更新日:2022年7月31日 / 公開日:2022年7月31日
夏の終わり頃になると真っ赤な花を咲かせる彼岸花。彼岸花は日本でなじみ深い花ですが、毒があるといわれています。また、怖い意味の花言葉があるイメージもありますが、実際にはどうなのでしょうか。今回は曼珠沙華(まんじゅしゃげ)とも呼ばれる彼岸花の基本情報や花言葉の意味を詳しく紹介します。
彼岸花はヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草・球根植物で、中国やミャンマー、日本(本州〜沖縄)など東アジアに分布しています。
高さ30〜50cm程度の花茎が1本伸びて、長さ4cm程度の細い朱赤色の花びらが外側に反り返るように放射状に開くのが特徴です。
彼岸花の基本情報として、彼岸花の名前の由来や別名、開花時期、種類などをチェックしてみましょう。
彼岸花という花名は、お彼岸の時期になると急速に茎が伸びて花を咲かせることが由来とされています。
彼岸花はサンスクリット語で『天界に咲く花』という意味を持つ『曼珠沙華/曼殊沙華(マンジュシャゲ)』とも呼ばれていて、他にもたくさんの別名があることで有名です。
【彼岸花の代表的な別名】
・天蓋花(テンガイバナ)
・死人花(シビトバナ)
・地獄花(ジゴクバナ)
・幽霊花(ユウレイバナ)
・剃刀花(カミソリバナ)
・狐花(キツネバナ)
・捨て子花(ステゴバナ)
・毒花(ドクバナ)
・雷花(カミナリバナ)
・痺れ花(シビレバナ)
・葉見ず花見ず(ハミズハナミズ)
彼岸花は地域によってさまざまな呼び方があり、別名の数は1000以上あるといわれています。
英語では、
・Red spider lily(レッドスパイダーリリー)
・hurricane lily(ハリケーンリリー)
・Red magic lily(レッドマジックリリー)
と表記します。
彼岸花の開花時期は9月〜10月頃で、1週間程度しか花を咲かせません。
墓地や田んぼのあぜ道、川沿いに咲いていることが多く、植物公園やお寺などにも植えられています。
全国各地には彼岸花が群生する名所がたくさんあり、フォトスポットとしても人気です。
【彼岸花の名所】
・如意輪寺(岩手県)
・羽黒山公園(宮城県)
・巾着田(埼玉県)
・府中市郷土の森博物館(東京都)
・常泉寺(神奈川県)
・津屋川堤防(岐阜県)
・大原の里(京都府)
・皇子原公園(宮崎県)
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の総称は『リコリス』と呼ばれています。
リコリスは約20種確認されており、園芸品種も豊富です。
そのため、彼岸花の仲間は多く、赤色以外にもピンク・白・黄・オレンジなどの色があります。
【彼岸花全般の花言葉】
・悲しき思い出
・あきらめ
・独立
・再会
・また会う日を楽しみに
・転生
・情熱
・思うはあなたひとり
彼岸花は「怖い花言葉がついていそう」というイメージを持たれがちです。
しかし、彼岸花の花言葉を見てみると、『悲しき思い出』『また会う日を楽しみに』など怖いというよりも悲哀を感じる花言葉が多いです。
『情熱』『思うのはあなたひとり』というロマンチックな花言葉もあり、実際には怖い花言葉はありません。
彼岸花は有毒植物で、全体に毒成分のアルカロイド(リコリン、ガランタミンなど)を含んでいます。
とくに球根部分(鱗茎)に多く含まれており、摂取すると嘔吐や下痢、中枢神経の麻痺などの症状が起こります。
重症の場合は死に至るケースがあるので、誤食しないように注意しましょう。
ちなみに、墓地や田んぼの周りなどに彼岸花が植えられているのは、彼岸花の毒で虫やネズミ・モグラなどの動物を寄せ付けない効果が期待できるからです。
また、彼岸花には「触ると病気になる」「家に持ち込むと火事になる」「切ると亡くなった人が現れる」など、怖い言い伝えがたくさんあります。
このような怖い言い伝えがあるのは、毒を持つ彼岸花を持ち帰らないようにするためだと考えられます。
彼岸花には赤以外にも複数の色があります。
ここでは、赤色・ピンク色・白色・黄色の彼岸花の種類・花言葉の意味を紹介します。
赤色の花を咲かせる彼岸花は、『Lycoris radiata(リコリス・ラディアータ)』と呼ばれる品種です。
