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中村又五郎、27年ぶり「筍掘り」上演に「感謝」知られざる名場面を重厚に演じる

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「求められた役は何でもやる」と意欲的な中村又五郎(カメラ・櫻井 彩乃)

 中村又五郎(70)が、東京・新国立劇場中劇場で1999年以来、27年ぶりの上演となる「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)―筍掘り―」(20日千秋楽)で横蔵後に山本勘助を重厚に演じている。時代物の荒事から人情味あふれる世話物の老け役まで幅広く演じる播磨屋の重鎮。人間国宝の兄・中村歌六(75)との関係や役者としてのこだわりなど、胸の内を聞いた。(有野 博幸)

 隻眼の名軍師・山本勘助誕生の秘密に迫る物語。又五郎は諏訪明神のさい銭や太刀を盗むなど「縦横無尽にわがままで、やんちゃな男」の横蔵を威圧感たっぷりに演じる。低く響く声にどっしりとした存在感。弟・慈悲蔵役の中村錦之助(67)との雪中の立ち回り、華麗な「ぶっ返り」など見どころ満載だ。

 27年ぶりの上演に「企画していただいて感謝ですね。次は30年後…ではなく、何年後かに上演できればいいかな」。稽古の段階から「大きなお役をやらせていただく時には、経験者の先輩に教わりに行きますが、横蔵はご存命の先輩がいません。映像を見て形は分かるけど、役の性根はどのようなものか、以前に勤めた先輩に聞きたい。そこは自分で考えるしかない」と試行錯誤している。

あちこち痛い 先月の歌舞伎座「秀山祭」では「ひらかな盛衰記」で愛情深く、男気のある船頭の権四郎を好演。兄の歌六と並び、歌舞伎界の土台を支える存在だ。「兄とは6歳違いますからね、子どもの頃は話が合わなかったですけど、お互いに70歳過ぎて大人…というかジジイです。最近は『あそこが痛い』『ここが痛い』とか言い合ってますね。権四郎も兄に聞いて勤めましたし、仲はいいですよ」

 2009年に死去した先代の2代目又五郎とは血縁関係はない。2代目の息子が歌舞伎俳優にならなかったことで、「播磨屋のお兄さん(2代目中村吉右衛門)から『又五郎を継いでくれないか』と打診をいただきました。先代の名前を汚してはいけない。役者にならなかった息子さんのためにも『今の又五郎は良くない』と言われないように、親の名前を継ぐのとは違う感覚がある」と気を引き締めた。

 8歳で初舞台を踏み、芸歴は60年以上。「役者として自分の方向性が見えたことはないです。求められた役は何でもやる。その上で一人でも多くの方に自分の芝居を認めていただきたい」と謙虚な姿勢を崩さない。吉右衛門さんの「役の性根をつかまないといけない」という言葉を胸に刻み、基本に忠実な演技で舞台に安定感をもたらしている。

 ◆「本朝廿四孝―筍掘り―」 4段目の「十種香」で有名な時代物の名作「本朝廿孝」の3段目。名軍師・山本勘助の伝説に古代中国の「二十四孝(親孝行者二十四人の話)」の故事を絡めて描く。身代わりを巡る駆け引き、謎解きと伏線回収などミステリー要素も。又五郎が後に2代目山本勘助となる横暴な兄・横蔵、錦之助が孝行者の弟・慈悲蔵、中村魁春(78)が老女役の大役「三婆(さんばばあ)」の一つ、母越路を演じる。前回(99年)は横蔵を12代目市川團十郎、慈悲蔵を坂田藤十郎、越路を嵐徳三郎が勤めた。


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