/
◆平成中村座「十月大歌舞伎」(25日千秋楽)
仮設の芝居小屋・平成中村座が4年ぶりに浅草に帰ってきた。中村座は18代目中村勘三郎が観客も役者も“みんなの歌舞伎”を目指して平成12年(2000年)に創設し26年目。息子の勘九郎、七之助兄弟を座頭格に今回も大入り超満員の人気だ。
勘九郎は「仮名手本忠臣蔵」9段目・山科閑居で初役の大星由良之助、「連獅子」で勘太郎、長三郎の息子2人と共演。さらに「助六曲輪初花桜(くるわのはつざくら)」で初役の助六を勤めている。この助六は父が中村座で挑みたいと夢見た大役なのである。
勘三郎は〈1〉歌舞伎十八番の人気作を演じたい〈2〉江戸歌舞伎の醍醐味(だいごみ)が詰まっている〈3〉江戸随一の伊達男をやりたい、などと考えたのだろう。
勘九郎が下駄の音高く花道に出ての出端(では)で万雷の大拍手が起きた。江戸紫の鉢巻き、むきみの顔化粧。蛇の目傘を高く上げた形が決まる。助六は源氏の重宝友切丸の行方を詮議する肚で、それを最後まで通底させたのが勘九郎の最大の特徴だ。
「抜け、抜け、抜きゃぁがれ」。意休に激しく迫る意気込みがいい。兄の十郎に喧嘩(けんか)を仕掛けるコツを教え、「こりゃまたどんなこったい」に面白い味。水入りの場は若衆に囲まれて大きな天水桶に飛び込み、水がザーッと流れ落ちるサービス。
親の夢を子が叶える。父の“中村屋の魂”を受け継いだ勘九郎。どの役も堂々とした座頭ぶり。次の公演では、きっと19代目として登場する、と期待したいのである。(演劇ジャーナリスト)
この記事のライター
スポーツ報知
0
スポーツ報知が運営する公式アカウントです。芸能・エンタメをはじめ、大谷翔平選手に関するMLBの最新情報ニュースをお届けします。
エンタメの人気ランキング
新着
公式アカウント