花言葉は『独立』『再会』『悲しき思い出』『あきらめ』などで、赤い色から付けられたと考えられる『情熱』という意味もあります。
ピンク色の彼岸花は、中国原産の交雑種とされている『ナツズイセ』が有名です。
『Lycoris squamigera(リコリス・スクアミゲラ)』とも呼ばれており、8月頃になると淡いピンク色の花を咲かせます。
ピンク色の彼岸花の花言葉の意味は、『深い思いやり』『あなたのために何でもします』『快い楽しさ』などです。
白い彼岸花は、『白花曼珠沙華(シロバナマンジュシャゲ)』と呼ばれる品種があります。
ヒガンバナとショウキズイセンの交雑種とされており、学名は『Lycoris albiflora(リリコス・アルビフローラ)』です。
白い彼岸花は、清らかな印象にぴったりの『思うはあなたひとり』『また会う日を楽しみに』という花言葉を持っています。
黄色の彼岸花は、『鍾馗水仙(ショウキズイセン)』のことです。
学名は『Lycoris aurea(リコリス・アウレア)』で、日本の九州~南西諸島や台湾に分布するものは『Lycoris traubii(リコリス・トラウビ)』と呼ばれています。
黄色の花を咲かせる彼岸花には、『思いやりの心』『陽気』『元気な心』などの花言葉がついています。
オレンジの彼岸花は、日本原産の『狐の剃刀(キツネノカミソリ)』という品種です。
葉の形状が剃刀に似ていることが名前の由来とされており、学名は『Lycoris sanguinea(リリコス・サンギネア)』、英語名は『orange surprise lily』です。
炎のようなオレンジ色の彼岸花には、『妖艶』という花言葉があります。
彼岸花は色とりどりの種類があり、初心者にも育てやすいことから園芸植物として人気が高まっています。
最後に、彼岸花を育てる方法をチェックしてみましょう。
彼岸花は6月初旬〜8月下旬頃が植え付け時期です。
鉢植えする場合は、6〜7号鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷き、鉢の2/3程度まで草花用培養土を入れます。
球根の先端が上向きになるように5cm間隔で並べて、球根の先端が少し出る程度に土をかぶせて水やりをします。
庭植えの場合は腐葉土を混ぜた土に10〜15cm程度の穴を掘り、15〜20cm間隔で植え、水やりをしましょう。
鉢植えの場合は、花が咲いてから葉が枯れるまでの間は水やりが必要です。
土が乾いたらたっぷりと水やりをして、葉が枯れて休眠したら水を与えないようにしましょう。
庭植えした彼岸花は基本的に水やりは要りません。
真夏の暑い日に土が乾いていたら、朝または夕方の涼しい時間帯に水やりをしましょう。
彼岸花は日当たりのいい環境を好むため、西日を避けた日当たりのいい場所や明るい半日陰で育てるのがおすすめです。
暑さ・寒さに強く、病害虫の心配は基本的にありません。
ただし、湿気が多くて水はけが悪い場所だと軟腐病(なんぷびょう)にかかることがあるので注意しましょう。
彼岸花は彼岸の時期に花を咲かせること、墓地に植えられていること、不吉な別名がついていることなどの理由から不吉で縁起が悪い印象を持つ人もいます。
しかし、彼岸花は作物やご先祖様を守る役割を持っている大切な植物です。
種類が豊富でさまざまな色の彼岸花があり、ポジティブな花言葉もたくさん持っています。
彼岸花はそれほど手をかけなくても毎年綺麗な花を咲かせてくれるので、ガーデニング初心者でも挑戦しやすい植物です。
今回の記事を参考に、彼岸花の魅力や花言葉の意味を正しく理解して美しい花姿を楽しんでみてくださいね!
・彼岸花の名前は秋のお彼岸の時期に花を咲かせるのが由来・別名は『曼珠沙華』『天蓋花』『葉見ず花見ず』など1000以上あるといわれており、英語では『Red spider lily』『hurricane lily』『Red magic lily』と表記する。
・彼岸花の開花時期は9月〜10月頃、彼岸花にはピンク・白・黄色などの色がある。
・彼岸花の花言葉は『悲しき思い出 』『再会』『思うはあなたひとり』などで、怖い花言葉はない。
・彼岸花は育てやすいので、ガーデニング初心者におすすめ。
この記事のライター
新着