OMOなかサンド」や「OMOどらパンケーキ」は、地元で知らない人はいない老舗の「千成もなか本舗」と、SNSでパフェが話題の「フルーツすぎ」とのコラボスイーツです。
お店同士は以前から相手の存在を知っていたものの、駅の「向こう側」と「こっち側」なので、話をする機会がなかったのだとか。OMOのスタッフが「絶対、合う!」と確信を抱いて間をとりもったのが、オリジナルスイーツ誕生のきっかけだそうです。
「これまで星野グループが手がけてきたホテルや旅館では、ゲストに館内でいかに寛ぎ、楽しんでいただくかにフォーカスしていました。けれども、OMOは違います。館内にこもらず、どんどん街に出かけてくださいとご案内しています。私たちも、ここまで街に入り込んで一緒にお仕事させていただくのは初めてです。いわゆる『観光スポット』でなくても、お客様が楽しめる素材になり得るというのは、まったく新しい発見でした」
「ホテルでスイーツを楽しんだ後で、そのお店を訪れるとまた違った発見がありますよ」と栗原さん。でも、はじめての街で知らないお店に行くのは不安だし、行ったとしてもお店で何を食べたらいいのか分からないし……。「そんなお客様を街に案内するのが、『ご近所ガイド OMOレンジャー』です」。栗原さん自らOMOレンジャーとなって、街に連れ出してくれるというので、さっそく出かけてみることに!
いざ出発!OMOレンジャーが大塚の街をディープに案内(昼の部)「OMOレンジャー」は「散歩」「はしご酒」「大塚定番グルメ」「大塚のディープグルメ」「ナイトカルチャー」の5テーマからさまざまなコースを案内してくれます。レンジャーの出動は1000円/2時間ですが、街の歴史や見どころを約1時間かけて案内してくれる「散歩」コースは、なんと無料! 初心者さんにおすすめのコースだそうです。
ホテルを出て都電荒川線の大塚駅前駅を抜け、まずはサンモール大塚商店街へ。ここには、コラボスイーツで知った「千成もなか本舗」がありました。お店のお母さんが栗原さんを見ると、「あら、いらっしゃい」と明るく声をかけてくれます。
商店街を抜けると、地域の氏神様が祀られる天祖神社がありました。「境内にあるイチョウは樹齢約600年。高さ25mの一対の大イチョウが夫婦のようなので、『夫婦イチョウ』と呼ばれています。こちらの狛犬は『子育狛犬』なんですよ。子どもに授乳している狛犬で、全国的にも珍しいみたいです」。そんな話を聞きながら街をのんびり歩いていると、本当にそこに住む友人と散歩している気分になります。
途中、前を通った蕎麦屋の「大塚長寿庵」は、そばが美味しい……だけでなく、驚異の成約率を誇る婚活イベント「大塚 de そばこん」で有名なのだとか。
空蝉橋から山手線越しにスカイツリーを眺めつつ、「マルキク矢島園」へ。コラボスイーツと一緒にいただいた「緑茶deアールグレイ」はここの商品。爽やかに澄んだ上品なお茶だったので、どんなにしゃれた店かと思ったら、話好きな店主が営む親しみやすいレトロなお店でした。
最後は、コラボスイーツのフルーツを提供している「フルーツすぎ」。その場でフルーツをカットしてつくるフレッシュジュースやパフェ目当てに通う人も多いのだとか。
大満足のディープな散歩を終えてホテルに戻ると、栗原さんがにこやかに「大塚が本当に楽しいのは夜ですよ」。行かずに帰れるわけがありません!
一見さんでも大丈夫! 夜の大塚をホロ酔い気分で大満喫(夜の部)OMOレンジャー夜の部「昭和レトログルメ」ツアーを案内してくれたのは、渡邉萌美さん。1軒目はクラフトビールの「TITANS」です。どのビールを選ぼうかとモジモジしていたら、渡邉さんが顔なじみの店員さんに声をかけてくれました。
「おすすめは『Left Hand Sawtooth Ale』。コクのある飲み口ですが、ホップのドライな後味が楽しめますよ」。人気のおつまみはなんと、宇都宮の焼き餃子(5個で500円)。しっかり味付けされているので、タレは不要。ビール片手に食べやすい!
クラフトビールで喉を潤したら、お次はやきとん「富久晴(ふくはる)」へ。カウンター越しにメニューを見ながら、「レバー、ハツ、タン……」と注文していると、渡邉さんが「メニューにはないんですが、タタキも美味しいですよ」
……タタキ? 店員さん曰く「ナンコツを細かくたたいて団子状にしたもので、塩で食べます」。コリコリとした食感が楽しく、さっぱりと香ばしい味が瓶ビールに合います。
「昭和レトログルメ」では、だいたい3軒くらいの店にを巡ることが多いという渡邉さん。「お客様がのんびりお食事されたい雰囲気だったら1、2軒、たくさん回りたいご様子だったら4、5軒など、臨機応変に対応しています。ルートを決めているわけではないので、案内するレンジャーによってお連れする店も違うんですよ。お客様とお話しながら、合いそうな店を考えてお連れします」
そんな渡邉さんが最後に連れてきてくれたのが、てんぷら「つづみ」。
「ここの天ぷらは本当に美味しいんですよ! 私たち、スタッフもよくランチでお邪魔しています。やっぱり自分が美味しい!オススメしたい!と思う店にお連れして、お客様に喜んでいただけるのが一番うれしいです」
約2時間のコースを終えてテンションの上がった私たちは、その後、ほかにもOMOレンジャーに教えてもらった店に行って、夜の大塚をさらに満喫したのでした。
住む街選びの第一歩として、昼だけでなく夜の街の雰囲気もしっかり知るために、まずはこういったホテルに一泊してみてもいいかもしれませんね。
2021年には、大阪市西成区の新今宮に3軒目のOMOがオープンする予定だそうです。新今宮といえば、通天閣に新世界、ジャンジャン横丁と、昭和世代には馴染み深い「じゃりん子チエ」の街。さらにディープな街の魅力をゲストに紹介してくれるのを楽しみにしています!
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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